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第07回トーナメント:決勝③




No.5307
【スタンド名】
ツリートップ・ロック
【本体】
エツィオ・クラーツ

【能力】
指先から種を撃ちだし、着弾地点から枝を生やす


No.5480
【スタンド名】
オーメンズ・オブ・ラブ
【本体】
満木 葉華(ミツギ ヨウカ)

【能力】
本体の身体に「紙の性質」を付与する




ツリートップ・ロック vs オーメンズ・オブ・ラブ

【STAGE:カメユーデパート】◆DGa2W9yD5g




カメユーデパート


「またここかぁ……それにしても、こんなどこにでもありそうなデパートが決勝戦の舞台だなんて……」



二回戦、そして決勝戦の舞台として用意されたこの場所で、満木葉華はベンチに腰をかけた後、軽くため息をつきながら考える。

(とうとう決勝戦まできちゃった……でも結局『素敵な出会い』なんてなかったなぁ~
……あのインチキ占い師、これが終わったら痛い目見せてやるんだからっ!!)

(……いや、もしかしたら決勝の相手が私の『運命の人』だって可能性もあるし……ってないない!!
あんな占い師の言うことなんてアテになんかならないしっ!!…でも相手がカッコイイ人だったらいいのになぁ~……)

そうして葉華がまだ見ぬ対戦相手に対し妄想を膨らませていると、1人の男が歩み寄ってきた。


???「もしかしてキミが対戦相手かい?決勝だというからどんなおっかないヤツが相手なのかと思ったが……
実に可愛らしいお嬢さんじゃないか!胸が無いのが玉にキズだが」

葉華「そうですけど……って胸のことはほっといてください!!
それにいきなりなんてこと言うんですか!?そ、その……か、カワイイだなんて…///」

???「ン~~?オレは事実を言ったまでなんだけどなァ~……
それにしても参ったな、こんなカワイイ娘を痛めつけなければいけないなんて……」

葉華「ちょっと、それって私が女だからってナメてるんですかっ!?
私だって決勝まで勝ち進んできたんですからっ!!私、男・女でわけて考える人嫌いです!!」プイッ

???「ハハッ、そりゃすまなかった。そういえば自己紹介がまだだったな。
……オレの名は『エツィオ・クラーク』、自然保護のレンジャー部隊『ブルーローズ』に所属してる、よろしくな。キミの名は?」

葉華(『ブルーローズ』…?何か引っかかるなぁ…どこかで聞いたことあるような……)


エツィオ「お~い、もしもォ~~し」


(ていうかよく見たらこの人なかなかカッコイイじゃないッ!…ヤバ、結構タイプかも……)ポー


エツィオ「お~いってば、お~~~い!!」

葉華「ハッ!?すみませんちょっと考えごとを……」

エツィオ「ハハッ、これから決勝だしな、考え事の1つや2つあるだろう……
で、オレに見惚れてるところすまないんだがキミの名を教えてくれないか?」

葉華「べ、別に見惚れてたわけじゃっ!!……コホン、私は満木葉華、こちらこそよろしくお願いします」

エツィオ「ヨーカかァ~、可愛らしくていい名前じゃないか!……ところでヨーカ、確か試合開始は15時キッカリだったよな?
試合開始の時間になれば合図のチャイムが鳴るらしいが、今はもう14時55分だ…そろそろ試合内容を決めようか」

