5-361-376 ミハチヨ ナースコスミハチヨ1



「三橋くんってどんな格好が好き?」
隣を歩く少しだけわたしより背の高い彼にそう問いかけた。

三橋くんとは付き合って2ヶ月ほどになる。
入学式のときに彼を見かけたときから気になって、野球部でマネジをやろうとおもったらちょうど彼がいて。
彼の投げる姿は本当にかっこよくていつも目を奪われていた。
だから彼に告白をして、「・・お、俺もずっと好きだっ、た・・・」なんて返されたときは本当に嬉しくて飛び上がりたいような気持ちだった。
あくまでも部活のほうを優先した上で何回かデートもしてわたしはこの関係にとても満足していたのだけれど。

「千代って、三橋くんと付き合ってから結構たつけどまだやってないの?」

なんて昼休み中に友達にさらっと言われたときには飲んでいたジュースを噴出してしまいそうになった。

「やってって・・ま、まだに決まってるよ・・」
「えーっ、ちょっと遅くない?飽きられちゃうよ?」
「そーそー、やるばっかりも駄目だけどさ、やらせないのもどうかと思うよー男の子だし」
「しかもさ、三橋くんってそういうの自分から言えなさそうじゃん?ここは千代がリードしてやりなよ」
「そ・・そんなこといったってわたしだって無理だよ!」

ぶんぶんと両手をふって否定するわたしを二人の友達はじーっと見てくる。

「で、でも三橋くんはそんな素振り全然見せないよ?」
「そりゃそうだろうよ、そんながっついてきたらあんたが幻滅するでしょ」
「そうだけど・・・」

「まあもし本当にそうだとしたら千代には色気が足りないのかもしれないねぇー」
「あーそだね、千代って可愛いけど幼いっていうか・・服もかわいいけど際どいのは全然着ないし」
「そんな服わたしには似合わないよ!スタイルだってそんなに良くないから色々頑張って誤魔化してるのに・・」
お風呂場で毎日みる自分の貧相な体型を思い浮かべてため息をついた。
そんなわたしが女らしい部分を強調する服なんて似合うはずもない。

「まーそう言いなさんなって、三橋くんもあんたのこと好きだって言ってんだから自信持ちなよー」
「なんならさ、今度率直に聞いてみればいいじゃん?やっぱ本人の意見が一番大事だよ」
「うん・・そうしてみる」


そんなこんなで、友人たちにまんまとそそのかされて今に至るのである。
三橋くんはやっぱり困ったみたいに目を泳がせている。

「え・・と・・篠岡さんは・・何着ても可愛いよ・・」

そういってえへへといった風に笑う。そんな笑い方をする彼のほうがずっと可愛いかもしれない。
かといってここで大人しく引き下がればまた友人たちとの会話がループするかもしれない。
ここはもう一押しだ。

「んー・・じゃあ強いて言うなら!」
「し・・しいて・・?」
「うん!どんなのでもいいよ!」

問題のスタイルのほうも改善するのに頑張るから!
とひとり心の中で呟く。

「えー・・しいていうなら・・看護婦さんとか・・・」
「・・・・へ?」
まったく予想だにしていない答えにわたしは目が点になった。



次の日の学校で、三橋くんの意見をありのまま友人たちに報告すると、
今度は友人たちが飲んでいる飲み物を噴出しそうになっていた。

「ナースって・・三橋くんって変態の気でもあるの?」
「本人の意見が大事っていったのそっちでしょー!?
 ・・わ、わたしは三橋くんが喜んでくれるならナースだってなんだっていいよ、三橋くんだもん」
そういって口を尖らせると、友人は呆れたようにわたしを見てため息をついた。

「恋は盲目ってやつね・・まあ千代がいいんならいいんだけどさ、でもどうするの?ナース服」
「あ・・勢いで言っちゃったけど忘れてた・・」
そんなわたしの様子に友人はさらに呆れたようだった。

