4-629-638 タジチヨ


「あ、田島先輩だー!」
昼食を終えて、中庭でくつろいでいたところに大きな声が響く。
田島が振り返った。つられて千代も振り返る。
2年生だろうか?可愛らしい女の子が2人、駆け寄ってくる。
「誰?」
「さぁ…。最近よく話し掛けられるんだよなー。」

彼女達は、明るく「こんにちはー!」と言って、隣に座った。
千代もペコリと会釈する。
「ねーねー、先輩、体育祭の時、チアガールやるんでしょ?」
「え、なんで知ってんの?」
田島が驚いたように尋ねると、2人の女の子は、くすくすと笑いながら言う。
「田島先輩のことなら、なんでも知ってるんですー。
ね、先輩、絶対一緒に写真撮ってね!」

背が高いわけでもない。これといって美形というわけでもない。
それなのに、田島はなぜかもてる。
1年の頃は上級生に、そして3年になった今は下級生に。
片想いをしていた千代は、散々やきもきさせられた。
付き合うようになった今でも、それはさほど変わらないように思える。

千代はスカートの埃を払って立ち上がった。
「私、お茶買ってくるね。田島くんもなんか飲む?」
「え、じゃあオレも行く。」
田島が立ち上がろうとすると、女の子達が騒ぎ出す。
「えー、もう行っちゃうんですかぁ?もうちょっとお話したーい!」
素直に好意をぶつけて来る彼女達に、少しだけ苛ついた。

私、心狭いなぁ。彼女のくせに…。
千代は自分に言い聞かせ、笑顔を作る。
「せっかくだから、少しお話してなよ。何買って来る?」
「…じゃあコーラ。」
「OK!」
背を向けて歩き出すと、また女の子の声が聞こえる。
「田島先輩、あの人が彼女ですかぁ?」
「そうだよ。」
ためらいなく答えたその声に、千代は思わず顔が綻んだ。

校舎に入って、自販機でジュースを買う。
取り出し口からジュースを出して振り向くと、こちらに向かってくる田島が見える。
1人だけだ。
「どうしたの?あの子達は?」
「逃げてきた。うるさくてかなわねーよ。」
「かわいそ。」
「だってオレは、あいつらじゃなくて篠岡と一緒にいたいんだよ。」
喜んでしまった自分は、性格が悪いだろうか。
にやける顔を隠して歩き出す。

「せっかくいい天気だったのになー。」
校舎の中は確かに、ひんやりとしていて薄暗い。
眩しい太陽の下から戻ってきただけに、よりいっそう暗く感じる。
「あ、じゃあ篠岡、こっち!」
田島は急に千代の手を引いて走り出す。
「え、ちょっ、どこ行くの?」

校舎の突き当たりを右に折れると、扉が見えた。
あたりを伺って、その重い扉をそっと開ける。ついた先は、非常階段だった。
「ここなら誰も来ない。」

階段の高めの壁から、外はほとんど見えないが、昼間の太陽が真上から
降り注ぎ、ぽかぽかと暖かい。
「穴場だろ。」
田島は笑った。踊場から1段目に並んで腰掛ける。

「なんか、眠くなるなぁ。」
昼食をたらふく食べて、眠そうな田島が欠伸をして目を擦る。
「教室戻って、少し寝たら?」
千代が言うと、「ここでいい。」と、田島は千代の膝に寝転がった。
膝の上に頭の重みを感じて、くすぐったいような気分になる。
短い髪を撫でると、田島は気持ちよさそうに目を細めた。
猫みたい…。
秋の優しい日差しの中、まどろむ2人。
幸せだなぁ…。


田島の頭を撫でていると、千代もなんだか眠くなる。
少しだけウトウトし始めた千代が、急にビクッと体を震わせた。
「なっ、なに、ビックリしたぁ。」
田島の手が千代の膝を割って、内腿に触れたのだ。
「なんかチンコ勃った。」

なんとも田島らしい唐突さに、千代は目を丸くする。
「もー、そういうこと言っちゃダメって言ってるでしょ。」
膝の上で、千代を見上げている田島の頬をつねる。
田島はがばっと起き上がると、千代の両肩を掴んで笑った。
「やりたくなっちゃった。やらせて?」

千代はさらに目を丸くし、しどろもどろになる。
「え、だ、だって、学校だよ?ヤバイって…。」
「大丈夫、オレここで人に会ったことねーし。」
「そ、そういう…。」
ことじゃ…。言いかけて、重なった田島の唇で言葉が遮られる。
田島の舌が入り込むと、ほのかにコーラの甘い味がした。

慌てて立ち上がり、逃げようとする千代の体を、田島は捉まえて抱きしめた。
「篠岡、いー匂い。」
髪に埋め込まれた鼻先が、耳に当たってくすぐったい。
立ったまま壁に押し付けられ、千代が逃げ場を失うと、
田島はベストの上から胸に触れる。

