4-702-710 ハナモモ SEVEN(ハナモモ) ◆tJL0Ad5PoA
花井は最近、7と言う数字を考える。
(俺が生まれた時、モモカンは小2で。おれが中学校入学の時モモカンはハタチ・・・)
7と言う字は2人の年の差で、ずっと埋まらない。
(おれがもう少し早く生まれてたらなぁ・・・・。あ、でもそれだと出会わないか)
がしがしと頭を掻きながらノートに『7』という数字を書いてため息を付く。
自分は多分凄くモモカンが好きなんだろうな。と思っていた。
いつからこんな気持ちになったんだろう。
―最初は、監督が女ってありえねーって思って。
けど、監督はどんな男の監督よりも立派で。
俺達の事考えてくれてるってわかって。
なんて素晴らしい人なんだろうって思ったんだよなぁ・・・。
それが、いつの日からだろう。あの笑顔に心臓が反応するようになったのは。
・・・・心なしか、最近練習も辛く感じてきた。
キャプテンとしての自分、野球選手としての自分、16歳の自分。
全部がモモカンの前では上手く行かない。
練習のたびにモモカンと会える。嬉しい。
けど、この想いは実ることなんてこのままじゃ絶対無い。
そう想うと野球の面白さが解らなくなってくる。
「花井、モモカンがミーティングの事で話あるって。」
阿部が練習後に花井に告げた。心臓がドクっと鳴る。
「・・・・・・・え?」
「なんか、花井だけに言いたいらしくてさ、あと10分後に此処来るって。人払いもかねて俺等先帰るからな」
阿部はそう言って部員の着替えを促し、みんなを引き連れて帰って行く。
「あ、ああ・・・。」
花井はやっとその一言だけ阿部に返しみんなのうしろ姿を見送る。
皆の足音が遠くなると共に自分の心臓の音が大きくなっていくのがわかる。
きっと話とは次の試合の事だろう。明日のミーティングで言う話を先にするんだ。
けれど、モモカンと2人きりってのが大問題なのだ。
(ヤバイ、顔見れねーぞ?!)
しかし帰るわけにも行かない。頭がグルグルしてる内ついにモモカンがやってきた。
「入ってもいい?」
「あ、ハイ。」
部室のドアが開きモモカンが入ってきた。花井はなるべく顔を見ないよう体を斜めにする。
「ゴメンネ。練習後に残ってもらって」
「いえ・・・は、話って何すか?」
モモカンはキビキビとこちらへ進んでくる。
「・・・・・最近、なんかあった?」
「・・・・・・え?」
「・・・・・花井君、最近練習に身が入ってないなって思って」
いつものモモカンより優しげな声に花井はびっくりした。
「あ、いやね。悩みを別に話せって訳じゃないのよ?ただ練習になにか不満でもあるのかなって思って・・・。」
「いや・・・その・・・」
「花井君キャプテンだし、他の皆がやりずらさを感じてるなら改善したいなって思って」
「・・・・・・・・」
「最近、私の事避けてるでしょう?」
「!!!」
「だから、部員と私の板ばさみになってるのかなって思って・・・・・・私の指導方法イヤ?」
「そんなことは!!!」
花井は顔を上げる
「・・・・・・・無いッス」
でもモモカンの顔を直視できず目は泳ぐ
「皆は・・・か、監督をちゃんと信頼してますよ・・・!」
「・・・そう」
ニコっと百枝は微笑んだ。
「は、はい・・・」
「じゃあ、花井君は?」
「え?」
百枝は花井の手を握った。
「花井君は私の事信用してる・・・・?」
「・・・・・・・・っ」
花井の目をじっと見つめる。花井は頭が真っ白になった。
「知ってるんだから。私から逃げてる事」
「・・・・・・っ・・・・・・・・・」
「私、女だからって監督業務で出来ない事なんて無いつもりだよ?」
真っ白な頭の中に一気に気持ちが湧き上がる。
好きだ。貴女が好きだ。
叶う事なんてないって知ってるけど。
「ちゃんと私の目を見なよ!」
もう一度百枝はぐっと花井の手を握る。百枝の手は暖かく、花井は涙が溢れた。
(今すぐここから逃げなきゃダメだ。じゃなきゃ気持ちが隠せない。)
