5-407-410 ミズチヨ


椅子に深くかけた水谷に跨るように、正面から向かい合う。
「んなトコ見つかったら言い訳できないなー」
阿部が怖いよぉ、と情けなくうなだれる頭を、ぽんぽん撫でてあげる。
「だいじょーぶ!鍵かけてきちゃった」
「篠岡ぁ・・・」
ふふっと笑う。それから、両腕を首に廻してキスをせがんだ。  
「久しぶり、だね」
「毎日教室で会ってるけどね~」
それとはちがうでしょ、もう。言ってかるく膨らませた頬に、そっと触れるだけのキスを落とす。
甘えて抱きつく身体をしばらく好きにさせておいて、水谷はそっと千代の膝から上へと手のひらを這わせた。
ピクンと背中が跳ねる。重なった胸から彼女のドキドキが伝わってくる、けど、絶対。
(俺の方が、ドキドキしてるよなー・・・)
ほかの皮膚より少し体温の低い、なめらかでひんやりとした太腿の感触を楽しんでいると
慌てた様子でスカートの上からその手を抑えられた。
「待って!・・・す、するの?」
「え、ダメだった?!」
ごめん、篠岡が鍵かけたっつーから俺、てっきり・・・。叱られた仔犬のような目でみつめ返されて、かぁっと顔が赤くなる。
「そそ、そういうつもりじゃ・・・」
「あっ、じゃあ、今からそういうつもりで」
「みずたにくん!」
「・・・やだ。聞かない」
久しぶり、じゃん。耳もとに直接吹き込まれた囁きは、ちょっと拗ねていて。スカートから出した手で背がしなるほど
抱きしめられる。そんなに嫌なの、と続く溜め息がくすぐったくて肩をすくめた。
本当は、キスと抱っこだけのつもりだったんだけどな。
千代は水谷の鼻先にキスをして、言った。
「嫌じゃない。いーよ。・・・さわって?」
だいすきだから。好きなように、触って?

いつもブラウスのボタンを外される時、どこを見ていたらいいのか分からない。
何となく視線を下げて、丁寧に動く水谷の指を見ていた。隙間からささやかな胸が覗く。
今日のブラ、水色だったなぁ。と思ったところで、「あ。」と2人同時に声が出た。
すっかり困惑顔の水谷と目が合って、ぷっ、と噴き出すといっしょに笑った。
「だってさ、初めて見たよ俺、コレ」
「・・・普段あんまり着ないから」
つん、と人差し指で胸の間にあるホックをつつかれる。前開き。いわゆるフロントホック型。
「ねーねー、どうやんの?」
「あ、うん、えっと、・・・水谷くん?」
かるくのけぞるようにして身体を離した水谷はニコーっと笑うと千代の両肩が出るまで
ブラウスを広げさせた。乱れた服が両腕に引っかかる姿はひどくいやらしい、と思う。
「お願い。篠岡が自分で、外して見せてよ?」

カチ。上下かみ合わせのそれを外すと、唇を噛んで正面の水谷を見る。まだ駄目だよぉ、の合図。
時々彼は優しい笑顔で、ちょっとした意地悪をする。恥かしいことをさせたり言わせたり。
甘えたおねだりの仕方に、結局は言いなりなのだけど。
両手で外した丸い部分を、左右にそうっと開いていく。なだらかなふくらみが徐々に彼の目前になり、
すべてを晒したあと、耐えきれず顔を横にそむけると「すげぇ・・・」と小さく息を呑む音が聞こえた。
「も、もういいでしょ。恥ずかしいよ」
「はーい」
よく出来ました、と言って水谷は仔兎のようにふるえる乳房を両手で包む。
こんな千代は自分しか知らない。キレイでかわいくて、感じやすい身体。


ちゅ、ちゅ、と紅く尖った乳首に吸いつきながら下着の隙間に指を潜らせると
奥はすっかり潤っていて、指先からぬるりと沈みこむような感触を伝えた。
指ではない部分が入った時の熱さとうねりを思い出し、中心が痛いほど張りつめる。
今すぐにでも突き入れてめちゃくちゃに掻き回したい。って、ちょっとヤバいって俺!
「篠岡、ちょ、降りておりてっ」
「え」
力の抜けてふにゃっと抱きついていた身体をかるく揺する。
「えーと。最後までしたいんだけど、・・・ダメ?」
「あ・・・」
言いたいことが伝わったのか、千代の顔が見る間に赤く染まる。
のろのろと水谷から降りると、開いた両脚の間にしゃがみこんだ。
不安そうな上目遣いで見上げられると、自分が何だかひどい事をしている気になる。
(さっきまでさんざんえっちなことしといてさ、可愛いすぎるよね!)
ズボンの尻ポケットから、四角形の薄い包みを出す。こないだ姉に見つかって説教された物。
(俺は篠岡が大好きなのに、傷つけるようなことする訳ないでしょー)
ピリ、と開くとかすかに甘い香りがするソレを指先に挟んだまま、片手で窮屈なジッパーを引きおろす。
ぎちぎちと猛った自分のを晒すのはいつだって恥ずかしい。ちっとも慣れない。でも、したい。
「つけて、くれる?」
空気を抜いた先端だけかぶせて、そっと囁く。上ずった声がみっともない。彼女の細い指が絡んで、
もっと情けない声が出そうになるのをぐっと堪えた。べたべたした表面が滑り、うまく根元まで装着できない間さえ
キモチいい。いやらしいこと、させてるなぁ、って見ているだけで興奮する。


「い、いくよ・・・」
上半身を机に這わせた篠岡の後ろから、立ったまま。
まくれ上がったスカートから覗く白いお尻が眩しい。
ぐ、っと腰を落として入り込むと、ゴム越しにも感じる熱さと締めつけに全身が痺れた。
「あ、あ、みず、たに く・・・」
「しのーか・・・すげ、いい・・・っ」
少しだけ抜いて、もっと深く。繰り返し、繰り返し。ガタガタと机が揺れて、痛くない?と気遣う声に余裕なんかない。
何もかも持ってかれそうな快感が一気に突き抜けて、はぁ、と水谷は長い息をついた。


「・・・ひりひり、する」
「う」
「ちょっと今日の水谷くん、乱暴、だった」
「・・・ごめんなさい。反省してます」
「うん」
服を整えて再び寄り添いながら、ごめんな、ともう一度ぽつりと水谷がこぼした。しゅん、と垂れた耳と尻尾が見えるようだ。
もう怒ってないよ、と千代が笑うとようやく笑顔になる。ああ、もう、仕方ない。
「あーあ。水谷くんの困った顔って、反則だよぉ」
「え、俺?なんで?」
「そういうカオ。ずるい!」
だって、許してあげたくなっちゃうんだもん。惚れた弱味ってやつかなぁ。冗談まじりにくすくす囁くと、
ぱあっと明るい声で水谷がぎゅうぎゅう抱きついてきた。
「俺も!俺も、篠岡がだいすきっ」
「わ、苦しいよー」
「すっげー好き。可愛い。大好き!」
素直な表情で、まっすぐな言葉で、たくさんの気持ちをくれるひと。
じゃれあって、キスをして、もっと一緒に居たいひと。

「私だって、だいすきだよ!」








最終更新:2008年01月06日 20:22