作者:代理店
クラスに気に食わない男がいる。名前は三方原譲。何故気に食わないのかは、自分でも分からない。ただ、今日の体育の授業が男女合同だと聞いて、怜はこの上無いチャンスだと思った。
「そういう訳だから、覚悟しておけ」
「いや、どういう訳だよ。いきなり背後から蹴りつけてきやがって」
怜のキックが見事にヒットし、譲は背中を押さえながら蹲っている。何が起こったのか分からない、といった様子だ。怜は譲を見下ろしながら続けた。
「今日の体育、天津先生が射撃やるって言ってたから」
「げ、マジかよ」
「それで決着つけましょ。あんた射撃の成績いいんでしょ?」
怜がそう言い放つと、譲はフラフラと立ち上がり、先程とは打って変わった目付きで怜を睨んでいる。
「何だそれ。挑戦か?」
「勝負よ、勝負」
「負けた方は何でも言うことを聞くってか」
「それでも良いわね。私は負けないから」
そう挑発すれば、譲の眉がピクリと吊り上がり。
「いいじゃねーか。受けてやるよ、その勝負」
そうこなくては。