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第05回トーナメント:決勝③




No.4718
【スタンド名】
スロー・アタック
【本体】
バド・ワイザー

【能力】
触れたものをペシャンコにしたり膨らませたりする


No.5002
【スタンド名】
ブレイク・フリー
【本体】
相羽 道人(アイバ ミチト)

【能力】
触れたものの「束縛」を解放させる




スロー・アタック vs ブレイク・フリー

【STAGE:ビル街】◆bT6c9WIwLg





それなりの大都市風のビル街、それも真っ昼間だというのに、そこには人は二人しかいなかった。

一人は見るからに屈強な男性。
もう一人は上品なスーツに身を包んだ品のある女性。

バド「・・・立会人?」

立会「はい。私、今回のトーナメント決勝戦の立会を務めさせていただくファエルと申します。よろしくお願いいたします」

バド「(実況解説の次は立会人ねぇ・・・トーナメント運営してる組織ってのは実在するみたいだな)」

ミチト「遅くなってすみませーん!」
今回も時間ギリギリに息を切らして駆けてくるミチト。

ファエル「相羽ミチト様ですね?招待状の提示をお願いします」

ミチト「あぁ・・立会人の方ですね。はい、どうぞ!」
ミチト「(1回戦とは違う人か・・職員何人くらいいるんだろう?)」

ファエル「・・・確かに。確認いたしました。それでは・・・・・・」
コホンと軽く咳ばらいすると、ファエルは改めて二人の顔を見る。


ファエル「只今より、バド・ワイザー様VS相羽ミチト様による決勝戦を行います。勝負内容はコイントスです。お二方、宜しいですね?」

バド「・・・」

ミチト「・・・」

バド・ミチト「「・・・はい!?今なんて!?」」

ファエル「只今より、バド・ワイザー様VS相羽ミチト様による決勝戦を行います。勝負内容はコイントスです。お二方、宜しいですね?」

バド「(・・・ご丁寧に全文繰り返しやがった)」

ミチト「(本当にいるんだ・・コイントスで勝負決めさせる立会人って)」

ファエル「・・・宜しいですね?」

バド「良いわけないだろ・・・何故ここまできてコイントスだ?ふざけるな」
これまでの命懸けの戦いはなんだったのか。
文句の一つも言いたくなるバド。

ミチト「ええっと・・・それって本当にただのコイントスなんですか?」

ファエル「はい、実にシンプルなコイントスそのものです」
そう言って懐から一枚のコインを取り出す。

ファエル「私が投げたこのコインが最終的に地面に落ち、その動きを止めたとき、表か裏かを当てていただく。ただそれだけです」

ミチト「・・・それだけ?」

ファエル「はい、それ以上もそれ以下もありません。私はただコインの裏表を見届けるのみです」

バド・ミチト「「・・・成る程」」


思わずハモってお互いの顔を見合う二人。
そう、二人はこのコイントスが決勝戦に相応しい戦いだと理解したのだ。

ファエル「それでは、先に会場に到着されたバド・ワイザー様にお聞きします。表ですか?裏ですか?」

バド「裏だ。ボウズ、それでいいか?」

ミチト「俺はどっちでも構いませんよ」

ファエル「それでは、相羽ミチト様が表。バド・ワイザー様が裏ということで開始します!」

ファエルの親指によって弾かれ、回転したコインが空高く舞い上がる。
それを見た二人は即座に自分のスタンドをコインに向かわせる。

バド「(立会人は言った。自分の仕事は裏表の確認だけだと・・・)」

ミチト「(つまり・・・コインに何をしようが、俺らが殴り合おうが何をしようとも、それらは全て不問!)」

そう、つまり宙を舞うコインに如何に己のスタンドで干渉できるかの勝負!!

スロー・アタック vs ブレイク・フリー
名前とは裏腹にスタンドの素早さではスロー・アタックの方が上。
先にコインに触れるのは、スロー・アタック!