葉華「では分かりやすく、単純明快に『相手に負けを認めるか、戦闘不能になった方が負け』なんてのはどうでしょう?」

エツィオ「OK!分かりやすくてなによりだ……というか、最初からそのつもりだったんだけどな。そしてそれはキミもだろう?」

葉華「ふふ…まあその通りです」

エツィオ「その自信、期待してるぜ」


キーンコーンカーンコーン


かくして戦いの火蓋は切って落とされた。


エツィオ「先手必勝ッ!!悪く思うなよ!!……ってアレ?」


スカッ


先に仕掛けたのはエツィオの方だった。

エツィオは試合開始を伝えるチャイムが流れると同時に『ツリートップ・ロック』の拳を葉華に叩き込んだ。

だがしかし、確実に命中したはずの拳は渇いた音と共に虚しく風を切るのみだった。

葉華「そんな単純な攻撃なんて当たりませんよ……チャオ♪」

葉華は『ツリートップ・ロック』の攻撃をひらりと避けると同時に、その拳圧を利用して宙を舞い、姿をどこかに隠してしまった。

エツィオ「なるほど……自分の身体を紙のようにできるのか……こりゃあ便利な能力だなァ~~」

エツィオ「さては近くに身を潜めているな……隙をみて奇襲を仕掛けるつもりか?」キョロキョロ


葉華「こっちですよ♪」シュバッ


葉華はエツィオの頭上から現れると、そのまま手刀で肩を斬りつけた。

エツィオ「うおッ!?上からきたかッ!!」シュババババババッ

葉華の攻撃に対し、エツィオもすかさず全力のラッシュで応えるが、やはり葉華には1ミリのダメージもなかった。

葉華「まだ解らないんですか?……私の能力は『私自身が紙になること』。のらりくらりと受け流し、そして不意に現れる……そういう能力なんです」

エツィオ「へェ~~、なるほどなァ……ま、言われなくても気づいてたんだけどさ、いやマジで……要するにキミはどんなに速い攻撃も当たらない……そう言いたいんだろう?」

エツィオ「だがそういう思い上がりが命取りなんだよなァ~~」


シュルシュルシュルシュルッ!!


突然エツィオの腕から枝が生えてきたかと思うと、その枝は葉華の下半身にガッシリ絡み付き、葉華の動きを抑えた。

葉華「えッ!?」(しまった……『枝を生やす能力』…まさか私が捕まってしまうなんて……)

エツィオ「こうすれば攻撃を避けられる心配はない……少し傷は負ったが…捕らえたぜヨーカ、案外呆気なかったな」

葉華「くッ……!!私が思い上がっている…?その言葉、そっくりそのまま返してあげますッ!!」

追い詰められた葉華は上着のポケットから“あるモノ”を取り出した。

エツィオ「なんだとッ!?そ、それは……ライターッ!?おいおいまさか……」

葉華「そのまさかですよエツィオさん……こうやって私を捕まえたのはむしろ貴方にとって逆効果だったようですね!!」


ボォォォォォォ!!!


なんと葉華はそのライターで自分ごと枝を燃やし出したのだッ!!
そしてその炎はたちまちエツィオの元へと燃え広がってゆく……


エツィオ「くッ……ヤバいッ!!ツリートップ・ロック解除ォッ!!」


ジリリリリリリリリリリリ!!!!


店中にけたたましいベルの音が鳴り響き、滝のような勢いで水が降り出す。
葉華が起こした火が燃え広がったことでスプリンクラーが反応したのだ。


しばらくするとそれは収まったが、葉華の姿は見当たらない……
ベルの音とどしゃ降りの雨がエツィオの聴覚と視覚を阻害し、それを利用することで葉華は姿を隠すことができたのだ。

エツィオ「ヨーカ…まさか自分ごと枝を燃やすとは……クレイジーな行動だが…その覚悟、敬意を表するぜ」

エツィオ「だがなヨーカ、ネズミみてーにコソコソ逃げ回ってるだけじゃあオレは倒せねーぜ……
それにキミは『濡れている』そしてさっき『燃えている』……満身創痍のその身体ではそう遠くへ逃げることはできない……きっとまたそこらに潜んでいるんだろう?」

エツィオ「出てこいよ……決着をつけようじゃないか」


シーン……


エツィオ「ま、出てこれるわけないよなァ~~、紙は濡れれば重くなっちまうし、そのうえキミは全身に火傷を負っている……今出てきても勝負は目に見えているからな……」

エツィオ「仕方ない、かくれんぼは苦手なんだが……こっちから見つけ出してやるとするかなァ~~!!」


コツ…コツ…


エツィオが葉華を探し出すために食料品売り場を捜索していたその時だった。

    ・・
(ん…?アレはまさか……)

その目は水溜まりに映った『2つの影』を補足した。

     ・・・・・・
エツィオ「見つけたぞッ!!」


エツィオは振り返ると同時にありったけの種を発射したが、種は葉華の頬をかすっただけで一撃も命中しなかった。
そしてその数秒後、突如エツィオの身体に電撃が走った!!なんと葉華はスタンガンを隠し持っていたのだ!!

