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第09回トーナメント:決勝③




No.6410
【スタンド名】
ダーティ・ロットン・バスターズ
【本体】
ハシム・バラミール

【能力】
物体に同化し、自壊する


No.6425
【スタンド名】
アストロブライト
【本体】
西獅子 星司郎(ニシシシ セイシロウ)

【能力】
描かれた星座からイメージを具現化する




ダーティ・ロットン・バスターズ vs アストロブライト

【STAGE:廃ホテル】◆3p07Uw3oRY





暗い廃墟ホテルの303号室から一人の男が出てきた。
彼の名は『西獅子星司郎』。『アストロブライト』のスタンドを使う。
なにやら星司郎の顔に冷や汗をかいているような気がする。
いや冷や汗をかいている。それはなぜか。
『303号室』でとてもまずいことをしたのだ。
少し時間を遡る。


深い森の奥に大きく古びた廃墟ホテルがあった。
そこのホテルの入口前に一つの車が停まった

「ご到着しました。こちらが今回の会場です」

「ここは・・・ホテルか?」

車のドアが開けられそこから星司郎が現れた。
星司郎の質問に車の中の人物が答える。

「正確には忘れられボロボロになった廃墟のホテルです。
床に穴が空いてたりしますのでお気をつけください。
そして試合が終わったら迎えに参ります。それでが私はこれにて失礼させて頂きます」

車のエンジンがかかり、車は森の中へ消え去った。
見届けた後、空を見て感動する。星がとても綺麗に見えるのだ。実は街灯の多い都会では星の光をはっきり見ることが出来ない。しかし田舎のような街灯が少ない地域でが星がよく見えるそうだ。
星司郎はその光景を見てすっかり今回なにしに来たか忘れてしまった。
気がつけば303号室にいて、その部屋の窓から星を見ていた。
しばらくして満足したので部屋から出ようとした。ここで一瞬の油断が存在した。靴の先が床の穴に引っかかって派手ぬ転んでしまったのだ。
こんな穴に引っかかるとは。そう思った時、あることに気づく。


『せいざのほんがない!?』



せいざのほん。彼のスタンドの武器と言える大切なモノだ。
それがなくては星座の具現化は非常に厳しい。
慌てて探したところさっきの穴と別のパイプ管みたいな大きさの穴に目がついた。
まさか。そう思い近寄って穴を覗き込んだ。
部屋を上から覗いたような景色が見えた。今いる部屋と同様ボロボロでそっくりだ。その部屋の床に星司郎が探してた本があった。


その後、棒切れを2つで掴もうとしたりスタンドを限界まで飛ばして回収するにも届かなかった。もうすぐ三回戦目が始まるというのに非常にまずいことになった。
ここからじゃ絶対取れない。急いで下の階へ行って回収することにした。
だがそんなうまくいかない。現実は厳しい。


ザ、ザ、と足音が聞こえた。


「ヤー、こんばんわ。対戦者さんで合ってますかね?」

ハシムが歯を剥き出した笑顔で対応してきた。
星司郎にとって最悪の対面だ。彼は心の底から絶望した。

「ああ、合ってるよ。俺の名前は星司郎だ。宜しく」

だが、試合はスデに始まっている。今のピンチを悟られてはならない。ここで動揺すれば悟られてしまう。なので星司郎の今出来ることはチャンスを待つしかない。

「ワタシ、ハシムと申しマース、宜しくデース・・・・
立会人さんいませんね」

「・・・一回戦目はいなかったから毎回いるわけじゃないみたいだ」

「・・・・・2回戦でなんかありましたか?」

「・・・何でもないことだ」

星司郎はこの後何をして乗り切るかを考えた。
一方ハシムは。

「フーン、ところでちょっといいデスカ?」

ハシムはポケットに手を突っ込んだ。

「なん・・・ッ!?」

ハシムは突然、リボルバー拳銃をポケットから取り出し星司郎に銃口を向ける。ハシムの笑顔がぐにゃりと歪む。

「この勝負、本気でシメさせてもらいまショウ」

ハシムの手に力が入る。

「『アストロブライト』ッ!!」




バンッ

銃声が響き渡った。


「ッ・・・!?」

撃たれたのはハシムだ。
ハシムの左肩に銃弾が撃ち抜かれたのだ。星司郎のスタンドが弾き返したのか?そんなことの出来るパワーなんてないし星座の本もない。
しかし具現化は出来た。

