人見知り部は健全です
作者 |
佐野しなの |
イラスト |
笹井さじ |
レーベル |
電撃文庫 |
分類 |
禁止図書(危険指定) |
巻数 |
2巻(完結) |
ジャンル |
現代学園ラブコメディ |
藍人「明、可愛い。明、大好き。明、LOVE」
登場する幼馴染
臼潮明(うすしお あき)
年齢 |
15歳 高校一年(同い年) ※作中で二年に進級 |
幼馴染タイプ |
ずっと一緒系 |
属性 |
お隣同士、小動物系、地味、あがり症 |
出会った時期 |
生まれて間もない頃から |
藍人の隣家に住む幼馴染で、生まれた病院から、幼稚園から高校まで一緒の筋金入りの幼馴染。
超絶あがり症で、人前に立つと極度に緊張してしまい、まともに自己紹介もできなくなってしまう。そのため、クラスに馴染むことができず、藍人と傷を舐めあいながら、寂しく学校生活を送っていたが、人見知りの属性ありと乃花に目をつけられ、藍人と共に「人見知り部」に入部させられる。
体型は小柄で、小動物のように可愛らしいが、華がなく地味な印象。本人は、身長が伸びないのと、胸が小さいのを気にしている。大人っぽく見せようと努力しているが、あまり成果はなく、その空回り具合が、逆に可愛らしさを引き立て、藍人を和ませている。
感情が顔に出やすく、突っ込まれると、すぐに感情豊かに反応してしまうため、藍人たちの嗜虐心をくすぐり、よく弄られる。純真で、エッチな話題を振られると、顔を真っ赤にして恥ずかしながら怒り出す。藍人とは長い付き合いで、人となりを熟知しており、気安いスキンシップも多い。藍人の好意には気づかないものの、さらっと藍人が好き、かっこいいと思うなどと発言し、無意識下で信頼しきっているのが伺える。
藍人の妹平和のことも、実の妹のように可愛がっており、仲が良い。
寿藍人(ことぶき あいと)
年齢:15歳 高校一年 ※作中で二年に進級
この作品の主人公で、明と共に「人見知り部」に入部させられ、乃花に振り回される。
顔は、母親譲りの無表情で、楽しいや悲しいといった感情は抱いているものの、感情を顔に出すことができない。そのため、不気味がられたり、やる気がないと思われたりと誤解を受けやすく、何かと損をしている。
思考は結構、変態的で、乃花のエロ話にもよく食いつき、それをネタに明をからかい、おたおたする明を見て、満足している。幼馴染である明のことが大好きで、明への想いは、一途で一切ぶれることない。ことあるごとに内心で明の可愛らしさを褒めちぎり、よからぬ妄想をしては鼻血を流している。明に対しては、さりげなく何度も好意を伝えているが、無表情なことが災いして、冗談だと思われている。
藍人の明LOVEな台詞とエピソード
- 「ええ、だって明は俺の大事な幼なじみですから」
- 主観的に見るとすれば、超絶可愛い。非常に愛くるしい。それはもう他のものとなんて比べる必要がないほどに。
- 「すまなかったね。可愛かったからつい、ね」
- 「それは見る目がありますね。しかし、嫌がってますので」
- 「ば、ばか」明が俺の背中をぐーで殴る。そういうところが可愛いんだよ、
- 「乃花さんの姿は眼福ではあったけど、むしろ俺は今、俺の後頭部に当たっているお前の控え目な二つのふくらみのほうに翻弄されそうなんだ」
- そりゃ、だって、幼なじみだ。
- 「…………ごめん、明。だって可愛いんだもん」
- 「……いや、可愛いだろ、どう考えても」
- 「とりあえずお前に脳内でご主人様って呼ばせてみたよ」
- 「本当はおたおたしてるのが可愛いからずっと見ていたいなと思った、と言っていいなら言うけど」
- 両方のほっぺたをつかんでぐにぐにと引っ張っております。そのぷにぷにとした柔らかさを感じているのは手のなのに、なぜだか、うまそうだなあ、と味覚が刺激される。
- 明がどんな下着をつけていようが興奮するだろう。色気のないスポーツブラでさえ。
- 「なんだい寿くん。私はこういうナースなら大歓迎だよ。きみだって同じようなことを思っていただろう?」