「もーほんっとそーゆーとこ抜けてるよねー結構値段張るんじゃないの?ああいうのって」
「あ!あたし小学校のとき劇でナース服着たことあるよ!まだ家にあると思うし、持ってこよっか?」
「ほんと?でも小学生のときのなんて小さすぎるんじゃ・・」
「小6のときのやつだし多分大丈夫だって!それに少し小さめのほうが三橋くん的にはいいんじゃない?」
「ええー・・そんなの・・」
にやにやしたような顔で友人たちはわたしを見つめてくる。
そんな視線に耐え切れなくなってわたしはふっと廊下側に目をやった。
すると、ちょうど三橋くんが通り過ぎるところで、目が合うと彼は軽く頭を下げて笑った。
わたしも同じように笑い返して、再度友人たちをじっと見据えた。

「う、ううん、やっぱり持ってきて、わたし頑張るよ!」
三橋くんのためだもん。



いよいよ決戦の日。
右手にはおいしいと評判のシュークリームと例の衣装が入っている。
彼の家には何度か行ったことはあるけれど、いつも部屋で二人でただぼーっとしてるか話してるかしかしてなくて、
あっち系の雰囲気になったことなど一度もなかったから、家へ行くといってもいつもならさほど緊張はしなかった。
けれど、今回は違うのだ。少しだけ震えてるように見える指でゆっくりとインターホンを押す。
すぐに中で騒がしい音が聞こえたかと思うと、急に静まりかえってゆっくりとドアが開いた。彼の顔が半分だけ現れる。

「ど、どうぞ、入って」
「うん、お邪魔します」

そう元気よく言うと、いつもは三橋くんのお母さんが出てくるのだけれど。
今日はただわたしの声が廊下にこだましただけでなんにも反応はなかった。

「あ、あの、今日、うち親、い・・いないんだ・・」

そう聞いた瞬間にわたしは一気に緊張が高まってきた。
ありがちなドラマや漫画なら、部屋へ行ってからそういう方向へもつれこむのだ。

「そうなんだ・・あ、これ、シュークリーム、おいしいんだって」
極度の緊張をごまかすために紙袋からシュークリームを取り出して押し付けるように差し出した。

「そ・・そんなの全然いいのに・・あ、ありがとう、じゃあ先、部屋行ってて・・飲み物、持って来るから」
「うん、わかった、じゃあ先いってるね」



彼の部屋に一人ではいると、急に心臓の鼓動の音が耳につくようになった。
とりあえず深呼吸をして、息だけは整えてみる。
そして、紙袋に入ったナース服を取り出して広げてみる。着れないことはないが、やはりわたしには少しだけ小さい。
三橋くんがまだ来る気配はない。あまりにも不器用で優柔不断なのか、彼はいつも飲み物を持ってくるときとかは手間がかかるのだ。
なら、今のうちに着替えてしまって驚かせてしまおうか。
緊張の中少しだけ芽生えてしまった悪戯心に負けて、私は急いで服を脱いだ。
そして、まず先にナースキャップを取り付け、問題のナース服にとりかかる。
するりとはいかなかったものの、なんとか着れたナース服の前のボタンを閉めている最中にドアががちゃりと開いた。

「わっ・・!!」
入ってきた三橋くんは当然驚いてお盆を取りこぼしそうになる。
なんとか落とすのは免れたが、今にも蒸気が出そうなくらい彼の顔は赤く染まっていた。

「み・・三橋くん、あ・・あの驚かそうと思ってね、えへへ」
笑ってごまかしていると、まだ前のボタンが閉めきれていないのに気がついて慌てて手をかける。
しかし、三橋くんにその手を止められる。
わたしはそんな様子の三橋くんに驚いて彼を見上げる。

「あ、ちょ・・ちょっとその、ままで・・」
そういうと三橋くんはお盆と机の上に置いてなにやら箪笥をごそごそと漁ったかと思うと、グレーのカーディガンを取り出してきた。
多分三橋くんのものだろう、わたしには大きめのサイズのそれを差し出される。

「あ、あのこれ・・軽く羽織ってみて・・ほしい・・」
「うん・・・こう?」
やはり大きかったので袖のところはぶかぶかになっているし、裾だってナース服より長かった。
そんな状態のわたしをみた三橋くんは目を何度も瞬きさせている。