「アストロブライトーーーScutum(たて座)」

星司郎の『右の拳』『左の拳』『左の肘』
これらの3点を動かしてたて座を具現化させたのだ。
彼は星座の形をかなり精密に記憶している。なので空間上に自分の手を使って星座の形をつくることなど簡単な話だ。

「・・・・『たて座』?星座デスカ、変わった能力デスネ
しかし次は確実に狙いまーす」

「またかッ!Scutum(たて座)!」

星司郎は盾で再び防御した。そしてハシムはまた撃ってきた。しかし銃弾は天井へ撃たれた。

「なに?何処を撃って・・・」

「『能力解除』」

その言葉と同時に天井の銃創から数十匹の黒い虫が沸いて出てきた。

「これがお前のスタンドか・・・そして群体型!」

「『ダーティ・ロットン・バスターズ』・・・そのまま急降下デス!」

ハシムの指示通りに虫のスタンド達はは星司郎に向けて急降下した。
それに対応して再び『たて座』を発動させ、今度は盾をそのまま虫のスタンドを押し潰した。

「やっぱりこれは決勝戦。簡単には行きまセンネ。
本気出してもすぐに対応されマース。」

「フィードバックは、殆どないか。数あるスタンドは厄介だな」

ハシムの周りには大きな蚊柱が渦巻いている。

「イエイエ、殆どは間違いデス。今のところ全くダメージを受けてマセン一匹も殺せてないデスヨー?」

「まさか、さっき確かに潰したはず・・・」

「教えましょうワタシのスタンドはデスネ・・・」

何処からかカサカサと音がした。具現化した盾から聞こえる。
何か黒い何かがついていた

「まず一つ目・・・それは」

『カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ』

沢山の虫スタンドが盾から飛び出して歯を鳴らしながら星司郎へ向けて飛んできた

「な、こいつは・・・ッ!」

そして星司郎の片方の腕にしがみついてタトゥーのようにくっついた。

「あらゆるモノに同化出来マス」

『ガチガチガチガチガチガチガチガチッ!』

「・・・・ッ!」

「そして二つ目・・・・」

ドグチャッ

「ぐわあああぁッッ!?」

えげつない音をたてて片腕は弾けた。

「『同化』したモノをなんであろうと『自壊』させる!」

容赦なく行われるスタンド攻撃によって星司郎は左腕を失った。


「ワタシの前において『詰み』なんてありまセーン。
それがエアーマンであってもデス!」

「ッ・・・」

「『星座を具現化する』。さっきからアナタの妙な腕の動き。偶然なのか拳2つ、肘1つを結ぶと『たて座』に見えるんデスヨ。
恐らくそれがアナタの能力の発現条件でしょうか?
そして・・・左腕消し飛ばしてみれば仮説は大当たりデシター
点が崩れれば出来ませんからネー」

「・・・・他の対戦者とは違うな」ボソボソ

「ハイ?日本男児は大きな声出さないとダメデスヨ?」

「二言も、言わない・・・お前がペラペラ喋っているお陰で、なんとか完成した・・・」

星司郎は右手の指先を近くの壁に押し付けると赤い点がついた。そしてその点の周りには乱雑な点が、いやこれは正確につくられている。

「アストロブライトーーーSagittarius(いて座)」

廊下の壁から上半身は人間、下半身は馬の生物が現れた。弓を持っている。

「一度距離を置く!」

『いて座』が星司郎を乗せてハシムと逆方向へ走って行った。
そして『いて座』は弓を構え、矢をハシムへ向けて射った。

「遠距離射撃、マズイですね・・・」

ハシムはドアを開けて矢の攻撃を防御した。その後ドアが閉まるとハシムの姿は見えなくなった。

「部屋の中に入ったか・・・」

バラバラ...

(・・・?)

バラバラ...

(コンクリートが崩れ落ちる音か?)

バラバラ...


バン!

「!?」

すぐ近くのドアが急に開けられた。

「ばひーん。さよならデス」

銃弾が左の腹に撃ち込まれた

「ガッ・・・!」

「ダーティ・ロットン・バスターズ」

『ガチガチガチッ』

銃槍から虫タトゥーが上へ左胸にゆっくり移動した。

「死にナサイ!」

その直後、星司郎は矢じりをつかって自分の左胸を切った。

「オ、オオ?」

「左胸の表面を浅く切った。同化で避けれても同化したモノを壊せば倒せる・・・」

「決まったと思ったんですけどねー」

バタン!