ミチト「・・・させるか!ズームパンチ!!」
負けじと腕を伸ばすミチト。
痛みに耐えたかいもあり、ブレイク・フリーの一撃が紙一重の差でコインを殴りつける。
ブレイク・フリーのパワーによって、コインは目視が難しい高さまで跳ね上げられた。

バド「とりあえず高く撃ち上げて時間稼ぎってとこか・・・だったらコインより先に本体を叩くまで!」


一旦コインから離れ、二人は互いにスタンドをぶつける。

ミチト「ブレイク・フリィィィィィィーーー!!!」

バド「スロー・アタァァァァァック!!!」

近距離でのラッシュ勝負。
一撃一撃の重みで勝るはブレイク・フリーだが、速さが違う。
戦闘のプロとアマ、本体のセンスの差もある。
相手の攻撃を捌きながら自分の有効打を叩き込む。
少しずつ、それでいて確実にスロー・アタックが追い詰めていった。

バド「隙あり・・・!」

ミチト「ぐ・・・」
そしてとうとうスロー・アタック会心の一撃が、がら空きの胴体に叩きこまれた。
盛大に弾き飛ばされるミチト。

ミチト「(・・・ダメだ。手数で圧倒されてる。普通にやってたら殴り勝てないな)」
痛みに苦しみながらも冷静に相手の実力を判断する。
残念ながら単純なスタンドの殴り合いはこのままでは勝ち目がなさそうである。

ミチト「(となると、狙いはコインか)」
そう、どれだけ殴り負けようとも関係ない。
これはあくまでもコイントス勝負なのだ。

バド「そろそろ決めるぜ。これ以上痛い思いしたくなかったらおとなしくしてな」

回転しながら落ちてきたコインに向かい、腕を伸ばすスロー・アタック。
その能力により、コインはまるでビーチボールに息を吹き込むかのごとく膨らんでいく。


バド「(コインを膨らませる理由は2つ。
    1つは肥大させることでコインが地面に着くまでの時間を短縮させること。
    そして、もう1つは・・・これだ!)」

大きな球体となったコインは落下時の回転の勢いによって道路を転がっていく。

バド「(地面に落ちたコインは当然転がる。
    だが、表裏どちらかの面を上にして能力を解除したら・・・?
    球体では無くなったコインはその動きを止める)」

「私が投げたこのコインが最終的に地面に落ち、その動きを止めたとき、表か裏かを当てていただく。ただそれだけです」

バド「(つまり、球体コインが裏を上にしたときに能力を解除すれば・・・勝ちってわけだ)」

勝利に向けてコインを見つめるバド。

ゴロゴロ
 ゴロゴロ

バド「(あとはもう少し回転が遅くなって裏表の目視ができれば・・・・・・)」

ゴロゴロ
 ゴロゴロ

バド「ん・・・?」

ゴロゴロ
 ゴロゴロ

バド「馬鹿な・・・・・・」

ドドドドドドドドドドドドドドド


バド「何故止まらない!?何故全く回転の勢いが衰える気配がない!?」
はっと何かに気づいたようにミチトの方を見るバド。

バド「ボウズ、いったい何をした!?」

ミチト「貴方がコインに何か細工したがっているのは分かっていた。
    だから、俺は最初にコインを殴ったとき、その時点で先に仕込んでおいたんだ。
    貴方が何をしようとも、その計算が狂うような一撃を・・・!」

ドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・・

ミチト「ブレイク・フリー、その能力は束縛の破壊・・・・・・
    俺は壊したんだ。コインの運動にかかる束縛・・・則ち、摩擦を!」

そう、ミチトの最初のコインの一撃はただの時間稼ぎではなかった。
このときを狙った壮大な布石だったのだ。

バド「成る程な。やるなボウズ・・・だが・・・だったらお前を倒して能力を解除させるまで!」

ミチト「・・・やっぱり?」

向かってくるバドを見ながらミチトは思う。
単純なスタンドの殴り合いはでは勝ち目がない。
そう、「単純」な殴り合いでは。

ミチト「・・・やるしかないか」
ブレイク・フリーはその拳を高く掲げ、力を込める。

バド「(渾身の一撃って奴か・・・あれを避けられるかの勝負!)」

ミチト「ブレイク・フリィィィィィィーーー!!!」

あまりの衝撃。空気裂く音、焦げる臭い・・・
ブレイク・フリー渾身の一撃は見事叩き込まれた。

・・・「ブレイク・フリー」の胴体に。


バド「・・・は?」

困惑するバド。
当然である。最も警戒していた恐ろしい一撃。
それをあろうことか己に叩き込むような自爆。

ブレイク・フリーの胴体にヒビが走る。
それはやがて全身に広がり、ブレイク・フリーの身体を包む鎖や鍵は全て砕けて消えていく。

ミチト「・・・上手く・・いったみたい。
    これ・・ズームパンチよりもっと痛いから・・・あんまりやりたくないんだ・・・」

全身ボロボロになったミチトの隣に並び立つもの。
それは文字通り「一皮剥けた」漆黒のスタンド。

ミチト「ブレイク・フリーact2・・・・・・キャスト・オフ・ブレイク・ザ・チェーン!!」

・・・ブレイク・フリーact2
それは己の成長にかかる束縛を破壊し、一時的に発動する進化したスタンド。
やがて訪れるかもしれないミチトの未来の姿の一つ。

ミチト「俺には覚悟がある・・・やるときはやるんだっていう覚悟が。
    そう、覚悟さえあれば、未来だってこの手に掴めるんだ!」

バド「・・・たいしたガキだ」

スロー・アタックはブレイク・フリーにラッシュを仕掛けるが、act2のスピードは向上しており、その全てを難無く避ける。

バド「・・・おいおい、マジかよ」

お返しとばかりに放たれたブレイク・フリーのラッシュ。
そのパワー、スピードに手も足も出ず、遠くへと弾き飛ばされるバド。


バド「やるなボウズ・・・今のは・・・ちょっとマズイぞ」

ブレイク・フリーのラッシュを全身に浴びたバド。
己の胴体をフルパワーで殴ったミチト。
二人の身体は既に限界。

バド・ミチト「「(次が最後の一撃だ!)」」

互いに駆け寄る二人。
殴る力はあと一発分といったところ。
ならば先に殴った方の勝ち・・・!

ミチト「(パワーもスピードも俺が勝ってる。相手の攻撃は全部かわせるし、ラスト一発でもとどめはさせる。
    そして、射程だってズームパンチを使える俺の方が上だ!!)」

ミチト「ブレイク・フリィィィィィィーーー!!!」

音を立てて間接が外れ、伸びた腕が真っ直ぐにスロー・アタックへと向かう。

ミチト「(勝った!)」

そう、ミチトが思った瞬間。
スロー・アタックの姿が消えた。

ミチト「・・・え?」

バド「残念だったな」
あっさりとブレイク・フリーの一撃を避け、宙に飛び上がっていたバド。
そのスピード、跳躍力・・・・・・
これまでのスロー・アタックとは比べものにならない!


バド「お前の能力は確かに凄い・・・ある意味最強だろう。
   だが、どうやら上手く制御できてないようだな。
   おかげで、俺も超えたぜ。俺の限界を!」

そう、ブレイク・フリーact2の凄まじい能力をミチトは扱いきれていなかったのだ。
そのラッシュを全身に浴びたバド。
その結果、バドもまた己の成長にかかる束縛を破壊されていた。
限界を超え、そのパワー、スピード、全ての能力が向上している!

バド「叩き込む・・・お前のスピードでもかわせない一撃を!」

スロー・アタックは自分の拳をコーティングし、膨らませていく。
みるみる膨らみ、ミチトに迫る逃れようのないほど大きな拳。

バド「スロー・アタック・・・・・ジャイアントパンチ!!」

・・・戦いは終わった。
全ての力を使い果たし、ただ横たわる男が二人。

その脇を気にもとめず歩くファエル。
その向かう先には、肥大化も無限運動も終えて、ただ沈黙するコインがあった。

彼ら以外に誰もいないビル街を暑く照らす太陽。
その光を浴び、コインの「表面」が光り輝いていた。

★★★ 勝者 ★★★

No.5002
【スタンド名】
ブレイク・フリー
【本体】
相羽 道人(アイバ ミチト)

【能力】
触れたものの「束縛」を解放させる








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最終更新:2022年04月16日 14:50