「す・・・すごい・・かわいい・・・」
そっと腕が伸びてきて、軽い力で抱きすくめられた。
付き合ってから三橋くんとしたことといえば、手をつなぐのとキスぐらいで、こんなに体が密着したのは初めてだった。
意外と大きかった三橋くんの腕の中は、ドキドキしたけれどとても温かい気持ちになれた。
だから、その腕がだんだんと離れていったときは素直に寂しいと感じた。
改めて顔を見合わせると、三橋くんの頬は赤いままで、視線がだんだん目から外れて顎を通り過ぎて、
はだけた胸元(まだボタンを閉めていなかっただけだが)に焦点をあわせた。

「・・いいよ・・?触っても・・」
「えっ・・・」
「ここまで約束してないけど、三橋くんがしたいんならいいの・・やっぱり、好きだから」
「そっそんな・・悪いよおればっかり我が侭、で・・」
「じゃあ、わたしからも我が侭言うね。・・三橋くんにもっと触れてほしい、これでおあいこだよね」
そう言ってにこりと微笑みかけると、三橋くんはこくりと頷いて「じゃ・・あ、お願い、されます・・」といって、
ゆっくりとわたしの身体を床に押し倒して、ものすごく遠慮がちにやわやわと胸を服の上から揉んでいく。
しかしそれはだんだんリズミカルになり、とうとう三橋くんはボタンをいくつかはずし、肩が露出するぐらいに上半身を脱がされた。
そして下着をすこしだけ上にずらされると、少し慣れてきたものが一気に崩れ、急にとても恥ずかしくなった。
大きいとはいえないわたしの胸は、ホックがはずされていないブラに圧迫されて窮屈そうに縮こまっている。そんな様子を三橋くんはじっと見つめていた。

「や・・、そんなに見ないで・・」
「ご・・ごめん・・!」


三橋くんは慌てて目線を少しだけずらし、胸への愛撫を再開する。
やはり、服の上からと直では全然感触が違っていて、恥ずかしくて声を漏らさないように必死だった。
先端の周りをくるくると指が滑ってもどかしいと思っていたら、急に軽く摘まれて、思わず声が出てしまう。

「んぅっ・・!」

その反応を見逃さず、そのまま先端をこりこりといじって、口に含んだ。
三橋くんの舌の感触が、胸の先端からじんじんと脳に伝わってくる。
空いている方の先端はさきほどの指で再度つまみあげたりされる。
同時に与えられる刺激に、わたしの頭のなかが少しずつ変な感じになっていっているような気がした。

「んやあぁっ・・あぁんう・・や・・っ」

そして、少しだけ音を立てるようにして吸い上げた。

「やっ・・あん!!やあぁ・・」

ぴくん、と身体がのけぞると、三橋くんはようやく口から解放してくれた。
顔が上気して、何度深呼吸しようとしても荒い息がなかなか整わない。
その間に三橋くんの右手はするすると太ももの内側あたりに移動して、軽く撫で上げたかと思うと指の先端はもう秘所にあてられていた。
そして、そのまま下着の上から割れ目をなぞるように指の先が動く。

「ひああっ」
「す・・すごい・・湿ってる」
「いわないでぇ・・!」

三橋くんはさっきまでの遠慮はどこへ吹き飛んでしまったのか、さも楽しそうに指の動きをやめない。
それどころか、下着の下から指を差し入れ、直接触れてくる。
何かを探っていたかと思うと、小さな突起を見つけ出しきゅっと軽くつまむ。

「んやぁああっ・・!何・・やっやあ、・・ああぁん」
「こ、ここがいい・・?」
「やっやっ・・だめぇ・・んぅう、あ、ひゃぁああんっ!」

指の腹でこすったりひっかいたりして、とどめに強くつままれるとまたさっきみたいに頭が真っ白になって、
とろりとした液が出てくるのをリアルに感じた。
そして、三橋くんはそれを救いあげるみたいに割れ目もなぞる。
秘所から手を離し、さきほど出したばかりの粘液にまみれた指二本を目の前に突き出される。

