サラサ「怜さん!スピードとパワーで勝てないなら、技術で勝負ですよ!」
レン「まあそうなんだけどね」
怜は刀をくるくると回しながら、紅の様子を見る。紅は二人に背を向けない形で立ち、どちらの動きにも対応出来るように構えている。
レン「ふぅん」
怜はパシッと刀を持つと、切っ先を紅に向ける。
レン「更紗!」
サラサ「っはい!」
レン「私のことは気にしないで好きなタイミングで切りかかって良いから」
サラサ「えっ!?」
レン「だけど無駄に振り回すのはやめてよ」
サラサ「了解です!」
コウ「あのー…もう行っていい?」
レン「だから律儀に聞かなくて良いっての」
コウ「あ、うん」
紅は「どちらにしようかな」と怜と更紗を交互に見た後、更紗の方へ駆け出した。
サラサ「来た…!」
更紗は一瞬ビビるも構えは崩さず、紅の攻撃に備える。
レン「後ろガラ空きで余裕ね…!」
怜は走る紅の後をすぐに追い、背中から斬りかかる。
コウ「そう来ると思った!」
紅は怜をチラッと見ると、急ブレーキをかけバク宙をして攻撃を避ける。そして怜の真上に来たところで怜の両肩に手を置き、バク宙の勢いを利用して更紗の方へ思いきり突き飛ばす。
レン「あっ」
サラサ「えええええっ!?」
怜はそのまま、更紗に抱きつくように倒れ込んだ。
コウ「あはは!」
紅はおかしそうに腹を抱えて笑っている。完全に遊ばれている。
レン「ぬかった…」
サラサ「れっ、怜さん…苦しいです…」
レン「あ、ごめ」
怜は更紗の上から退くと、更紗の手を掴み引っ張り起こす。
レン「後ろから奇襲作戦、失敗か」
サラサ「後ろから奇襲とか、ものすごく卑怯くさいんですが…」
レン「何言ってんの、勝てりゃ良いのよ勝てりゃ」
コウ「隙ありぃ!!」
紅は飛び上がり、後ろから怜に飛びかかる。
サラサ「怜さん!」
更紗は怜の胸ぐらを掴むと自分の方に引っ張り寄せ、紅の攻撃は空を切った。
レン「あぶな…!卑怯くさいわね紅っ!」
サラサ「えー…」
レン「獣化能力の方が、紅とは戦えたかもしれないわね…」ボソッ
サラサ「え?」
更紗は怜の言っている意味が分からず聞き返す。
レン「何でもないわ、とにかく…」
サラサ「…とにかく?」
レン「一旦逃げよう」
サラサ「えっ!?またですかー!?」
作者:R