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5秒(3秒)ルールの科学的検証:イグ・ノーベル公衆衛生学賞

ノーベル賞のパロディ版であるイグ・ノーベル賞が先日発表されたばかりであるが、その中で最も注目すべき研究はこれだろう。
5秒ルール(日本では3秒ルールということが多い)、つまり床に落とした食べ物は5秒以内に拾って食べればOKという考え方が、科学的に正しいかを検証した研究である。
イリノイ大学のサイトにその報告が載っているので、それを紹介しよう。

この研究はジリアン・クラークという名の高校生が、夏季研修の制度でイリノイ大学のハンス・ブラシェク教授の下にいたときになされた研究だ。

そもそも5秒ルールの原形はなんとジンギス・カンの時代に遡ることができる。彼は床に落ちた食べ物は12時間は安全だと特定していたらしい。

さて、クラークの研究方法は次のようなものである。イリノイ大学のキャンパス内のさまざまな場所(人通りの多いところも含む)の床から微生物を検出しようとしたのである。各場所で1インチ四方の面積をふき取り、ふき取った中から微生物が検出されるかを調べた。

その結果、どこからも計測可能な量の細菌を検出されることが無く、きわめて清潔だという結論になった(日本の水質基準もそうだが、無害の細菌が微量に存在している状態は衛生上問題がない)。そこで、バチルス属細菌などの芽胞(乾燥した環境で死なずに休眠している状態)の検出も試みたが、これも発見されることはなかった。

つづいて、クラークは2インチのタイルとたくさんのクッキーとグミを用意した。この前の段階で、クラークは学生の行動を観察し、彼らはクッキーやキャンディー(グミ含む)により高い価値を置き、落としたときに拾う頻度が野菜など自然物よりも高いことを把握していたので、グミとクッキーを選んだのだ。タイルはまず滅菌し、そこに大腸菌を塗った。そこにグミとクッキーを5秒間のせて、タイルの菌がお菓子に移ったかを調べた。

結果、クッキーについてはすべての場合において、タイルからクッキーへ菌が移っていた。グミについては、表面の粗い床よりも平らな床でより多く菌が移っていた。ちなみにこの課程で彼女は環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)が食品の表面を観察するのにもっとも優れているという結論までだしている。

さて、今までに紹介したものも含め彼女の研究からわかったことは以下の点である。
  1. 5秒ルールは女性の70%、男性の56%に知られており、またこのルールが最も頻繁に使われる状況は、甘いお菓子が指からすべり落ちた場合だった。
  2. 大学の床は微生物学的観点からは驚くほどに清潔である。
  3. 女性のほうが、男性よりも、床に落ちた物を食べる傾向があった。
  4. クッキーやキャンディーのほうがカリフラワーやブロッコリーよりも、より拾われる傾向があった。
  5. もし落とした床が汚かったら、5秒以内に拾っても食べ物は感染している。



なかなかすぐれた研究デザインで感心する。欲を言えば、大腸菌をタイルに塗るときに、大腸菌の数(濃度)をいろいろ変えて、どの位の汚れなら大丈夫かを調べて欲しかった。

さて、要するに5秒ルールは通常はOKということになる。トイレの近くなどでは注意が必要だが、これからも適用していく価値のあるルールと言えよう。

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最終更新:2009年04月02日 22:12