第11回トーナメント:決勝③
No.5394
【スタンド名】
Make Some
Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!
【本体】
仰木 健聡(オオキ ケンソウ)
【能力】
体液に衝撃を込める
No.5297
【スタンド名】
ギア・エクスペリエンス
【本体】
時任 八千代(トキトウ ヤチヨ)
【能力】
殴ったものに歯車を発生させる
Make Some Noizeee…e!!!! vs ギア・エクスペリエンス
【STAGE:レトロな商店街】◆NEX/MvTMs.
アーケード商店街での激闘の後……二人はお互いに体力を限界まで消耗していた。
―――30分前
お互いに、立会人が科した『ルール』は二つ。
・相手の胸に装着された『バッジ』をとったものを勝者とする。
・どちらかが死亡した場合、無効試合とし、勝者無しとする。
人っ子一人居ないシャッター街に、これみよがしに置かれた机の上に、
そのルール表と二つの『バッジ』がおかれていた。
仰木健聡も……意義を唱える猶予もなく、対面する時任八千代も、仕方ないな、と肩を窄めた。
しかし――この一方的に言い渡されたルールは、『殺さなければ』『何をしてもいい』と言っているのと同じだと、
お互いはすぐに気がついていたのである。
その後は、しばし続く激戦だった。健聡もすぐに襲いかかり、
八千代も逃げながらまるで健聡をあしらう様に――戦った。
このルールの上で二人は削りあい、叩きあい……体力での限界を感じた八千代は、
アーケードの上に逃げたが……健聡は追撃に追ってきていたのである。
時間は、午後11時を回っていた。
「……追い詰められた……みたいだね」
八千代は、ふと夜空を見上げながら呟いた。
その身体は、大の字になって、アーケードの上に寝そべっている。
健聡は目の前のそれを見下ろしていた。
「年の功で追い詰めた、と思ったが……勢いには勝てないな、
最後は若さに負けたってところか」
「なんだ、負けを認めるっていうの? もうちょっと、骨があると思ったけど」
健聡の悪態に、八千代は笑いを溢した。
「君の攻撃のせいでね……身体がもう動かないのさ、体力の限界だな、
ダメージも多いし……年齢って奴かな? 動けない奴に……
勝ち目があるとでも思っているのかな?」
「あんたになら……もしかしたらと……思うけどね……」
「僕はそこまで勝ちに貪欲じゃあないな……」
健聡は、八千代の目をじっと見据える。
――闘志が……ない……。
健聡は唇を噛み締めた。
――なんていうか……期待はずれだ……。
――もっと……強いオッサンだと思ってたのに……。
戦いの中で、健聡は、少し八千代に対して、不思議な思いを持ち始めていた。
『敬意』というべきか『尊敬』というべきか。きっと、若い健聡の中でも、
八千代という男に、『かっこよさ』というべきものを感じていたのかも知れない。
「くそっ……」
心のどこかで、圧倒的な力の前に平伏すような、
強大な『大人』を求めていたのかも知れない。
考えるより先に手が出る性格は、健聡に、
まず幸福を齎すということはなかった。何かあれば大概の場合、喧嘩になる。
だから、時には利用され、時には疎まれ……馬鹿にされ、貶され……
特に大人って連中は健聡のことを、マトモに取り合うことはなかった。
まして、スタンドという存在は、健聡にある種の優越感を与えていた。
自分は他とは違う、他より優れている、特別なのだと思わせていた。
だが、この八千代という男には、『負け』そうな気がしていたのに……
勝てなさそうな気がしていたのに!!!!
だから!! 健聡には目の前の、勝利を諦めた八千代が許せないッ!!
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
健聡は雄叫びを挙げた。
「『Make Some Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!』ッ!!」
『Make Some Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!』の腕が、真っ直ぐに、八千代の胸に向った。
狙うは、『バッジ』!!ただ1つ!!!
もはや、健聡の勝利は確実だろう。
立会人、『加賀御守道』はそう思っていた。
「なるべく、怪我人を出さないように、ああいうルールにしたんだけど、
しょうがないわね。まぁ死人は出てないし……」
そこは、商店街の管理ルールである。アーケードの各所に設置された監視カメラから、
二人の戦いを監視していたのである。
「病院への移動手段は用意しているし、
二人を病院へ搬送したら、仕事は終りってとこね」
アーケードのすぐ側には、怪我人が出てもいいように、救急車両を配備しているのだ。
ある程度のケガは治療できるし、すぐに収容可能な病院も手配していた。
だから――彼女は仰天した。
時任八千代は、勝利を諦めていた、闘志を無くしていたのではッ!!
