邪魔イカSS~透伊ちゃんと結さんの出会い編3~

聞き込みを始めて数時間。有力な情報は殆ど無かった。結は道端のベンチに座り、ふう、と溜め息を吐いた。

(まあ、簡単に見つかる訳がないか……)

結はもう一度溜め息を吐いて、聞き込みを再開しようと立ち上がった。が、その拍子に

ドン

―――人にぶつかってしまった。

「あ、すみません」
「いえ、こちらこそ……って」

ぶつかった人を見て、唖然とする。薄い肌や髪の色に、黒い瞳、そして白衣。

写真に写っている『井ノ本 透伊』そのものである。

「本当にすみませんでした。では」

目の前の人物が歩きだす。結ははっと我に帰り、彼―――彼女か?―――を呼び止めた。

「あ、あの、すみません」
「えっ当たり屋ですかすみません俺今お金無いです」

とんでもない誤解をされている様な気がする。結は早く話を切り出そうと、写真を取り出して見せた。

「井ノ本透伊さんですか?」

目の前にいる人物は少しだけ目を丸くした後、何でもないように「そうですが」と言った。

 

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最終更新:2014年05月26日 03:47