「・・・ほ、ほら・・いっぱい出たよ・・」
「み、見せなくていいよっ!」

目の前に突き出された指を三橋くんは自分の口元へ持っていくと、それをぺろりと舐めあげた。
わたしはその光景をみてまたカッと顔が熱くなる。

「だっだめだめっ!!汚いよ!すぐ出してっ!」
「い、・・いや、だ・・全然汚くなんか、ない・・」

そういって三橋くんは下着をするりとはぎとって、足の間に身体を割り込ませて秘所に顔をうずめた。
わたしがやめて、と言う間もなく割れ目を舌で裂くみたいに舐める。

「ひ、ひいぃん!あぁぁ、あん・・や、やめ・・っ」

ピチャピチャといやらしい水音が部屋中に響く。
わたしはせめてもの抵抗でふるふると首を振るけども、一向にやめてくれる気配はなかった。
舌が突起のほうに場所移動すると同時に、秘所の中へ指が進入してくる。

「は、・・やっいたぁ・・」
「も・・少し力抜い、て・・」

少しだけ入れられた指の先をくりくりと動かされると、また粘液がとろりとあふれ出す。
その液を利用して、指はどんどん奥へ入っていき、とうとう第二間接のあたりまでぬぷりと飲み込んでしまった。
はじめての異物感に軽く嫌悪感を感じるのとは反対に、秘所はその指を喜んで出迎えるようにひくひくと収縮を繰り返す。

指がなにかをさぐるように前後に動き出すと、さきほどまで休憩していた舌の動きも再開した。
その同時攻めはすさまじいもので、甘い嬌声がただただ漏れるだけだった。

「ひあっ・・!?」

蠢いていた指があるところを擦った瞬間、一際高い声をあげてしまった。
三橋くんはその反応を見逃さず、同じところを何回も何回も擦る。
そのたびに何度も何度も身体がぴくりと反応してしまう。

「やぁっ・・ぅうん・・やめっ・・はあぁっ・・やっ、ああっ!!」

指を激しく動かされて突起を吸い上げられると一瞬目の前がちかちかしたような気がして、身体の力が抜けて、ぐったりとなった。
三橋くんは秘所からうずめていた顔を上げると「篠岡さん・・すごく、色っぽい・・」といって立ち上がり、傍を離れた。
倦怠感にみまわれて三橋くんが何をしているのか見る気にもなれなかったけど、何かを探しているような気配がした。
目的のものを見つけ出したようで、また元の位置に戻ってくる。
右手になにかをもっているようだ。よく目を凝らしてみると、それは家庭用電動マッサージャーみたいなものだった。

「それ・・・どうするの・・?」
「え、・・と・・こ、こうするんだと、思う」

そういってカチッと電源を押すとブゥウウンというモーター音が耳につくように響く。
そして振動しているそれの先をわたしの秘所に押し当てる。

「ひっ、な、なに、いやぁああああっ・・!だ、だめえぇ!」
またさっきみたいな快感の波が押し寄せてきて、ひいていったけれども三橋くんはそれを離そうとする気配はない。
「やっやだああっ、ま、また、・・んやぁああっ・・」
何度も何度も強制的に上り詰められる絶頂に本当に頭が変になりそうだった。
「はあっん、はぅ、んうううぅ、も、ゆ、許してえぇ・・お願いぃ・・やぁああ」
思わず一粒の大きな雫がぽろりとこぼれて頬をつたう。
それをみた三橋くんははっとしたようにその機械を押し当てるのをやめた。

「ごっ・・ごめん!!お・・おれ、調子に乗りすぎて、た・・」

本当にごめんと何回も頭をさげられて、逆にこっちが悪いような気がしてきた。
なんとか上半身だけを起こして三橋くんの顔をみると、さっきまでの別人みたいな三橋くんじゃなくて、ちゃんと元の三橋くんに戻っていた。

「・・ううん、いいよ・・ただ、もうちょっと優しくしてくれると嬉しいかな・・」
「う、うん!わかった・・!」

こくこくと首が折れてしまうんじゃないかというくらい頷く三橋くんにわたしは笑みがこぼれる。
その顔がどんどん近づいてきて、その唇がわたしの一筋の涙のあとをたどると、唇を重ねた。
さっきまでとは違うとても優しいキス。
そっと唇が離れると三橋くんは自分のベルトのあたりをかちゃかちゃとはずそうとしはじめた。
わたしはぼーっとその様子を見ていると、そのベルトをはずす手が止まる。
三橋くんが「あの、あんまり・・見ない、でほしい・・」といったときにようやく理解してわたしは慌ててぎゅっと目を閉じた。

