作者：Ｒ
ｶﾞﾀﾝｯ
ﾍﾞﾗﾝﾀﾞで物音、窓を開けるｱﾘｽ
ﾌｪﾝ｢あ｣
ｱﾘｽ｢あれ､ﾌｪﾝﾘﾙ？｣
ﾌｪﾝ｢あー､あの…よう｣
ｱﾘｽ｢なんでそんなとこに？｣
ﾌｪﾝ｢いや､えーとまぁ、うん｣
ｱﾘｽ｢？
まぁ良いや！中においでよ､暖かいよ｣
ﾌｪﾝ｢…ああ､邪魔する｣
ﾌｪﾝ｢…｣ｿﾜｿﾜ
ｱﾘｽ｢さっきからｿﾜｿﾜして､どうしたの？｣
ﾌｪﾝ｢いやっ､ｿﾜｿﾜなんてしてないぞ!?｣
ｱﾘｽ｢ふーん？｣
ﾌｪﾝ(どうすっかな…なんか渡せない)
ｱﾘｽ｢あ！そうだﾌｪﾝﾘﾙ､今日はｸﾘｽﾏｽｲﾌﾞだよ！｣
ﾌｪﾝ｢えっ!?ああ､そ､そうだな！｣
ｱﾘｽ｢折角ﾌｪﾝﾘﾙが来たのに､ﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄ用意してないや…うーん｣
ﾌｪﾝ｢俺は別にいらないぞ？｣
ｱﾘｽ｢でも…あ！缶詰があるよ！｣ｶﾞｻｺﾞｿ
ﾌｪﾝ｢いや、いらないって
大事な食料だろ？｣
ｱﾘｽ｢ｸﾘｽﾏｽだし、大事な人にはﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄあげたいの！｣ｶﾞｻｺﾞｿ
ﾌｪﾝ｢へっ!?｣(大事な人だと…!?)ｶｧｱｱ
ｱﾘｽ｢あった、はい！｣
ﾌｪﾝ｢でも…｣
ｱﾘｽ｢黙って受け取る！｣ﾎﾞｶｯ
ﾌｪﾝ｢ｲﾃﾞｯ！…じゃあ貰っとく、ありがとな｣
ｱﾘｽ｢…最近、全然遊びに来なかったね｣
ﾌｪﾝ｢ああ、ﾚｲﾁｪﾙんとこに捕まっててな｣
ｱﾘｽ｢ちゃんとご飯食べてた？なんか痩せたみたい｣
ﾌｪﾝ｢あー…ﾚｲﾁｪﾙんとこ、毎日生ｺﾞﾐみたいな飯しか出されなかったから、そのせいだろ…｣ｽﾞｰﾝ
ｱﾘｽ｢なんか…ごめん｣
ﾌｪﾝ｢いや、良いんだ
…で、今日来たのは…｣
ｱﾘｽ｢あ！今日泊まってく!?何もないけどｗ｣
ﾌｪﾝ｢え、ああ、うん｣
ﾌｪﾝ(くそ…ﾀｲﾐﾝｸﾞが…)
ｱﾘｽ｢良かった！最近寒かったから毛布が欲しかったんだよね！｣
ﾌｪﾝ｢毛布要員かよ！｣
ｱﾘｽ｢最近冷え込むじゃん？ｵﾊﾟｰﾙ抱えて寒さ凌いでたけど、ちっちゃくてあまり暖取れないんだよね、ｵﾊﾟｰﾙは暖かそうなんだけど｣
ｵﾊﾟｰﾙ｢ﾆｬｰ｣
ｱﾘｽ｢だから、暖かいﾓﾌﾓﾌに包まりたいなと！｣
ﾌｪﾝ｢あー、分かったよ｣
ﾌｪﾝ｢…で、だな、今日来た理由は…｣
ｱﾘｽ｢あ！そういえばこの前さー！｣
ﾌｪﾝ｢…あ、ああ｣
～ｱﾘｽの話で１時間経過～
ｱﾘｽ｢…と、いうわけだったのだ！｣
ﾌｪﾝ｢そーなのかー｣ﾎﾞｹｰ
ｱﾘｽ｢大丈夫？眠そうだよ？｣
ﾌｪﾝ｢いや、眠くねぇし！｣ｺﾞｼｺﾞｼ
ｱﾘｽ｢時間もあれだし、もう寝ようか？｣
ﾌｪﾝ｢ああ………
って、ちがーうっ！｣ｶﾞﾀﾝｯ
ｱﾘｽ｢何!?｣ﾋﾞｸｯ
ﾌｪﾝ｢忘れてた！｣
ｱﾘｽ｢な、何を!?｣
ﾌｪﾝ｢俺が来た目的だよ！｣
ｱﾘｽ｢目的？｣
ﾌｪﾝ｢ﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄだよ！ｸﾘｽﾏｽﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄ！｣
ｱﾘｽ｢あげたじゃん？｣
ﾌｪﾝ｢俺が！お前に渡すﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄだよ！｣
