2-574-576 アベモモ2

「若いんだもん、まだいけるよね?」
ふふ、と百枝は楽しげに唇を引き上げると、ぐうっと上体を折り曲げた。
そして両手を後ろに回し、ブラのホックを外した。ぷるんっ、と豊かな
ふくらみが露わになる。
「今度はこっちでしてあげるね」
阿部は露わになった胸元から目を離す事が出来なかった。カスタードの
ような肌色に、ぽつりと立ち上がる赤い頂き。濃いめのローズピンク色の
それは、胸に合わせて大きめで指の先ほどもあった。
どんな男でも見ただけでしゃぶりつきたくなるに違いない。阿部は口中に
湧いた唾液を飲み込んだ。舐めて吸い付きたい欲求を耐えていると、百枝は
楽しげに己の手でふたつのふくらみを揺すり上げてみせた。指の間からたぷんと
零れる柔肉がエロティックで、またごくりと息を呑んでしまう。

「こーゆーの…は、どう?」
「く…っ!」
胸の先の硬くなった部分で裏筋を撫で上げてから、精を吐き出したばかりの
若い雄を胸の間に挟みこみ、締め上げる。
豊かな乳房は阿部自身を包み込んでなお余りあるほどで、ゾクゾクするほど
気持ちよい。滑らかな肌に丸ごと包み込まれる快美感が腰から脳へと駆け
上がってくる。
「みんなコレが好きよねぇ…」
そんなにイイのかな?と小首を傾げながら、ぴったりと密着させる。そして
リズミカルに両手を動かして、挟み込んだものを擦り上げはじめた。
見る間に硬度を高めていくそれに満足げに目を細める。
「また濡れてきたね」
谷間を押し上げる熱い肉に、チロチロと舌先を這わせながら囁きかける。
百枝も興奮しているのか、吐きかけられる息は熱く、息遣いも荒くなっていた。
ちゅくっちゅくっと先を吸われながらの淫技は巧みで、三度目だというのに
簡単に高まっていく。体ばかりが高まって、頭の中が快感でぼんやりして
気持ちいい、それしか考えられなくなる。
阿部は何を悩んでいたのかも忘れて、ただひたすらに与えられる快感に酔った。
「…ハ、ァ…っ」
体をロッカーに預け百枝からの刺激に酔っていると、途中で包み込んでいた肉が
消え去り、ひんやりとした空気に晒される。



不審に思い目を開けると、真っ正面に口元を淫らに濡らした百枝の顔があった。
「……っ!」
「ごめんねー、ホントはここまでするつもりはなかったんだけど……」
百枝が言いよどみながらも阿部の体を跨ぐ。
「久々だから欲しくなっちゃった。いいよね?」
返事をする暇さえ与えずに、百枝は己の下半身に手をやりショーツをずらすと、
高まりきった阿部自身の上に腰を落とした。ずぷ、と潤みきった場所が雄を
受け入れていく。
「うあ、あっ!」
「んん…んっ。あ、あっ、いい…」
口でされたときの何倍もの快感が脳を貫く。全部を余すところなく媚肉に
包まれて、阿部は仰け反り返るしかなかった。
「ま、まだダメ…イったらダメだからね」
百枝は阿部の肩に両手をかけ、体を上下させた。にゅちっ、と肉同士が擦れ
合う淫靡な音が立ち始める。
「か、カントク…」
「は…、イイ…。んっ、んんっ」
百枝が体を揺らすたびに、阿部の眼前で豊かな乳房が揺れる。脳を侵す
快感と男の本能がそれに引き寄せられた。両手で鷲掴み、揉みしだく。
大きな果実は阿部の手ですら包み込めないほど大きく、握ると淫らに形を
変えた。弾力のある肉に誘われるように吸い付くと白い肌に淡く色が付く。
「や…ソコじゃなくて…ぇ」
「わかって、ますよ…っ」
尖りきった乳頭にしゃぶりつくと、百枝は高い声を上げて歓んだ。右、左と
交互に口に含み、感触を楽しむように歯を立てて擦りあげてやる。
「ひぁ……ん!」
少しきつめに歯を立ててやると、阿部を食む肉がきゅっときつく締まり、
互いの性感を煽り立てた。
「んあ…っ。あぁ…んっ」
刺激を強請るように胸を突き出して百枝が腰を押しつけてくる。奥まで飲み
込んで、悩みも何もかも全て余すところ無く食らうように。
「もっ、ムリっす…!」
頂点へと駆け上る、百枝の動きは圧倒的で、阿部もまた追い上げられる。だが
中に出してしまうのはまずい、と括れた腰に手を回して引き抜こうとすると、
百枝は引きはがされまいとぎゅっと阿部の背中に手を回した。顔に柔らかな
ふくらみが押しつけられて、そのまま天国に行ってしまいそうだった。

「ン…っ。いいからっ。ナカ…」
「まずくないっスか……」
「飲んでる、からね。良いから、全部出して」
「くっそ、ンなこと言われたら…っ」
止まんねェ、だろっ。阿部は渾身の力でしなる肢体を抱き寄せると無我夢中で
腰を突き上げた。
「〜〜〜!」
「監督、ぅっ」
高く声にならない悲鳴を上げて、百枝が仰け反りかえるのと阿部が達したのは
ほぼ同時だった。



「どーぞ」
ロッカーからまだ使っていないタオルを取り出して、事後の始末をつける。
外の水道で濡らしたタオルを渡すと、百枝は恥ずかしがるわけでもなく受け取った。
「気がきくわねー」
気持ちよさそうにタオルで顔を拭う姿は、まだショーツ一枚のままで、阿部は
顔を逸らしながら問いかける。
「………なんで、こんなことしたんスか」
「あら、説明したじゃない」
「説明って…」
「あのね、ウチは10人しかいないの。阿部くんに怪我されたらそれだけで
試合出来ない。田島くんはセンスはあるけど、三橋くんは任せられない。
エースを任せられるのは阿部くんだけなんだよ」
ぎゅっ、と百枝が手のひらを握りしめてくる。
「だからって…」
「私は甲子園に行きたいの。そのためなら何でもするよ!」
ぐぐ、と強い力が阿部を引き寄せる。引きずられて、阿部は真剣な光を宿した
百枝の顔を見た。強い決意の光。それは阿部の小さな悩みなど吹き飛ばす程に強い。

「だから…明日も呆けてたら承知しないよ!」
「ハイっ」
鞭のような声に思わず姿勢を正す。百枝はよろしい、と顎を一つ引くとまた身繕いの
続きを始めた。
「あ、言っておくけど。次はないからね?」
「はあ?」
百枝が支度をすますのを待っていると、すっかり着替え終わった百枝が先に部室の
扉を開ける。するり、と扉を潜りながら百枝は後ろを振り返った。
「今日だけ、トクベツ。次こんなことがあったら〜、握るからね」
にこぉ、とあの微笑みを浮かべながら百枝は甘夏を握るふりをしてみせた。
「か、カントク」
「ほら、帰るよ。明日朝練遅れたらホンキで握るからね」
阿部は慌てて部室を飛び出した。

頼れる指導者なのは変わらないのに、もうそれだけではなくなってしまった。
なぜ、そんなに野球が好きなのか。甲子園に行きたいのか。
百枝には謎が満ちている。
甲子園に行けたら少しは百枝のことが分かるだろうか。
阿部は少し先で長い髪を風に揺らめかせている百枝を見て、そう思った。
最終更新:2009年11月07日 17:07