9-597 アベチヨ(阿部誕生日ネタ)
「寒いねー」
凩が吹きすさぶ中、練習場へと向かう阿部に背後から声がかけられた。
篠岡が小走りでやってきて隣に並んで歩く。
「さみーな」
「ケガしないように気をつけてね」
「おお」
他愛無い会話を続けるうちにグラウンドの入り口が見えてくる。
ふと会話が途切れた時に篠岡が笑顔で言った。
「そーだ、阿部君今日誕生日なんだよね。おめでとう!」
「……おー、サンキュ」
阿部は前を向いたまま笑って答えた。
心なしか顔が赤いのは篠岡も同じだった。
少し離れた場所からそんな二人を覗く集団があった。
「……。
これさ、前にも同じよーなことあったよね」
ぽつりと呟かれた水谷の言葉に他が反応する。
「え、そんなことあったの?」
「そういえばあったな。今年の春だろ」
「ああ、篠岡の誕生日ってこと? へー」
栄口の質問に答えたのは巣山だった。
呆れ顔の花井がそれに続く。
「オレも見た。
はっ。半年以上たってんのに進展ナシかよ」
「クッソ───
いっそくっついてくれりゃいーんだ────っっ」
最終更新:2009年12月19日 10:37