アカイロ/ロマンス
作者 |
藤原祐 |
イラスト |
椋本夏夜 |
レーベル |
電撃文庫 |
分類 |
推薦図書 |
巻数 |
6巻(完結) |
ジャンル |
現代伝奇ファンタジー |
「出番が多ければいいというものではない。しかし、遅すぎるのは致命的」
登場する幼馴染
主人公サイド
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重大なネタバレ。未読者は閲覧非推奨 |
木春(こはる)
年齢 |
18歳(年上) |
幼馴染タイプ |
再会系-記憶復活タイプ |
属性 |
ヤンデレ、お姫様 |
出会った時期 |
景介5、6歳の時 |
鈴鹿本家の長女で次期頭首、メインヒロイン枯葉の姉。内乱の際に、繁栄派に殺されたと思われていたが、彼女こそが反乱の首謀者であり、事件を裏から操っていた黒幕であった。5巻ラストより登場。
幼い頃、里を抜け出した際に、霧沢家で景介と出会い「十五になったら、自由に里から出られる。その時は、もう一度迎えに来る。だから、その時は、私の夫になれ」と約束を交わした。以来、その約束を果たすことを夢見て、里で生活を送っていた。しかし、鈴鹿の一族に時折発症する成長が止まってしまう病に罹ってしまう。募らせ続けた景介への想いと、大人になれないと恋を叶えられないという絶望感の間で、精神を狂わせていく。
そして、考えついた結論が、一族殺しの宝刀「つうれん」で一族を皆殺しにして命を吸い尽くし、その力で自らの体を治療することであった。その結果、鈴鹿の一族を始め、多くの人々の運命が狂うことになる。
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霧沢景介(きりさわ けいすけ)
年齢:高校一年 ※作中で二年に進級
この作品の主人公。四年前に姉が失踪していることを除けば、ごく一般的な高校生。しかし、気にかけていたクラスメイト灰原吉乃の死、その吉乃の体と喪着(※)を行った枯葉と出会い、吉乃の想いを受け継いだ枯葉に求婚されたことで非日常に巻き込まれていく。最初は、助けられなかった吉乃への想いと、姉の失踪の手がかりを掴みたいという思いで鈴鹿に関わるが、次第に、一途で誇り高く、吉乃の想いに誠実に向き合う枯葉に心惹かれていき、自らの意思で鈴鹿に関わっていくことを決意する。
クラスメイトたちから性悪眼鏡と呼ばれるように、へらず口をよく叩き、調子に乗って相手をからかうことが多いため、よく無用な制裁を受ける。また、枯葉をはじめ、仲間の鈴鹿には世間知らずでズレた感性の持ち主が多いため、突っ込み役に回るが多い。
戦闘の中でも、恐怖を押さえ込み、戦意を奮い立たせるがごとく、挑発的な言動をよく取る。また、人間と鈴鹿では身体能力が違いすぎるため、蔵物「かみらの枝」(引っかいたものを一定時間自由に変形させ操ることができる)を操り、サポート役に回ることが多いが、持ち前の機転を活かして、単独で鈴鹿を撃破したこともある。
※ 鈴鹿は自らの体で子を為せないので、人間の女性の体を乗っ取り、人間の男を婿に迎えることで種を存続してた。また、喪着した相手の記憶や感情を一部受け継ぐ。ちなみに吉乃は枯葉が殺したのではなく、枯葉が喪着を決めたときには、既に死亡していた。
サブ幼馴染
小折谷通夜子(こおりや つやこ)
年齢 |
高校二年(年上) ※作中で三年に進級 |
幼馴染タイプ |
ずっと一緒系 |
属性 |
クーデレ、眼鏡、ギャップ萌え |
出会った時期 |
幼少期 |
ヒロイン枯葉たちと同じく鈴鹿の少女で、景介の通う白州高校の先輩。2巻より登場。敵である繁栄派に所属し、景介たちの前に立ちはだかる。ショートカットの黒髪に眼鏡をかけ、暇な時は文庫本を読んでおり、文学少女といった印象の見た目。性格は常に冷静沈着。大抵のことには動じず、表情すらあまり動かさない。恫喝されても一歩も引かず、逆に睨み返すような意思の強さがある。
