スナイパーの仕事、どんなのか知ってる?
小説や漫画、映画でしか知らない?
まあそうだろうね。知り合いにスナイパーがいるなんて人はいないだろうさ。普通はスナイパーであることを隠すしね。
さて、その仕事なんだけど…ほとんど創作と実は変わらないんだ。待つ、狙う、撃つ。これだけ。イエーイ、ザ・シンプル。
ひとつ、物語と違う点を挙げるならば?
そうだなあ、物語のスナイパーはあまり待たないよね。スッと位置に着いてすぐにパーン。構成上仕方の無いことだと思うけど。
実際のスナイパーの仕事は、その9割9分を「待つこと」が占めてるんだ。
ということで今はターゲットを待って3日目。具体的には56時間34分くらい待ってるかな。天候は雪。
「おぉかなり積もってるねー」
これで対象は動きづらくなるから当てやすくなるかな。でも撃った直後にこけられるとヤバいんだよね。あープラマイゼロか。
「……………………ふぅ……………………………………あー寒っ……………………………………………………………………………あぁ………さむ……………」
実際スナイパーってこんな感じよ。待ち時間を文字に起こすとかなりつまらない。だから創作中じゃあ待ち時間はばっさりカットされるわけで。
え?観測手が話し相手だろう?
あー確かに狙撃手と観測手は1セットだもんね。
いませんよそんなもん。
自分が観測手を兼ねてるし、居なくても当たるし。その辺が「天災的」狙撃手って言われる所以だもの。
「!!
…来た!!」
観測手用のスポッティングスコープを更に覗き続けること8時間。64時間目にしてようやくターゲットを補足。……だから狙撃手の仕事は創作に向かないんだ。
「やったーこれで帰れるー!!」
恨みはないけど…さよなら、良い夢を。
作者:代理店