けれど、逃げる方法なんてない。百枝の手の暖かさが花井の心をあふれ出させる。
「・・・・・・・俺、無理何すよ」
「・・・・どうして?」
「・・・・・俺、監督の事女としか思えないんです」
「・・・・・・・」
「俺、監督が好きなんっすよ!!!」
「・・・・っ?!」
ほぼ絶叫に近い声で花井は叫ぶ。百枝は呆然とした。
「7歳も下だけど!!監督と選手だけど!!どうしようもないくらい好きなんです!!!」
(やべ・・・格好わりぃ・・・)
涙が滲み出てくる。零れ出るな!と思った。
「・・・・・それで・・・今まで目をそらしてたの・・・?」
百枝は花井の顔を覗き込む。花井の唇はかみ締められて小刻みに震えていた。
目には今にも零れ出そうな涙が蓄えられている。
愛おしいな。と百枝は思った。
二人はお互いに立つ力をなくしその場に座り込む。
「・・・・・スイマセン。こんな事言って。俺、部活辞めますから・・・。」
握られていない腕で花井は涙を拭いた。
「だから監督は・・・監督してください」
百枝は花井の言葉を聞いて体中がしびれた。
「ダメ!辞めちゃダメ!」
百枝は必死に花井の手を掴む。今度は両手共だ。
じりじりと花井に近づく。花井は壁に追い込まれた。
「私の前から居なくなるなんて言わないで!!!!!・・・・・花井君。私を置いていかないで。私の目の前から消えていかないでよ。」
『部を辞めないで』じゃなく『私のそばに居て』
百枝は、その瞬間。初めて花井を選手としてではなく一個人としてみていることに気付いた。
「監督・・・」
百枝は花井を抱きしめる。
「そうよ・・・・。私今気付いた。花井君が好き・・・。」
百枝のみつあみが花井の耳に触れた。柔らかな胸が自分の体に密着する。
「こんなに頑張ってる人を、嫌いな訳無いじゃない・・・・。」
ずっと私を好きな事隠して、野球して、キャプテンして。
花井はそれでも頑張ってたんだ。百枝もその花井が大好きだった。
百枝は心の中でそうなんだ。そうだったんだ。と花井を好きだったという事実をかみ締める。
花井の手が百枝の背に回った。お互いの心臓が爆発しそうなくらい脈打つ。
お互いの顔を見つめあう。ゆっくりと長い時間キスをした。
今までのすれ違いなんてこのキスで溶かせば良い。そう思えた。
何度も何度もお互いの唇を味わう。
「・・・監督」
「・・・なぁに?」
「俺、7個下ですけど。いいですか?」
「・・・まぁ、法律的には問題だわねぇw」
「やっぱり・・・・」
「でも、花井君が成人したら関係無いわよ。まぁそれまでもつかだけど」
「どーいう意味ですか?」
「色々な意味よw」
「・・・頑張ります。」
「それより、野球できそうなの?」
「はい!なんか言ったらスッキリしました。明日からまた練習頑張ります!」
「よし!それでこそキャプテン!」
百枝はニコっと笑って花井を抱きしめた。
「なぁなぁ阿部!花井とモモカンどうなったかなぁ~」
水谷が騒ぎ立てる。西浦メンバーは公園で寄り道をしていた。
「ん?・・・・・・まぁ大丈夫じゃねーの。花井だし。」
「俺、明日から部内がギクシャクしたら嫌だなぁ~」
栄口が胃をさする。
「大丈夫だって。フラれても、実っても花井とモモカンは割り切れるよ。」
阿部は涼しい顔でスポーツドリンクを飲んでいる。
実は今回の呼び出しは阿部の作戦なのであった。
「大体、ギクシャク具合なら今までの方が酷いだろ。あのクソキャプテン、練習も空回りだし良い加減迷惑だ・・・。あ、おい三橋!」
「う、うぉ?!」
「ブランコ飛び降りるなよ!怪我するからな!」
「う、うん・・!」
三橋は、田島としようとしていた事を阿部に見透かされキョドっている。
「まぁ、確かに俺的にも花井とモモカンは仲良くあって欲しいな」
「水谷も阿部につくのかよ~。はぁ、俺はおなかが痛い・・・。」
栄口は大きなため息を付いてお腹をさすった。
実は今回の事を西浦メンバー全員が知っていると花井が気付くのはまた別のお話。
ここは部活前の部室。例の事件から1ヵ月後たった。
