「いやっ……」
そう小さく悲鳴をあげながら飛び起きる。
見慣れた景色のはずなのに、なぜだか混乱している。
数秒経った後、さっきまで夢を見ていたのだとわかった。
しかし、どんな夢だったか、まるで思い出せない。
動悸が激しいことと、じっとりと体にまとわりつくような嫌な汗をかいていることから、悪夢を見ていたことはわかる。
夢はあまり見ないが、最近は毎日夢を見る。それも、嫌な夢ばかり。
内容を覚えていることもあれば忘れていることもあるが、悪い夢の時は、毎回その夢が現実だと思い込んでしまうため、あまり見たくない。
落ち着いたところで、何時なのか気になり、時計を見ると、まだ夜中だったので、汗を拭き、再びベッドに入る。
すると、先ほどの夢が気になってくる。
覚えている悪夢は、大抵過去の出来事に関連しているか、今大切にしている人達と引き離されるかのどちらかなので、今回の夢もそのどちらかだと思う。
が、今回は断片的にすら記憶していないから定かではない。もしかしたら新しいパターンの夢かもしれない。
気になるからもう一度見たいと思う反面、うなされるどころか飛び起きるほどの悪夢だったのを考えると、見たくない気もする。
今からさっきの夢の続きを見るかもな、と思いながら、ふと気付く。
そういえば、毎年この時期には、連日のように悪夢を見るなあ、と。
内容はばらばらだけど、同じ時期に嫌な夢を見るのはどういうことなのか。
こっちに詳しい人がいたら聞いてみようかな、などと考えているうちに、眠りについた。
作者:銀