エツィオ「…グッ…う……あ……」

葉華「はぁ…はぁ……危なかった……貴方が何を飛ばしてきたのかは解らないけど……もしあれが一発でも当たっていれば私は負けていたでしょう……」

葉華「……あの状況で火傷を負ったことも……こうしてびしょ濡れになることも……貴方を倒すためには全て必然の行動だった……」

葉華「それに私は逃げ回っていたわけではありせん……貴方を誘っていたのです、こうして貴方を倒すためにね」


葉華がエツィオを待ち伏せしていた場所は調味料コーナーだった。

床を見ると水溜まりには食塩が混じっている。多くの植物は塩水を与えると枯れ果ててしまう……
葉華はそれを利用し、『ツリートップ・ロック』の能力を封じようと考えたのだ。

そして二回戦でゴルトにやったのと同じようにスタンガンをエツィオの首筋に押し付ける。

葉華「さて……正真正銘『王手』です。それでも負けを認めませんか?…その場合、貴方を殺めてしまうことになるかもわかりませんが……」

能力は封じられ、首筋にはスタンガンを押し付けられている……
一見、完全に追い詰められたかのように見えたエツィオだったが、意外にもその表情は自信に満ち溢れていた。


エツィオ「フッ…『王手』だって?……面白いな…オレに勝てると思ってるところが……」

エツィオ「まさかキミがスタンガンを持っていたなんてな……正直ビックリしたよ。
……だがなヨーカ、そんなことは些細なハプニングに過ぎない……勝つのはオレだ、キミは既に『負けている』んだからな」

葉華「……何をバカなこと言ってるんです…?ハッタリかましたって無駄ですよ……私にはやるといったらやる『覚悟』がある」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


エツィオ「ほう…だったらゴタゴタ抜かしてねェでさっさとやれよ……テメェの『覚悟』を見せてみろッ!!やれるもんならな……」

そう言い放ったエツィオからは先程までのどこか抜けた感じの雰囲気は全く感じられなかった。
むしろ今では、その瞳からひしひしと強い『覚悟』を感じることができる。


(この状況であの余裕……まさか私に勝てる策があると言うの?
……いや、ありえないッ!!これは『ブラフ』!!…私を動揺させるのがアイツの狙い……恐れることはなにもないッ!!)

葉華「……いいでしょう、貴方が自ら望むのなら……死んでもらいm――ッ!?」


(か、身体が動かない!?……いったい何故……?)


葉華の身体には『ツリートップ・ロック』の枝はおろか、エツィオにも指一本触れられていない…
それどころか、エツィオはスタンドを出してさえいないのに、葉華は全く動くことができなかった。

そしてエツィオは何も解らないまま立ち尽くす葉華を見て、淡々とした口調で語りだした。

エツィオ「お前は何か勘違いをしているようだが……俺が狙っていたのはお前じゃない。そして『種』は全弾狙い通りに着弾している……だからお前は動けない」

葉華「……」

(『種』……?そして私を狙ったワケじゃない……?いったいどういう……)

エツィオ「まだ解ってねーようだな……いいぜ、教えてやる…今俺が捕らえたのはお前じゃない、捕らえたのはそのスタンドさ」

葉華の背後では、スタンド『オーメンズ・オブ・ラブ』の身体が多数の枝で完全に押さえつけられていた。

(『種』……!!あの時飛ばしたのは『枝の種』……!!まさかそんなことができただなんて……)

葉華「でもなんで……?植物は塩水に弱いはずじゃ……」

エツィオ「フンッ!そんな半端な知識でオレに勝てると思っていたのか?植物には『塩生植物』っつーのもあるんだぜ」


(そ、そんな……こんなハズじゃなかったのに……)


身動きは封じられ、スタンドも捕まった。そして練りに練った策さえもいとも容易く破られてしまった……
まさに絶体絶命というにふさわしいこの状況で、葉華の戦意は完全に消失し、もはや話す気力さえ消え失せてしまっていた。


しかしエツィオはそんな葉華に容赦なく追い討ちをかけてゆく。


エツィオ「ところでお前、『殺る覚悟』はできているなんて言ってたが……『殺られる覚悟』はどうなんだ?
……『人を殺る』ということは『自分が殺られる』かもしれないということだ……命を懸けた戦いに『降参』なんてものはない」

エツィオ「そして今のこの状況……お前はもう逃げれない逃がさない」

エツィオ「身体の痺れも収まりつつある……『覚悟』はできたか?…『チェックメイト』だ」


――葉華は理解した、自分は殺される……そう感じていた。身体のあらゆる自由を奪われ、指先すらピクリとも動かすことはできない……
こんな状態で、しかも濡れてしまっていては攻撃を避けることもできず、たった一撃のパンチですら致命傷は免れない。
もはや恐怖で声を出すことさえもできないでいた。


(『ブルーローズ』『運命の人』……あの占い師はこの事を言っていたのかなぁ……
『エツィオ・クラーク』……確かに『運命の人』だった……でも全然、『素敵な出会い』なんかじゃなかったなぁ……やっぱり…私は……)


