そして、「あー」だとか「うー」だとか唸り声みたいなのを上げたかと思えば、紅ちゃんに向かって小さな声で「…ありがとう」と返していた。
そんな様子を見ていた私は、ついニヤニヤと二人を見守ってしまう。
「いいなあ二人だけで仲良くして。私も交ざりたいなー」
「なっ…そんなんじゃないし!もう、いいから早く行きなよ!」
冗談交じりに私がそう言うと、照れ隠しなのか怒られてしまった。それがなんだか嬉しくて、紅ちゃんと顔を見合わせて笑い合う。
「あれって、照れ隠し…だよね?」
「きっとそうだよ、ふふ」
「なにこそこそ話してるの?」
「「なんでもなーい」」
マイカちゃんはまだ疑わしげに私達を見ていたけれど、二人して笑って誤魔化した。
さて、そろそろ教室に戻らないと……でもその前に。
「マイカちゃん!私達、また来るから…覚悟しておいてね!」
「少しずつ、マイカちゃんと友達になれるように距離を埋めるんだから!」
「………好きに、すれば」
二人一緒にビシッと指を差して宣言する。マイカちゃんの表情は少し俯いていたから分かり難かったけれど、微かに笑っていたような気がした。
それを確認すると、私達は校舎に向かって駆けていく。紅ちゃんの表情は笑顔だった。
きっと私の顔も、これからの『友達との日々』を想像して、笑顔だ。
作者:まふらー