「また隠れたか」

ドアノブに手を掛けようとした。しかし視界の隅に虫のスタンドが飛んでいた。そのスタンドが向かう先は、壁に書かれた『いて座』。破壊するつもりだ。

「矢を放てッ!!」

矢は虫スタンドを貫いた。

(ここで同化しても周りには空気しかないから避けようがない。ドア警戒しつつ星座を狙う奴を射る!)


また再び虫スタンドが壁からむき出るように出てくる。

「放てッ!」

しかし今度は貫かずに通り抜けた。

「ば、馬鹿な」

バン!

「あらゆるモノに同化出来ます」

壁の近くの扉からドアを勢いよく開けた後、静かに語る。

「ホントにあらゆるモノに同化出来るんデス
それが空気デモ。言ったでしょう?エアーマンであっても詰みはない」

「・・・Sagittarius(いて座)、頼む!」

いて座は星司郎を乗せながら星座の方へ駆け出した。

「遅いデス!同化はスデに完了しマシタ!」

星座にスタンド虫が張り付いた。血の点はかろうじて残ってる。

「地べたに落としてやりましょう。『自壊』しろ!」

「床をブチ抜けェ!!!」

ハシムのスタンドが星座と共に自壊する。
いて座の前足が床をブチ抜く。
ほぼ同時に行われた。

床に大穴が空いた直後、いて座は消滅し一人の男だけが落ちていった。
埃が舞って見えなくなった。



「フゥゥ...さっき穴を自分で開けた。この行動になんか意味あるんでしょうか。ワタシのスタンド、群体型と言えど、近距離型ですから近づかないといけないんですよ。だからここに降りないと攻撃出来ない・・・やれやれ、ワタシは下に降りマース」

穴へ向かって飛んだ。
ハシム、華麗な着地。

「埃ばっかりで見えませーん。ワタシのスタンドで風を起こすのデス」

ハシムの一匹一匹の虫スタンドの羽が微量の風を起こす。
微量とは言えども沢山いるからそれなりの風になる。

「さーてと、どこにいるん...」

「・・・ここだ」

ハシムの背後から男の声が聞こえた。
『203号室』のドアに寄りかかった星司郎がいた。そしてーーー。

「生きていましたか・・・・・」

左腕はないが星座の本を持ったいつもの彼。
彼のスタイルが完成した。

「片腕なくなっても尚、戦うとは・・・大した奴デス」

「別に片腕一本ぐらい失っても支障はない。『勝利』すれば治してくれるからな」

「勝利・・・?アナタ、勝てると思っているのデスカ?
空気にすら同化するワタシのスタンド、『ダーティ・ロットン・バスターズ』にデスカ・・・・
馬鹿を言うなよ?貴様は片腕を失ってる。
まだ俺のスタンドはこんなにいる。降参するのが得策だと思うがな」

「日本語、ちゃんと話せるんだな・・・・
悪いが降参は絶対にしない。あの子との約束があるからな」

「約束?お前の望みじゃないということは貴様は代行者か。何のためにここまで這い上がったのだ?金なる奴の言うことなど聞かなくていいものを」

「金なる・・・奴?」

「おっと、口が滑ったな。まあいい。貴様はどうせ死ぬのだから冥土の土産に言っておこう。
俺は麻薬を売って稼ぐ商売をしている」

「麻薬・・・だと・・・」

「特に俺は麻薬の密売ルートを管理している・・・
この商売は実にいい・・・一度商品が売れれば金があっという間に集まるのだ。そして金がないのにクスリを求めるものには身体で稼がせる。そしてクスリを使った人間を見る。その三つが楽しい。これほど生きがいのある仕事はなかろう」

「・・・・・」

「そんな絶頂の時、招待状が来た。今回のトナメは優勝すると願い事を一つだけ何でも叶えてくれるらしい。
この景品は今回だけ。これはいい機会だ。麻薬取締法を消して貰おう。そして俺はここまで這い上がった。こんな大きな願いを持っているというのに・・・貴様は何だ?代行者だと・・・・!?
貴様のダニの如く小さな願いで勝ち上がるんじゃない!」

