「ねぇねぇ結さん。私ずっと気になってたんですけど」
肩をちょいちょいと控えめに叩かれ、声をかけられた。後ろを振り向くと、そこには獣人化出来る少女、霧崎紅が結を見上げる形で立っていた。
「気になっていたって……何がだ?」
「はい。結さんとヌシさんって、元の世界では同じお仕事していたんですよね?」
「まあ、そうだな」
「カッコいいよねー!相棒だったんでしょ!?」
何処かで聞いていたのか、目を輝かせながら言うのは、魔法使いの少女、アリス=セレーネ。アリスは傍らにいた黒猫を撫でながら
「私とオパールみたいだね」
と言った。黒猫のオパールは素っ気ない態度だ。
「それで、結さんとヌシさんが一緒にいるのは分かるんですけど」
紅が気まずそうに話を続ける。話の内容は大体想像がついた。
「透伊のことか」
結がそう言うと、紅はこくんと頷いた。
「二人と透伊さんがどう出会ったのか気になって」
「あ、それ私も気になってた!」
紅の言葉に、アリスも諸手を上げて賛同する。
「だって透伊ちゃんとヌシさんって絶対合わなそうだもん。」
確かに否定出来ない。二人は顔を合わせれば睨み合い、酷い時にはヌシは銃を抜くし、透伊はナイフを取り出す。それも「いつものことだ」と流せるようになってしまった自分が嫌になる。
(意外と似た者同士なんだがな)
結は心の中で呟き、肩をすくめた。
「透伊は私の知り合いだったんだ」
「へぇ~、どう知り合ったの?」
「聞きたいです!」
二人の少女が目を輝かせる。その光景に、結の頬も自然と緩んだ。
「そうだな……」