作者:わんこ
お題「ウォシュレット」
ある日の昼下がりのことでした。いつものようにフェンリルの散歩をしていたレイチェルでしたが、急にお腹が痛くなってきたのです。
「オゴォ……ハライテ……マジ……パネェッスヨ……」
「どういう口調だ吸血鬼」
「きっとお昼に食べた東洋人があたったんだわ……! オダノブナガとか言ってたかしら」
「よく分からんがヤバげな人喰ったんだな」
「いやペルリとか言ってたかしら」
「語感的にありえない間違いだろそれ」
「とにかく! このままでは不味いわ。というわけでポチ! 出番よ!」
「黙れ!」
「動けないご主人様に代わって用を足せる場所を探してきて頂戴!」
「嫌だ! 今日という今日は言うこと聞いてやるもんか!」
「う、うぉあぁお腹がぁあああ」
「ちょ、ちょっと待ってろ!」
そんなわけでトイレを探してあげるフェンリルでした。
○ ○ ○
暫くすると、一軒の小さな家を見つけました。
「あの、すみませーん」
「はーい」
ノックをすると返事が返って来ました。どうやら人が住んでそうです。
「どちらさまで――」
ドアを開けながら出てきたのは、セクシーおじさんでした。
「うわぁ!」
「すかぶべら!」
思わず顔面を殴ってしまいました。ブッ飛ぶセクシーおじさん。
「ぶぉっ……ふぉぉぁぁ……!」
やたらスローモーションな感じできりもみ回転します。
「ピャアウ!」
床に叩きつけられました。ぬるりとした鼻血が流れるのを見て、フェンリルは我に返りました。
「あ、す、すまない……」
「いえ……何の御用で……?」
「トイレを貸してくれな……くれませんか?」
「ああ、そこの突き当りを右……です……」
震える手で廊下を指差すセクシーおじさん。見た目に反していい人でした。