邪魔イカSS~透伊ちゃんと結さんの出会い編1~

「ねぇねぇ結さん。私ずっと気になってたんですけど」

肩をちょいちょいと控えめに叩かれ、声をかけられた。後ろを振り向くと、そこには獣人化出来る少女、霧崎紅が結を見上げる形で立っていた。

「気になっていたって……何がだ?」

「はい。結さんとヌシさんって、元の世界では同じお仕事していたんですよね?」

「まあ、そうだな」

「カッコいいよねー!相棒だったんでしょ!?」

何処かで聞いていたのか、目を輝かせながら言うのは、魔法使いの少女、アリス=セレーネ。アリスは傍らにいた黒猫を撫でながら

「私とオパールみたいだね」

と言った。黒猫のオパールは素っ気ない態度だ。

「それで、結さんとヌシさんが一緒にいるのは分かるんですけど」

紅が気まずそうに話を続ける。話の内容は大体想像がついた。

「透伊のことか」

結がそう言うと、紅はこくんと頷いた。

「二人と透伊さんがどう出会ったのか気になって」

「あ、それ私も気になってた!」

紅の言葉に、アリスも諸手を上げて賛同する。

「だって透伊ちゃんとヌシさんって絶対合わなそうだもん。」

確かに否定出来ない。二人は顔を合わせれば睨み合い、酷い時にはヌシは銃を抜くし、透伊はナイフを取り出す。それも「いつものことだ」と流せるようになってしまった自分が嫌になる。

(意外と似た者同士なんだがな)

結は心の中で呟き、肩をすくめた。

「透伊は私の知り合いだったんだ」

「へぇ~、どう知り合ったの?」

「聞きたいです!」

二人の少女が目を輝かせる。その光景に、結の頬も自然と緩んだ。

「そうだな……」


 

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最終更新:2014年05月26日 03:48