「だ~か~ら~!!!」
花井の悲痛な叫び声が響いている。
「そんなんじゃねぇっつーの!」
「何嘘付いてんだよ~。教えろよー」
花井に喰ってかかっているのは田島だ。花井の袖を握って話さない。
「モモカンとヤったのかよー。」
「だーっ!!!何でかい声で言ってるんだアホっ!!!」
慌てて田島の口を塞ぐ
「あなヴぉ;mふ@・・・・」
「俺達なんも無いんだって!」
花井は声を潜めて田島に耳打ちをしたが男子部員全員は耳がダンボ状態なので筒抜けだ。
三橋ですら顔を真っ赤にして聞き耳を立てている。
皆はとっても花井とモモカンに興味があるお年頃なのだ。
・・・正確には花井とモモカンのすることにだけれど。
「・・・ぷは!嘘だ!阿部が言ってたぜ!『花井の野郎、今度は幸せすぎて地面に足が付いてないぞ。うちのクソキャプテンは本当に桃の缶詰が好きだなーククク
』って!!」
「なっ・・・阿部!」
「あ、いや。俺は別に・・・」
「桃の缶詰ってモモカンの事だろー?花井おしえろよー」
「お前、まさか・・・?」
「・・・・お前が授業中に『7』じゃなく『花井まりあ』って書くのを良く見るけど?プフッ」
阿部は思い出したらしく花井に背を向け肩を震わす。
「っ!!!????」
「えーっ!!!」
栄口、西広が噴き出す。水谷と泉にいたっては花井を指差し腹を抱えてヒィヒィ笑っている。
「花井キモーーーーーーー!!!」
「う、うるせーーーー!!何見てんだよ!!!」
「・・・花井ってそういうキャラだったのか」
巣山は少し引いている。
「まぁ、人間の隠れた部分は誰にでもあるから・・・。」
西広が花井をさりげなく擁護した。
「おー!花井とモモカン結婚するのか!?いつ!?いつ!?」
「お、おめ、でとぅ・・・!」
田島と三橋は目をキラキラさせて喜ぶ
「とにかく!!!!!!!!皆聞いてくれ!!!!!!」
花井はロッカーを力強く叩いた。
静まり返る部室
「・・・・・・俺、モモカンと卒業するまではなんもしねーから。」
「・・・・え?」
「何もしない!皆に迷惑かけないから!けじめつける!!!」
「・・・・・・えーーーーーーーーっ!」
突然の禁欲宣言に一同騒然。
「じゃ、俺先に言ってるわ」
花井は着替えてさっさと出て行ってしまった。
「・・・花井、一人で何練習するつもりだ?」
「栄口、フォロー行っとけ」
「お、おう」
栄口は花井の後を追って行く
「なぁ。本当に花井モモカンとなんもしねーのかな?」
田島はやはり興味があるようだ。
「それは無い」
と阿部。ニヤリと笑っている。
「・・・全く、告白した癖にけじめつけるとは笑えるぜ。実際守り通せたらアイツを一生尊敬してやるよ。」
俺の手の内にかかったんだからな。そう言いかねんばかりの笑みである。
部員達は思った。彼女が出来ても阿部には隠そうと。
しかし阿部の予想とは裏腹に花井は3年間耐え続けた。
キス以上の事はしたいけど、その後が怖い。
もし、野球が出来なくなったら。
モモカンが西浦から去ってしまったら。
皆も、モモカンも、俺も悲しむ。
だからキスするときだって学校なんかじゃ絶対しなかった。
モモカンの家とか。バイクで遠出した海とか。
(思いは通じてるんだ。1日の半分以上は一緒にいれる。)
時々不安になるときはこの言葉を心の中で復唱する。
花井は百枝の事を女性として好きな半分、監督として尊敬してるところもあった。
百枝も特には何も言ってこなかった。
(この野球部で高校生活を続けたい)
このメンバーでずっと居たい。誰も欠けて欲しくない。
そうして、花井が高校を卒業した夜。
夜遅く百枝の携帯が鳴った
「・・・今近くに来てるんっすけど・・・出てこれますか?」
「あ、そうなの?じゃあうちにおいで。お風呂上りだけど」
百枝の家に上がりこんだ花井は少し酔っ払っていた。
「おーおー。いいのか未成年。」
「・・・送別会あったんで・・・。」
「あらぁ。じゃぁ冷たい麦茶持って来るわね。」