「・・・・分かった、話は終わりだ。お前のような悪はこの夜空の星の下で『必ず浄化する』」

「・・・・ゴホン。失礼しマシタ。降参しないのデスネ。
いいでしょう。ただし勝つのはワタシですけどね」

ある場所に壁に寄りかかった鉄パイプがあった。だっきのハシムの大声の音に振動したのか倒れかけている。

「さっきのように上手くいくと思うなよ。今度は武器がある」

「その子供の本がですか?そういうならやってみなさい」

両者、無言の睨み合い。

鉄パイプがどんどん傾いて行く。


そして




カランーーー


「『アストロブライト』ッ!」
「『ダーティ・ロットン・バスターズ』ッ!」

両者のスタンドが発現した。

星司郎は本を開いた。
ハシムは自分のリボルバー拳銃の弾丸に虫スタンドが入り込み同化した。

「まずはその本をワタシのスタンド諸共、自壊させマス!」

バンッ

その瞬間、星司郎は紅く輝いた。紅い色が銃弾を包み込み溶かした。

「な、何ナンデス!?なら今度は空気に同化して突っ込みなサイ!」

『ダーティ・ロットン・バスターズ』。彼らのうち数匹が星司郎へ向かって飛んで行った。しかしその虫達は燃えるように消え去った。

「まさかこれは・・・『炎』!」

「アストロブライトーーーPhoenix(ほうおう座)
空気に同化は厄介だった。しかしこの星座の前には無意味だったな。炎は何でも焼く」

「ッ・・・・・・・・」

ほうおう座は炎の壁をつくった。

「今回だけ、二言を言う。『必ず浄化する』。貴様をな」

炎の壁をハシムへ波のように向かわせた。
ハシムはもう攻撃することは不可能だ。炎は何でも焼き尽くす。

普通は誰だってそう思う。


その時、炎の壁を何かが突き抜けた。

「あらゆるモノに同化するといったはずだ。餓鬼め」

炎に同化した無数の虫が炎突き抜けてくる。
やがて炎の虫は同化を解いて星司郎へ襲いかかった。

「『ダーティ・ロットン・バスターズ』。俺のスタンドにおいて敵はいない」

星司郎の身体中に虫スタンドが同化していき真っ黒で人影も見えなくなった。ただの黒い塊である。

「じゃあな、日本人の餓鬼」


そして自壊させようとした。しかしハシムの目の前にはあり得ない光景が見えた。
同化して黒くなった塊が横にスライドしたのだ。
スライドすると日本人の餓鬼と言われた、星司郎が平然と顔を見せた。

「な、何が起こっている!?『ダーティ・ロットン・バスターズ』の同化を引き剥がした!?出来るはずがない!」

「引き剥がしてなんかいない。どうやらお前のスタンド、視覚、感覚はお前と繋がっていないらしいな」

星司郎のポーズは不自然だった。右手を上に突き出してその手で何かを掴んでいる。星司郎は掴んだ何かをを宙に投げた。すると同化した塊ごと飛んで行くではないか。

「なん・・・だと!!」

「三回も言わない」

ほうおう座の炎が宙に飛んだ黒い塊を焼き尽くした。本体であるハシムはフィードバックによって一緒に焼かれた。
星司郎は語り出した。

「タネ明かしだ。この現象の正体はガラスだ。
炎に同化するだろうと予測しガラス板を添えた。正直これは掛けだった。視覚と感覚、どちらか一つでも本体と繋がっていたら完全な詰みだった。しかし掛けは成功した。お前のスタンドはガラスを私だと勘違いしてガラスに同化した。後は焼けばいい。」

ハシムは黒焦げだった。返事はなく横のまま止まってる。

「安心しろ。ほうおう座はどんなに焼き尽くしても絶対に死ぬことはない。不死鳥だからな。しばらくしたら火傷も痛みもなくなって立ち上がれるはずだ。
それと覚えておけ。日本男児の真の男は同じことを言うみっともないことはしない。絶対実行する者のことだ。相手が日本男児なら言われた言葉は忘れちゃいけない。・・・・じゃあな」

星司郎は古びたホテルから去って行った。

★★★ 勝者 ★★★

No.6425
【スタンド名】
アストロブライト
【本体】
西獅子 星司郎(ニシシシ セイシロウ)

【能力】
描かれた星座からイメージを具現化する








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最終更新:2022年04月17日 12:01