「もー、ダメって…。」
言っても無駄なことは、自分が1番良く知ってる。
結局いつも言うなりになってしまう。多分、自分がそうなりたいと思っているのだ。
田島の指先に少しだけ力が入ると、千代の小さな胸が歪に形を変えた。
スカートからシャツを引っ張り出して、中に手を入れた田島を、
千代は緩い力でやんわりと制す。
田島の手は全く気にせず、服の中を自由に動き回った。

ブラジャーの肩紐をずらして、すくい出すように柔らかい膨らみをを揉みしだくと、
千代は小さく喘いだ。
「ほんと、節操ないんだからぁ…。」
「自分だって、そうじゃん。」
その通りかも…。柔らかい快感に身を任せ、千代は考えるのをやめた。

「こうやって、スカート持っててよ。」
捲り上げた布を、千代の手に掴ませる。
「や、やだよぅ、こんなの。」
「いいから。」
自分でスカートを捲らされ、立っている千代の足元に、田島が膝をついて座る。
「え、やだ、うそ。」
少し開いた脚の途中、太腿あたりまでショーツを下げると、田島はそこに口を付けた。

「やっ…。」
明るい日の光の下、こんなところを舐められてしまうなんて…。
普通ならありえない状況に、思わずよろけて壁にもたれかかる。
恥ずかしさに目を瞑っても、ぴちゃぴちゃと水音が耳に響いて、
羞恥から逃れることができない。
途切れることなく送り込まれる刺激に、足の力が抜けていくのがわかった。

膝が折れそうになった千代を、田島の腕が支える。
「大丈夫か?」
千代はもう、ただ頷くだけだった。
足を少し閉じると、途中で引っかかっていたショーツが、するっと足首まで落ちる。
「これ、取っちゃおうよ。」
千代は言われるままに、ショーツから片足を抜いた。

田島は千代の肩を掴むと、くるりと壁の方に向かせる。
後ろから腰を引き寄せると、熱く潤んだ部分に強張りを押し当て、一気に貫いた。
「あん…っ。」
千代の喘ぎに、田島が耳元で囁く。
「コラ、聞こえちゃうぞ。しー…。」
千代は自分の指をきゅっと噛んで、声を押し殺す。
自分の呼吸がいやらしく耳に響いてまとわりつくようだ。
気持ちいい…。

「篠岡にキスしたい。こっち向いて。」
呼ばれて体を捻るようにして後ろを見ると、田島の顔が視界に入る。
気持ちよくて、切ない顔。私だけが知ってる、田島くんの可愛い顔…。
さっきの子達は知らないんだ。
そう思うと、浅ましいけれど優越感を感じ、ゾクゾクした。

「…抜けちゃった。」
無理な体勢で抜けてしまったペニスを、今度は正面から挿入する。
片足をひょいと抱えられ、不安定な体勢に、千代は田島にしがみついた。
奥の奥まで突き刺さるようで、苦しくて、気持ちいい。
「はぁ…っ、んん…。」
「篠岡、気持ちいい?」
「は、気持ち、いいっ。」


「んー…。」
田島が千代の唇を舐めると、千代も舌を出して応えた。
千代の舌を追って、田島が食むようにキスをする。
食べられちゃいそう…。全部、食べられたいな。

下から体が浮き上がりそうなほど突かれ、貪るような激しいキスを受けて、
千代は頭が真っ白になる。
「田島くぅん…。わたし…。」
「イキそう…?」
千代は答える代わりに、田島の背中に回した手に力を込めた。
「あ、オレもイキそ。」
田島の動きが徐々に早まっていく。

「ふあ…っ。」
ぬるん、と抜き出したペニスから、千代の両足の間、壁に向けて白濁した
液体が放たれた。
「う~…。」
田島の吐き出すような息が耳をくすぐる。
千代はしがみついたシャツ越しに、田島の熱を感じた。

「うおー、すんげー出た!」
コンクリートの階段にこぼれた精液を、田島が靴でグリグリと擦る。
千代はそこにペットボトルのお茶をかけて流した。
「もうやだ、恥ずかしくて死にそう…。」
溜息を付いた千代の顔を、田島が覗き込む。
「なんだよー、気持ちよがってたくせにぃ。」
「もー、うるさい。」
またしても田島のペースに巻き込まれてしまった。

田島は千代をじぃっと見て言う。
「興奮しなかった?」
「バ、バカ。誰かに見られたらどうすんの。それどころじゃなかったもん。」
千代が慌てて、ドン、と田島の胸をどつく。
そんな千代の嘘なんて、田島にはお見通しなのだろう。
目を逸らした千代を、笑いながら見つめてるのがわかる。
でも、心まで見透かされた感じも、ちょっとだけ気持ちいい。

「じゃあさ、今度は誰にも見つからない場所で、死ぬほど可愛がってやるよ。」
田島が千代の髪を、ぐしゃぐしゃと撫でる。
「…ほんとバカ。」
千代は小さく呟くと、乱れた髪を直すフリをして顔を隠した。
今日よりもっと、可愛がられちゃう…?
心臓がどきんと高鳴る。
真っ赤になった千代の頬にキスをして、田島はニッと笑った。





最終更新:2008年01月06日 20:05