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第03回トーナメント:決勝③




No.2643
【スタンド名】
メテオ・クラッチ
【本体】
豊念寺 惑火(ホウネンジ マドカ)

【能力】
殴ったものに熱を込め、弾丸として飛ばす


No.4377
【スタンド名】
ニール・コドリング
【本体】
加賀 御守道(カガ ミモチ)

【能力】
インクを膨張させて造形して操作する




メテオ・クラッチ vs ニール・コドリング

【STAGE:旅客機】◆aQVFw6W.SA




豊念寺惑火は、ファーストクラスのふかふかソファーに腰掛けて、すぐ近くの席の対戦相手たる加賀御守道と、対面していた。
すでに対峙しているだけあって彼女たちの間にはフライトの時からほとんど会話が存在していなかったが、その沈黙は加賀によって破られる。

「「毛布」はいらないかしら。豊念寺さん」
「?……いえ、別にいらないですよ」


「そう?」

先手を打ったのもまた、加賀御守道。胸ポケットから万年筆を抜き取って素早く惑火に向けて『ニール・コドリング』を撃ち出す。

『ヤット出番カ! 待チワビタゼ可愛イ子チャンッ!』

加賀のハスキーボイスとは対照的な、やや下品な声が漏れ、そこに黒いインクで形成されたスタンドが顕現する。

「『メテオ・クラッ…』」
「遅い」

スピード自体は拮抗しているのだが、明らかに惑火が出遅れた。
結果、惑火の服を『ニール・コドリング』が斬り裂いた。血は出ていないが、胸の谷間部分がより露出を増し、完全に紫色の可愛さが皆無なブラが露出した。

「決してひがんではいないわよ。決してね」
『ウワー嘘臭ェ』
「お黙りッ」

そんなやり取りをしている間に、惑火は胸の部分を手で隠し、恥ずかしそうに二歩ほど後退する。

「間髪いれずに言うけど豊念寺さん。あなたには足りないものが多い」

そこから猛攻が始まる。
完全に後手に回ってしまった『メテオ・クラッチ』をあざ笑うかのように、近距離で操る『ニール・コドリング』の猛スピードの攻撃が迫る。制服やスカートにはどんどん斬り傷が入る。

いくら女同士とは言え、服を引ん剥かれて丸裸にされるのは恥ずかしいったらないのだ。それだけは避けたい。

「このォッ!」

『メテオ・クラッチ』の拳で応戦しようとするが、それはやはり空振りに終わる。

「それはあとから言うとして……あなたこの場では相当に不利な状況なのよ」


この場は空。絶賛飛行中の旅客機が舞台なのだ。
故に破壊力の高過ぎるこの『メテオ・クラッチ』の、破壊力に高い弾丸を飛ばす能力というのはこの飛行機に穴を穿つほどの威力にすら成り得る。

「くそぉ……! 服ばっか狙ってェ!」
「あたりまえでしょう。これはサービスカットなの」
「SSでサービスカットって……」

「無理があるわっ!」

『メテオ・クラッチ』の何気なく打ち出した拳、それは何にも当たりはしなかったが、惑火は気付く。
空ぶったはずの拳の先にいた加賀の、髪の毛が少しだけ、「揺れ」た。

「……?!」

そして思案する。無い頭を使って考える。

『メテオ・クラッチ』の一番の欠点を、あえて挙げるとすれば癪であるが精密性の低さだ。地に足をついた状況下であればいざ知れず、このような空の上では破壊力が高くて制御が難しいなんて危険以外の何ものでもない。

それが分かっているだけに、後手に回らざるを得ないこの状況は、惑火にとって歯痒い以外の何でもなく、イライラがただただ募る。

「でも……」

先の、加賀の髪を揺らした衝撃。あれはいったい何だったのか。
何かに熱が籠って、撃ち出されたと考えるのが自然……なのだが、豊念寺惑火の解釈は違った。

「これはあれか……あのカンフー映画の達人がアレ的な……」

語彙の少ない惑火の頭からはじき出された結果は違った。

「『メテオ……』」

何を思い立ったか惑火は『ニール・コドリング』を振りほどいて前の座席の方へと走り出す。

「?」

前にあるのはビジネスクラスの座席。いくら開き直ったとはいえ、全力で能力を解放すれば少なくとも機内火災は避けられない。
だが、ほんの数m距離を置いただけで惑火は立ち止まる。

「『クラアアアアッチッ!!』」


何もない空間に向けての、全力の拳撃。
これは先の戦いで破ったフランチェスカ・J・シャフナーの『デリケート・サウンド・オブ・サンダー』が拳の余波(拳圧)を槍のように収束させて撃ち出しているのと同じような感じなのだが、精密性が圧倒的に足りない『メテオ・クラッチ』では邪念を解き放って集中力を保った状況下でなければ、槍と言うより大量の細い針が展開されるようなもの。

「どうだッ! これなら……」

自分が土壇場で新能力を開花させたと思い込んでいる惑火に対して、加賀御守道は溜め息をついた直後に言った。

「そろそろ教えましょうか。あなたに足らないもの」


「アナタに足りないもの、それは!」

何か勘違いをしている惑火が、距離を十分にとれていないことに気付くことは最後まで無かった。
未だ『ニール・コドリング』は近距離型相当のパワー・スピード・精密性を保持している状況につき、『拳圧の槍』はすぐに躱される。

「冷静、精密性、スピード、パワー制御、戦略性、優雅さ、上品さ! そしてなによりもォォォオオオオッ!!」

そして、間もなく猛スピードの『ニール・コドリング』の攻撃が襲う。

『ニール・コドリング』の手が停止した瞬間、ドヤ顔にきわめて近いしたり顔で加賀御守道が叫ぶ。

「女子力が足りない!!」
『他人ニ言エタコトカヨ』
「お黙りッ」

かつて対峙した『小野津泪輝』という敵の早口セリフを真似た決め台詞を言い終えたその瞬間、惑火の下着以外の衣服全てが爆ぜ、顔全体を燃ゆる炎のように真っ赤にした惑火が胸を隠しながらペタンと横たわったのは、そのすぐあとのことだった。

「約束通り……毛布をどうぞ」

★★★ 勝者 ★★★

No.4377
【スタンド名】
ニール・コドリング
【本体】
加賀 御守道(カガ ミモチ)

【能力】
インクを膨張させて造形して操作する








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最終更新:2022年04月15日 02:53