葉華の頬に一筋の涙が流れた。
既にその瞳には闘志はなく、ただ絶望と恐怖の涙が流れるのみであった……


だがそれでもエツィオは……エツィオの『覚悟』は止まらなかった。


エツィオ「さてと…さっきの失敗があるからな……『確実に殺る』……容赦はしないッ!!」

エツィオ「『覚悟』しろッ!!ツリートップ・ロォーーーック!!」

葉華「――――ッ!!」


瞬間、目の前が真っ暗になった。自分は死んでしまったんだ……そう思った。
だがおかしい……止まったはずの心臓の音が聞こえる……
葉華はおそるおそるその目を開いた。
するとそこには啜り泣く自分を必死になだめすかせようとするエツィオの姿があった。


エツィオ「……なんちゃってェ。ちょっと脅かしただけだよ~ン……だから泣かないでくれよォ~~、マジゴメンッてば!!」

エツィオ「……つーかそもそも理由もないのに殺るわけなんかないじゃないか……
もう勝負はついたんだし、これで終わりってことでいいよな?……まさかまだやるつもりなんてコトは……」

葉華「グスッ……やるワケないじゃないですかっ!……参りました、私の完敗です……」

エツィオはそれを聞いてホッと胸を撫で下ろす。

葉華「……でも何故私のスタンドに気付いたのですか?見えないように隠していたはずですけど……」

エツィオ「ああ、オレも最初はいわゆる『無像型』のスタンドだと思ってたんだが……ヨーカが攻撃してくる直前、水溜まりに映ったスタンドを偶然見つけたのさ。
それまではオレに見つからないように死角に潜ませていたんだろうが……あの時ヨーカにはそれを考える余裕なんてなかったからな。」

エツィオ「ま、そんなことはどうでもいいさ……それよりヨーカに渡したい物があるんだ」

葉華「これは……?」

エツィオから渡されたのは青い薔薇のモチーフのバッジだった。

エツィオ「これはオレ達『ブルーローズ』に認められた証みたいなものさ。これさえあれば、オレ達の監理する公園に住む猛獣達に襲われる心配はない……
いつでも遊びに来なよ、オレ達『ブルーローズ』はキミを歓迎するぜ」

葉華「……その…気持ちはとっても嬉しいんですけど……どうしてこれを私なんかに?私は貴方に負けたのに……」

エツィオ「なぁに、簡単なコトさ。オレはキミを気に入った……いや、惚れちまったのさ。キミのその『強さ』、そして『弱さ』にな」

エツィオ「ヨーカ、キミは強い…もしかするとオレなんかよりもずっと……」

エツィオ「だがな、キミが最後に見せた怯えた目……アレは『保健所で処分される直前の捨て犬』のソレと同じだったんだ……キミは『愛に飢えている』……少なくともオレにはそう見えたんだ。
キミのことは何も知らないし、ただの勘違いなのかもしれない……だけどその時オレは『守ってやりたい』『愛し合っていたい』って…そう思ったんだ」

エツィオ「だからそのバッジはオレの『愛の証』でもあるんだ。……でもキミがいらないと言うのなら捨ててもらって構わないよ。……『それ』はオレの『一方的なモノ』でしかないんだからね」

葉華「…………捨てるワケないじゃないですかっ!……それに…エツィオさんの『それ』は『一方的なモノ』なんかじゃありませんからっ!!」


そう言い放つと葉華は勢いよくエツィオの胸へと飛び込んだ。
エツィオはあまりに急な出来事に一瞬戸惑った様子だったが、葉華の身体を優しく包み込むように抱きしめた。


どれくらいそうしていただろう……
日が沈みカラスが鳴き出した頃、エツィオは抱きしめていた腕をそっと離し、重い口を開いた。


どうやら別れの時がきたようだ。


エツィオ「ヨーカ、ずっとこうしていたいところだが……オレはそろそろ行かなきゃならない…チームのみんなが待ってるからな。…じゃあなヨーカ、達者でな!!」

葉華「あのっ!!…ありがとうございましたっ!……いつかきっと、必ず遊びに行きますからっ!!」

エツィオ「ああっ!絶対、約束だからなっ!!待ってるぜェ~~!!」


こうして無事、二人の戦いは幕を閉じたのだった

★★★ 勝者 ★★★

No.5307
【スタンド名】
ツリートップ・ロック
【本体】
エツィオ・クラーツ

【能力】
指先から種を撃ちだし、着弾地点から枝を生やす








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最終更新:2022年04月27日 21:52