この学校には、動物としか会話しないと噂される女の子がいる。人を寄せ付けないその女の子は、周りからはあんまり良く思われていないみたいで、それが更に皆との距離を作ってしまう。
…だけど、私はその子と仲良くなりたい。
それは私の大事な友達のアリスちゃんも同じ考えだったみたいで、お昼休みになったら二人で話し掛けに行ってみようってことになった。
そうしてお昼休みの時間になり、私はアリスちゃんのクラスに向かう。
「アリスちゃーん!」
「紅ちゃん!遅かったね、どうしたの?」
「ごめんね!クラスの友達がなかなか放してくれなくて…」
「ああー…あの紅ちゃんラブな子?」
「ら、ラブって…まあうん、多分アリスちゃんが思い浮かべてる子だと思うよ」
「でも嬉しいんだよね?」
「…うん。困っちゃう時もあるけど、大事な友達だもん」
アリスちゃんと合流して、次の目的地は校舎裏。この学校は広いけれど、アリスちゃんと他愛もないお喋りをしていたからか、あっという間に着いてしまった。
―――校舎裏―――
「…あれ?いつもここにいるって聞いたのに…」
「いないね…」
「ん?あっ…あそこにいる子!あの子じゃない?」
校舎裏に来てみても、その子の姿は見当たらない。二人でキョロキョロと探していると、アリスちゃんが雑木林の方向を指差した。
視力には自信がある私は目を凝らさなくても分かった。たしかに黒髪の女の子が雑木林の中にいる。
作者:まふらー