百枝は部屋着なのか黒いボタンシャツのワンピースを着ている。風呂上りなのかタオルを肩にかけ髪が少し濡れていた。
「はい。」
「・・・どうも」
花井は一気に飲み干し百枝の目を見た。
26歳の百枝。相変わらず美人である。
花井はと言えば少し大人びてもうほとんど社会人顔である。
相変わらず、坊主なのには変わりがないが。
「・・・俺卒業しました」
「・・・うん。よく頑張ったね。」
「もう、卒業生です」
「そうだね。」
「もう大学・・・だから・・・・」
花井は百枝の唇に触れる
「・・・いいっすか?」
百枝は頬を上気させて花井を見つめる
「いいよ。」
花井は百枝にキスをする。今まで味わえなかったその柔らかな唇、舌。
百枝は絶妙なタイミングで花井の舌を吸う。
んっという声が漏れ、部屋にちゅっちゅっといやらしい音が響く。
(柔らけぇ・・・)
花井はぼーっとしそうな頭を落ち着かせゆっくりと百枝の服のボタンをはずし、百枝の胸に触れる。
(うぉ、こっちもすげぇ柔らけぇー・・・)
ふわふわと柔らかな反面弾力もある。その表面についている小さな突起の表面を花井は指でなぞった
「ぁ。」
百枝がキスをやめ小さく声を上げる。
花井は胸に顔をうずめた。
「あっ、」
優しく突起を噛む。もう片方の手も同じく突起を抓っている。
いっぺんに抓りあげると百枝の甘い悲鳴が聞こえる。
(・・あんま、ビデオみたく声って出ないんだな。)
興奮と緊張で頭がぐるぐるする自分と冷静な自分がいる。
節目がちなモモカンの顔は最高にエロイとも思った。
右腕でスカートをたくし上げ、パンツの布地ごしに触れてみる。
ツルツルとした肌触りの向こう側はすでに湿っており、押すとくちゅっと音がした。
「は・・・っ。」
指を布越しに上下する度モモカンはふるふると息をする。
「我慢しないでもっと息してくださいよ。」
「はぁっ・・・ぁ。」
百枝は花井に肩を回し耳をそっと舐める。
「何か・・・花井君だから感じちゃうのよ」
花井はその声にぞくりとした。
花井はその布を取り払いじかに指を滑り込ませる。
「あぁっ。」
ちゅくちゅくと鳴り響くいやらしい蜜の音。
蜜を湛えた指で硬い小さな粒を擦ると百枝は初めて大きな声を出した。
指を差し入れると蜜があふれ出す。
「もう駄目、我慢できない・・・。花井く・・んも。ね?」
「あ・・・ハイ。」
既に大きくなっている花井のソレを百枝は優しく口に含む。
「あ、ヤバイっすよ。」
もうすでに爆発しそうだ。
「うふふ。じゃあ、つけてあげる」
にっこり微笑んでゴムをかぶせる。花井は百枝の手に導かれ、中に入った。
(うぁ~。何かあったけーよ。つーかすごい締まる・・・。)
これも肉体労働のバイトの所為かな?とちょっと感動していると絨毯の上に居る百枝と目が合う。
ゆっくりと突き上げる度、百枝の髪も胸も揺れた。
「んんっ・・・・」
「あぁぅ・・・もう駄目・・」
今のモモカンは、ただの百枝まりあで。俺はただの花井梓で。
7歳の年の差なんて今ここで埋めてしまえる。
気持ちよすぎて腰が勝手に早く突き上げて行く。。
「・・まりあ。」
「・・・あ、ずさ・・っ。」
百枝は花井に触れたくて手を伸ばす。
その表情を見たらもう限界だった。
ぎゅっと百枝の中が締まる
「くっ!」
花井は百枝の中に果てた。
「あ~っ。幸せ!」
百枝は花井にべったり抱きついて頭を撫で回している。
「もうこんな言い男が傍にいるなんて!」
いつもの百枝のテンションだ。
「う~なんだか尻にしかれそなんすけどー。」
「そんなことしないよぉ~!うん、絶対しない!」
ニヒヒヒと豪快に笑った後
「・・・7年間と3年間。待ってて良かった!」と微笑んだ。
「待たせてスイマセン」
「辛かったけど・・・いいのよ。そういう義理堅い所も良いんだから!」
花井はまたこの笑顔でもう一回いけると思った。
ちなみに、卒業式を過ぎても大学へ入学するまでは高校生なのであながち阿部の推理は間違っていないようだ。
最終更新:2008年01月06日 20:07