九月 米見(くつき よねみ)
白い少女。感情が薄く、弱い。まるで水に変わるその時の雪のような印象を、関わる者の全てに与える。頭の上から足の上まで白で塗り固めており、彼女自身その衣装には拘りがあるもよう。
正体はインキュベーターの端末の一つ。人間と定期的に関わるうえで、地球人の形態及び性質変化の方向性を探る為の情報収集用特殊型仕様。少女たちとの契約を結ぶ上での、地球人の少女らの思考工程を調べる研究媒体である。人間の体組織をベースに構成されており、精神構造以外は人間の少女の平均値を満たすものである。
インキュベーターとしての通常の役割は殆ど果たさず、「インキュベーターと契約した魔法少女」として“稼働”する。これは本人に自覚は無いが、無意識のうちにインキュベーターひいては宇宙全体の為に行動するようプログラムされている。
魔法少女へ変身している間は黒い衣装に身を包む、オーソドックスな魔女の格好となる。武器は斬撃翌用の西洋剣、銃撃翌用のマスケット銃、非戦闘用魔法の効果を強化する杖などなど、状況に合わせて使い分け、また人類史上存在した武器のおおよそを生み出せる。ただし、基本的なスペックはおろか生み出す武器自体も、平均的な魔法少女より弱く、戦闘時には近くで活動中の通常型インキュベーターが(米見に気付かせず)米見を補助している。今迄のデータによる魔女の行動パターン分析など。インキュベーターにとって、彼女から得られるデータは「無いよりマシ」なのだから。
彼女自身は虚ろである。人並み以下の自我と人並み以下の力と人並み以下の見た目、そして人並み以上の宿命を揺籠にした人間の出来損ないである。彼女は自分が何者であるのか、死ぬまで気付ける事は無いのだ。
願わくば、そんな彼女を解き放つ奇跡が訪れん事を。
最終更新:2013年01月15日 20:24