ｱﾘｽ｢…へ？｣
ﾌｪﾝ｢だから、今日はただ寝る為に来たんじゃなくてな！一応、ﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄを渡す為に来たんだよ！｣
ｱﾘｽ｢私に？｣
ﾌｪﾝ｢そうだよ！｣ｶﾞｻｺﾞｿ
ﾌｪﾝ｢…これ｣
ｱﾘｽ｢箱？何？｣ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ ｶﾗﾝｶﾗﾝ
ｱﾘｽ｢…ｺﾞﾐ？｣
ﾌｪﾝ｢ｺﾞﾐじゃねぇ…！｣
ｱﾘｽ｢ふーん？｣ﾊﾟｶｯ
ｱﾘｽ｢綺麗…何の石？｣
ﾌｪﾝ｢魔石、俺が作った｣
ｱﾘｽ｢作ったの!?｣
ﾌｪﾝ｢まぁ、正しくは石に魔力を詰め込んだだけなんだが…｣
ｱﾘｽ｢…強力な魔力だね｣
ﾌｪﾝ｢満月の夜のお前に匹敵する魔力だぞ、どうしても力が必要な時に使えよ｣
ｱﾘｽ｢へー凄い！ありがとう！｣
ｱﾘｽ｢てか疑問なんだけど、なんで私の性質の魔力が入ってるの？｣
ﾌｪﾝ｢え｣
ｱﾘｽ｢まさか！魔法で私の魔力をちまちま削ってたんじゃないでしょうね!?｣
ﾌｪﾝ｢そっそんなわけねぇだろ！｣
ｱﾘｽ｢じゃあこの私の魔力はどっから集めたのよ！｣
ﾌｪﾝ｢それは…何というか…｣
ｱﾘｽ｢答えなさいよ！｣
ﾌｪﾝ｢えーと…あー…｣ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ
ｺﾞｵｫｵ
ｱﾘｽ｢あ！何で今変身するのよ!?｣
ﾌｪﾝ(面倒な時はこれが１番だよな)
ｱﾘｽ｢もう！これじゃ喋れないじゃないのよ！｣ﾓﾌﾓﾌﾓﾌ
ﾌｪﾝ｢ﾜﾌｯ､ﾜｳｯ｣(もう寝ようぜ)ｺﾞﾛｯ
ｱﾘｽ｢何勝手に寝る体勢に入ってるのよ…わっ！｣ﾎﾞﾌｯ
ﾌｪﾝ｢ｳﾞﾌｯ｣(騒ぐな)
ｱﾘｽ｢むむむ…気にはなるけど…久々の暖かい毛布ー！｣ﾓﾌﾓﾌﾓﾌ
ﾌｪﾝ｢ｸﾞｩｳ…｣(くすぐったい)
ｱﾘｽ｢…ﾌｪﾝﾘﾙ、うちにもいっぱい遊び来て良いんだからね｣
ﾌｪﾝ｢ﾜﾌｯ｣(ああ)
ｱﾘｽ｢ﾒﾘｰｸﾘｽﾏｽ｣
ﾌｪﾝ｢ﾜﾌｯ｣(ﾒﾘｰｸﾘｽﾏｽ)
ｱﾘｽ｢人に戻ったらﾜｹを吐かせるからね｣ﾎﾞｿｯ
ﾌｪﾝ｢｣(早朝に逃げよう)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ちょい解説
ﾌｪﾝﾘﾙの作った魔石(ﾏｼﾞｯｸｼﾞｪﾑ)について
石は多分その辺に落ちてた手頃な石で、それに魔力を込めたことで、宝石みたいにｷﾗｷﾗ光る綺麗な石になったというわけですｗ
ﾌｪﾝﾘﾙの能力は魔力を食らい自分の力にするということですが、これはつまり、奪った相手の魔力の性質を変化させる事が出来るという能力なんです
だから相手から奪った魔力の性質を理解して(理屈ではなく)自分の魔力の性質に変化させることで、自分の魔力として自由に扱えるのです
その能力の応用として一度魔力を食らった相手なら、自分の魔力をその相手の魔力の性質に変化させることも出来ます
ですからｱﾘｽちゃんへのﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄは、ﾌｪﾝﾘﾙが地味に自分の魔力を溜めて作った
愛のこもったﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄなのですｗ
