飛ばされた者達~ポリシア編~

目が覚めたとき、私は人の手に包まれていた。どうやら夢を見ているらしい。明晰夢というやつだろうか?ぼんやりと霧がかかった頭で考える。人の手にすっぽりと入っている今、私は7~8cmくらいの小人になっているようだ。狭苦しい体育座り、視界は暗いが、少しだけ赤が透けて見える。ためしに触れたすぐそばの肉は温かく、耳をつければ鼓動が聞こえた。この手の主は生きているのだろう。
人肌というのはなかなかどうして、触れていると気持ちがいい。この眠気は耐え難い。せっかくの明晰夢を楽しむ間もなく、私は更に深く夢に沈んでいった。
ふいに襲った激痛に、再び目を覚ました。熱い、痛い、まるで火の中にでもいるかのような。頭が働かない。落ち着け。無理だ。痛い。やめて。頭を抱えて縮こまる。ごうごうと音がして、叫ぶ意識を遠くから眺めているような。熱い、熱い、苦しい、なんなんだ?疑問を感じると同時に急速に頭が醒めていった。熱い、確かに熱いがなぜか肩胛骨だけだ。おかしい。火事なら全身が痛み、思考の余裕なんてないはずだ。痛い。熱い。いや考えろ。汗が止まらない。痛い。痛いのは肩胛骨、他に痛みはない。暑くて喉が渇くが、私はサウナで寝るなんて馬鹿はしないし、サウナは好きじゃない、いやそうじゃなくて。それる思考を唇をかんで引き戻す。必死に周りに視線を向けるが、更に頭が掻き乱されただけだった。赤くて暗くて、壁がすぐそばにある。柔らかい。意味がわからない。なんだ?何が起こっている?落ち着け。落ち着け。見たことがある、気がする。最近、どこかで、確か、なんだったか。痛い、痛い、そうだ、夢だ。夢に見たことがある。これは手で、私は包まれていて、あれ、それならこれも夢で、でも痛い、熱い。耐えられない。痛みから逃げたい。壁は押しても、もぞりと動くだけだ。同時に背中を押された。なんだ?振り向こうとするが

※ここで投稿は終わっていました。

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最終更新:2014年05月26日 02:03