目の前に飛び込んでくる、見慣れない天井。豪華な装飾に囲まれた部屋。ふわふわのベッド。
(あれ、私……)
「あ、おはようございます」
「! スイ……」
声のした方向へ目をやると、室内だというのに大きめの外套に身を包んだ少女がベッドに腰掛けて、柔らかく微笑んでいた。
思い出してきた。鞠はこの外套の少女、スイ―――確か少女という歳ではなかった気がする―――と出会って、行く当てが無いという話をしたら「屋敷に泊まっていけ」と言われたのだ。
「魘されてたみたいで……すみません、起こせばよかったですね」
スイは立ち上がり、申し訳なさそうに笑う。鞠が「大丈夫」と首を横に振って応えるとスイは安堵したようだ。
「皆さんが朝ご飯用意してくれてますから、行きましょう?」
スイの言葉に頷いて、いつものフィッシュテールワンピースに着替えてから、鞠は部屋を出た。
「あ、おはようございまーす!」
大広間に入ると、腕と目の上に機械を取り付けた少女と白いパーカーの少女が朝食の用意をしていた。テーブルには豪華な食事が並んでいる―――かのように見えた。
「……これは何?」
鞠がテーブルに置かれた箱の一つを手に取る。箱にはデカデカと「コーンフレーク」と書かれていた。
「倉庫で見つけたのでそれでいいかと思いまして。賞味期限は安心していいですから」
(変なところで庶民派だなあ……)
パーカーの少女の話を聞きながら箱を見つめる。まあここに暮らしている『人間』は普通の庶民だったのだから仕方ないといえば仕方ないのだが。そんなことを考えていると、どうやら準備が出来たようなので、大人しく席に着いて食べることにした。
作者:邪魔イカ