しかし、幼馴染である英の前に立った途端、クールな様相を瓦解させ、英のことを「えっくん」と呼び、顔を真っ赤にして可愛らしくもじもじし出すという盛大なギャップを見せる。その様には、長年の付き合いがあった鈴鹿の面々ですら唖然とするほどで、通夜子にとって、いかに英が特別な存在かがよく分かる。
繁栄派に協力したのも、すべて英を守ることのみが目的で、英の幸せのためなら自分が犠牲になっても構わないという覚悟で、戦いに身を置いていた。
宮川英(みやがわ えい)
年齢:高校一年 ※作中で二年に進級
景介の友人キャラその2。通夜子とは幼馴染で、彼女のことを親しげに「つーちゃん」と呼ぶ。
小柄で中性的な顔立ち、頻繁に手鏡を見て髪型を整えるといった微妙にナルシストっぽい性格。通夜子のことは大切に思っているようだが、その露骨な好意にはまったく気づいていない。
通夜子と英の台詞とエピソード
- 「私が求めているのは、彼の……宮川英の身の安全。その次に、彼の幸せ」
- 「なに言ってんのさ。つーちゃんはいつもあんなだよ。昔から」
- 「私がえっくんのお母さんになる、ってさ。いなくなったおばさんの代わりに、私がお母さんになるから、だから泣かないで、って。……僕は、ちっとも泣いてなんかいなかったのにさ」
- 幼い頃、英の母親が男を作って出て行った際の、通夜子との思い出を語った英の台詞。
概要
人間社会に隠れて生活してきたあやかしの一族「鈴鹿」。女性しか生まれず、自らの体で子を為すこともできず、緩やかな滅びに向かう中で、一族内で起きる叛乱。繁栄派の手から逃れてきた本家の次女であるヒロイン枯葉に見初められたことから、鈴鹿の内乱に巻き込まれる景介。
話の大筋は、人外のヒロインと出会うことで、一般人の主人公が非日常に巻き込まれていくというオーソドックスな構図。しかし、黒い太陽の異名を持つ作家藤原祐らしく、登場キャラたちをじわじわと精神的に追い込んでいく鬱展開の中でも、萌えを感じさせるキャラが魅力的に描かれているのが特徴(ちなみに、これでも藤原作品の中では犠牲者が少なく、ライトなほう)。馴染み要素としての評価だが、推薦図書としてリストに載ってはいるものの、幼馴染作品として紹介するには幼馴染要素は非常に薄い。
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重大なネタバレ。未読者は閲覧非推奨 |
主人公側の幼馴染木春は、話が大詰めに入ったところでようやく姿を現すため、キャラとしての存在感が他のキャラたちに比べて薄く、一緒に過ごしたのもほんの短い時間(しかも景介は思い出の相手を枯葉だと勘違いしていた)だったため、幼馴染というにも微妙。その頃には、景介は枯葉と順調にフラグを積み重ね、枯葉の伴侶となることを決意していたため、終盤に出てきたかませ犬という印象が強い。最後も枯葉に敗れ、景介に想いを拒絶された後「つうれん」を破壊され、焼け落ちる迷い家の中で、その生涯に幕を閉じるという完璧なる推奨展開。さらに、秋津依紗子という凶悪にキャラの濃いヤンデレが他にいたため、狂気の面でも依紗子の影に埋もれがちであった。
一方のサブ幼馴染の通夜子と英であるが、実は二人が一緒に登場したのは全6巻中、僅か1シーンだけである(5ページ足らず)。しかし、その1シーンだけで通夜子の魅力は最大限引き出されており、以後の通夜子の行動全てに可愛らしさが感じられるようになる。二人が一緒に登場するシーンがもっとあれば、禁止図書に化けたかもしれない(逆に、鬱展開になった可能性も高いが)。また、通夜子は、絶妙のタイミングで戦線離脱したため、無傷で最後まで生き残り、ラストの後日談では、英とめでたく結ばれている。アカイロ/ロマンスに登場するキャラの中で、最大の勝ち組と言える。
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最終更新:2012年05月23日 09:17