【ここからアリスちゃん視点】
気がついたら口をついて出ていた言葉。
女の子が話す姿が、何故だか寂しそうに見えたから。
隣にいる紅ちゃんがびっくりしたような顔をしてこっちを見ていたけれど、それでも私は続ける。
「本当に、そんな悲しいことを思ってるの?」
「……そうよ、別に友達なんて…友達、なんて」
「…たしかに、動物の友達に囲まれて、人間の友達を作らなくたって幸せだと思う」
「………………」
「でも、私にはあなたが本心からそれを望んでるようには見えないよ…」
「……わかった風な口、聞かないで…!」
女の子は感情的な口振りで、いやいやをするように頭を振る。再びしんとした空気が戻ってしまった。
どうしたものかと考えていた時、今度は紅ちゃんがこの空気を壊してくれた。
「…きっと、私達にはわからないようないろんなことがあって、人を信じられなくなっちゃったんだよね」
笑顔で優しく語りかける紅ちゃんに、女の子も少し落ち着いたみたいだった。
…次は私の番だ。好き勝手言ってしまったことを謝らなくちゃ。
「ごめんね、つい言い過ぎちゃって……あのね、今は信じられなくてもいいの」
「でも、私達はあなたと友達になりたいって思ってるから…それだけは覚えておいてくれると嬉しいな」
「…なんで、そこまで?」
ある意味当然とも言える疑問に、いち早く答えたのは紅ちゃんだった。
「うーん……友達になりたいって思うのに理由はいらないよ!」
作者:まふらー