5-545-546 ハナチヨ 小ネタ幸せ篠岡 ハナチヨ ◆VYxLrFLZyg


ある放課後、花井くんと二人で近くの商店街の小さいスポーツショップに向かっていた。
その日の昼休み、会計ノートを見せた阿部くんに今まで特売探して購入していた備品を、
店を一箇所にしてその分恒常的な値引きを交渉して来いと言われたからなんだけど。
そんな交渉は苦手だと嫌がる花井くんに阿部くんは冷たく断言して。
「コレはキャプテンの仕事だ。マネジと二人で行って来い。」
あれ、もしかして、ばれてるんだろうな。私と花井くんが実はこっそり付き合ってるの。
阿部くんってなんでも見透かしてそうだもんね。そう花井くん言うと。
「はあ、なんか手のひらで踊らされてんのかな?嫌だな・・・。」
心底がっくりきたようで、ふか~いため息をついてた。
かっこよくて、優しくて、面倒見が良くて、統率力もあって、
なによりどこにいても目立つその背格好に頭。照れ屋で、
ちょっと弱気なところもあるけど、常に前向きで。
そんな人の彼女でいれるのってスゴイ。

交渉役に花井くんを選んだ阿部くんってよく人を見ていると思う。
花井くんを気に入らない人なんて、いないもんね。

案の定交渉はうまく行って、私は今後、学校から一番近い店で備品を買うことになった。
あんまりにもあっさり終わったので、花井くんの家で、会計ノートをまとめることにして。
「部費、滞納してる奴いるか?」
「ううん、それがいないの。みんな真面目で優秀だよね。」
「親の期待・・・かな?父母会でも別に金集めてくれてるし、期待されてるよな。」
プレッシャーがのしっと来たようで、花井くんは蒼い顔で肩を落としてる。
「大丈夫だよ!絶対甲子園いけるって!」
思いっきり笑顔でそう断言すると、花井くんはますますうっとした顔になって。
「篠岡までポジティブシンキングかよ。田島見てぇ。」

そんな花井くんをみてくすくす笑ってると、ノックの音がして花井くんのお母さんが顔を出した。
「お兄ちゃん、ちょっとあの子達迎えに行ってくるわね。留守番よろしくね。」
そういって意味ありげな笑顔で出て行ったおばさんに、花井くんはぶっきらぼうに返事する。
花井くんでもお母さんに反抗期なんだなぁ・・・。

花井くんのお母さんが車に乗って出かけたのを確認してから、
そっと花井くんに近づいてこてっともたれかかる。
その瞬間いつも花井くんは顔を真っ赤にしてどきまぎして。
その反応が見たくて、つい大胆なことをしちゃう。
そのまま頭をずらして、花井くんの太ももに頭を乗せ、目をつぶる。膝枕っていうの?
ひとしきりあたふたした花井くんはその後そっと私の頭に手で触れて撫でてくれて。
この瞬間が幸せ。花井くんの優しさが髪の毛から伝わってくる気がして。


目をぱちっと開けて花井くんを見つめたら、また花井くんはきょどる。
おっきい身体なのに、ちょっと小心者で不思議だな。
ゆっくり体を起こして、花井くんの膝に圧し掛かるように体をずらして、
ゆっくり体を沿わせるように、顔を近づけると花井くんは観念したように、
一つ小さい息を吐いて、そこでやっと、自分から動いて私の唇に自分の唇を重ねてくれた。
「んっん・・。」
口付けを重ねながら、花井くんの大きい手が私の体をまさぐる。

いつおばさんが帰ってくるかわからないから、服は脱がない。
はだけられたシャツの隙間から花井くんの手が侵入して、柔らく私の胸を揉んでくる。
大きくて暖かくて、とろけそう。
座っている花井くんの上に、自ら下着を脱いで、そっと跨る。
はしたないけど、この姿勢が一番好き。ずらしただけのズボンの隙間から
花井くんのモノが見えて、そっと被さる。

ぬるりと滑るけど、逃がさないようにぐっと腰を下ろす。
「ふっ・・・。」
花井くんの吐息が、頭の上から聞こえる。その声に、背筋がゾクリとする。
すっかり受け入れた後、かなり高い位置にある花井くんの顔を見上げると、
花井くんはすべてをわかったような笑顔で、ゆっくり唇を重ねてくれる。
頭の真上からのキス。私は首が折れそうなくらい反らなきゃいけないけど、
この姿勢じゃないと、一つになったままキスできない。
そうして花井くんはゆっくり私を揺らし始めて、
私は花井くんに全身包まれているような、支配されているような喜びに浸る。


終わり





最終更新:2008年01月06日 20:33