「じゃ、・・じゃあいき、ます・・」
「うん・・」

ぐっと大きくて熱いものがわたしのなかを満たしていく。
いろんなもので慣らされたといっても、まだ初めてなのだ。
すごく痛くて、思わず顔をしかめると、三橋くんはとても心配そうに顔を覗きこんできた。

「あのっ・・あの・・」
「大丈、夫・・さっきのも、全部できたもん」
「ほ・・ほんとうに・・?」

わたしが素直にこくりと頷くと三橋くんも頷いて止めていた腰をゆっくりと動かす。
三橋くんが動くたびにさっきとは比にならないくらいの快感が全身を駆け抜ける。

「あっ、はっ・・んんっああぁ、」
「しの、おかさんっ・・・」

何度も途切れそうになる意識を必死で繋ぎとめる。
それでも薄れていく景色のなかではまとまった言葉を話すことすらできない。

「やんぅっ・・み、はしくん・・へ、変に、なっちゃうぅ・・」
「い、いいんだ、・・そのまま、で・・」
「あぁあぁ、やだあぁ、んぁあっやっ・・・」
「しのおかさん・・、もう、すこし・・」

「やあっ・・はぁっ・・あああっ――――!」

ぐいっと大きく突き上げられたとき、わたしはかすかに繋ぎとめていた意識をとうとう手放した。
視界がどんどん白くなっていき、急に重くなったまぶたに耐え切れずに白い視界を真っ暗に閉ざした。


あのあと、わたしは少しだけ眠っていて、その様子を三橋くんはずっと見守ってくれていたらしかった。

「で、なんでナースなんかに興味もったの?」
ナース服から普通の服に着替え終えると、率直な疑問を彼に投げかけた。

「えー、っと・・それ言ったら・・篠岡さん・・怒る・・阿部く、んも・・」
「なんで阿部くんなの?」

三橋くんはしまった、みたいな顔をして肩を大きく震わせた。

「わたしは怒らないし、阿部くんにも言わないから、言って?」
できるだけ怖がらせないように優しく問いかける。
それでも彼はずっとわたしの視線をそらしつづけ、どうするか迷っていたようだが、ようやく意を決したように彼は口を開いた。

「えっと・・阿部くんが・・あんまりためこむと調子出ないぞ、っていって、きて、貸してもらっった・・んだ・・そ・・その・・そういう系の・・ビデオを・・」

「あ、阿部くんが俺の好み、を考えて選んでくれたみたい、なんだ・・けど・・それが看護婦のやつで・・、
 と、とりあえず・・せっかく貸してくれた、から、みてみようとおもっ、て・・みたら・・それがまた・・ぴったりで・・
 こんなことまで分かるなんて、ほ、本当に阿部くんはすごい人だよ、ね・・」

あはははと三橋くんは笑ってごまかそうとするけれど、顔はずっと赤いままだった。
すると、遠くから電話のコール音が響いてくる。
きっと三橋くんの家の電話だろう。

「あ、ちょ、ちょっといってくる、ね・・」

そういって三橋くんが部屋を出て行った途端わたしは大きく息を吐いて全身の力を抜いた。
全部阿部くんが吹き込んでいたのか。
うらめしく阿部くんの顔を思い浮かべて、部屋を見渡すと本棚に本とは思えないようなものがちらりと見えた。
悪いとは思うけれど、気になって手にとってみる。
すると、それはさっきいっていた例の貸してもらったビデオのようだった。
裏のパッケージにはナース服を着てカーディガンを羽織った女のひとがいやらしい格好でポーズをとっている。
わたしがさっきまで着ていた格好とほとんど同じである。
その女のひとの周りに、ビデオの内容のシーンがいくつかちりばめられていて、それはほとんど全部さっきやったことと酷似していた。
ただひとつだけ違う部分があった。決定的な違いであり、わたしがもっとも気にしている場所。
その女のひとの胸はもうモモカンやそれ以上の大きさであり、半分くらいわけてもらっても今のわたしの胸より大きいだろう。
到底及ばない自分の胸と見比べてため息をつく。

(もう・・ほんと・・阿部くんのバカ・・)


おわり





最終更新:2008年01月06日 20:20