ここになって、彼は何を思ったのか!!闘志を再び取り戻したのかッ!?
突如として、『Make Some Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!』の腕を
『ギア・エクスペリエンス』が払い除けたッ!!!
健聡も、あっけにとられていた。
――八千代さん……やっぱ、やるじゃん……。
――健聡くん、すまないな、「負けだ」と言ったが……嘘だった。
一瞬の硬直の後、
気づけば『ギア・エクスペリンス』の出した歯車が、
アーケードの屋根の上を滑っていく。
滑りながら――歯車は、とあるものを動かしていた。
とあるとんでもないものを起動していたッ!!!
『屋根の開閉システム』。それは、時間を巻き戻しているか、
進めているのかわからない。いつか開く未来にいくのか、
かつて開いていた過去を再現しているのか。どちらでもいい。
ドドドド……ゴゴゴゴ……
アーケードの屋根は、音をたてて、開き始める。
そう、二人を上に乗せたまま。
「八千代さんッ! 年甲斐もなく……無茶しすぎじゃないのッ!?」
健聡は叫び声を挙げて、八千代を睨んだ……
が、八千代の意識はもう朦朧としている。相当ダメージが嵩んでいたのだろう。
「ちょっと! 俺も気を失いたいくらい疲れてるっての!」
――でも、やばいッ!!
屋根が傾き、二人を滑らせていく。
「このままじゃ落ちるッ!!」
商店街の床はタイル張り、その下はセメント作りか、
叩きつけられれば只では済むまい。
「俺だけなら、屋根が下がりきるまでに、逃げられないこともないけど……」
「でも、このままじゃ八千代さんが!!」
――まずいッ! 地面に叩きつけられたらッ!!
健聡は、八千代の腕を掴んでいた。
ガタッ!!!
屋根は下がりきり、地面に対してほぼ垂直にぶら下がっている。健聡は左手で屋根の端を、
もう片方の手で八千代を必死に掴んでいた。
「健聡君……今の君じゃ、支えるのは無理だ。離しなさい」
僅かながらの意識の中で、八千代が呟いた。
「厭だねッ! 見捨てられるかっての!!」
健聡の腕が限界を向え、二人が落下するのに、さほど時はかからなかった。
どれほどの時がたったのだろう。
八千代が目を覚ますと……。
「病院……か?」
「そうよ、あなたが先に気が付いたみたいね」
八千代の横のベッドには、健聡が横たわっている。
目の前には、一人の女性がパイプ椅子に腰掛けていた。
「君は、立会人さん……かな?」
「ご名答、加賀御守道よ、よろしく」
「出来れば、状況を説明していただけるとありがたいのだが……
ひょっとして、まだ試合は終わっていないのかな?」
「そうね、どっちも『バッジ』を奪えていないわ。
自分の胸と横で寝てる彼の胸をみてみればわかると思うけど」
八千代の胸にも健聡にも『バッジ』が装着されたままだ。
「今、『バッジ』をとれば、『勝ち』ってことになるんだろうね」
「まぁ、時間はかかったけどね」
「そうか」
病室の窓から日が差し込み、今が昼であることがわかる。
もうだいぶ時間が経っているようだ。
「じゃあ、これを彼に渡して欲しい」
八千代は、自分の『バッジ』をとり、御守道に手渡した。
「『負け』……でいいの?」
「ああ、気持ちで負けていたよ」
「助けてもらったから、勝ちを譲るってこと?」
「はは、そんなに人間出来ていないよ。別に彼も僕が
心配で助けようよしたわけじゃないさ。もし、僕が死んでしまったら……
彼は勝てないことになってしまう。そういう『ルール』だったからね」
「まぁ、そういう『ルール』だったわね」
「それに対して、僕は、あの時に、勝ちはもう諦めていた筈なのにね、
寸前になって、思ったのさ。『負け』たくない。絶対に負けたくないってね。
勝ちたいなんて思わなかった。むしろ、道連れにして殺してしまおうくらいに
思っていた。勝ちなんて捨てていたんだよ。ただの自棄だ」
「……」
「勝利は勝ちたいと願ったものにあるべきだよ」
そういうと八千代は枕に頭を預け、目を閉じた。
健聡が気が付き、勝者が確定するのは、翌日の朝であった。
★★★ 勝者 ★★★
No.5394
【スタンド名】
Make Some
Noizeeeeeeeeeeeeeee!!!!
【本体】
仰木 健聡(オオキ ケンソウ)
【能力】
体液に衝撃を込める
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最終更新:2022年04月17日 13:06