フェンリル「オラ、立てよ」
フェンリルは倒れた相手の髪を掴み、無理矢理持ち上げる。
しかし、その顔を見た途端、フェンリルは思わず掴んでいた手を離してしまった。
フェンリル「これは……!?」
その顔面には、先ほどの透伊達と同様に、無数の亀裂が走っていた。フェンリルの姿をした人物は、よろめきながら口を開いた。
フェンリル(鏡)「ハァ……ハァ……! これで終わったと……思うなよ……!」
亀裂が全身に広がる。
フェンリル(鏡)「テメエは必ず……俺が殺す……! 覚えて……やが……れ……」
そう言い残すと、彼女はその場に崩れ落ち、鏡のように砕け散った。
フェンリル「何なんだ一体……」
残された破片を見つめながらフェンリルは呟く。
『これで終わったと……思うなよ……!』
言い様のない不安を感じながら、フェンリルはゆっくりとその場を後にした。
作者:パラソル