- バケツをひっくり返して、びしょ濡れになった明に、自分の体操着(体育の授業で着用済み)を着せる藍人。
- 怒っていた明が、(中略)腕を下ろし、ジャージの袖口をくんくんと嗅いでいる。
- 「なんか、藍人の匂いがするなーと思って」へにょ。と笑いかけられた。
- え。なにこれ。なにこの可愛い生き物。
- 小学生の頃、遠足で遭難した時の思い出を語り、
- 「でも、あたし、あんとき藍人一緒で良かったよ。心強かった」
- 「めちゃめちゃ怖かったって、俺。はったりだよ、はったり」
- 「うん、知ってるよ」「でも、絶対あたしのこと守ってくれるって信じてたもん。なんかね、安心して泣いちゃったんだよ」
- 「お前がいてくれて、なんか、まあ、結構、いろいろと嬉しくなったりとかあったよ」
- 「ちょっと、なにいじってんだあー、あたしの顔をー!」
- 「いや、本当に」「そ、そっか」
- 「うん」「…………そか」
- 「……そうだよ」「そうなんだ」
- 「な、なんか照れますなー!」
- 自分の想像してる人物をあてる携帯アプリをする藍人と明
- 「……その人のことが好きなんですか?」
- 「え、えーと。どっちかっていえば、それは、もちろん……好きだけど」
- 「……ふーん。あっそ。そいつ格好いいわけ?」
- 「なんでいきなりそんな適当な聞き方にっ!? あ、あたしは、か、かっこいいと思うけど」
- 「あっそ、なーんかやる気なくなったなあ」
- 「藍人だよ。正解はぁ、寿藍人、です」
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以下2巻ネタバレ |
- 「まあ……、そのさ、お前がどこにいても、呼ばれたらすぐそばに行ってやるから、いつでも呼べよ」
- 「藍人」
- 「ん?」
- 「藍人、藍人、藍人、藍人、藍人ぉ……」
- 「俺はずっと本気だよ。さっきのもふざけてやったわけじゃない。どうやったら信じてくれる?」
- 「……うー……、ごめん、すぐ泣きやむから。……こ、困らせちゃってごめんね」
- 「別にあんま困んないよ。……その、……明が好きだから」
- ばかやろう! 正気を保ってられないくらいに、超絶愛らしいだろうが!? と声を荒げて反論したくなるほど可愛い。
- 「…………んーとね。あたしだったら。きっと見てるだけしかできなかったと思って。なんか、藍人、か、かっこいいなーって思って……ぼーっとしちゃってた」
- 「やだぁ! 理由言ったら、藍人、あたしのこと嫌いになるもん!」
- 「なるわけないだろ。嫌われたくないから触られたくないってどういうことだ?」
- 「……あたし、藍人に触られると、……え、えっちなこと、したくなるんだもん……」
- 「気が付いたときには、なんで藍人さわってくれないんだろうって……、藍人に触ってほしいって思うようになってて……。し、しかも、藍人に触られると、変な気分になっちゃうの。手とか、つないだら、次は、ぎゅってしてほしいとか、き……キス! したいなとか! ……そ、そういう、卑猥なこと、思っちゃうから……、だから、藍人に触られるの、だめなの」
- 「う、うー……、藍人はずるい! 余裕たっぷりでずるい! あたしばっかドキドキさせて!」
- 「いや、俺もしてるよ、ドキドキ。すっごいしてる」
- 俺は、明の手を取って、俺の胸に当てさせる。
- 「ホントだ……」
- 明は嬉しそうに笑うと、心臓の音を近くで感じたかったのか、右耳を俺の胸にくっつけてきた。さすがに想定外すぎる。
- 「わー……。ばくんばくんしてるね」
- 当たり前だろ、殺す気か。
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以下悶死レベルの危険度 |
- 明は、昨日から学校を休んでいる。保健室でのできごとから、一週間ほど経った頃、俺の風邪がまんまとうつってしまったのだ。うつった理由を説明するのは野暮ってもんだろう。
- 「明、お見舞い」「お前、好きだったよな、ネクター」
- 「うん。大好きだよぉ」「え、なに?」
- 「大好き」「え?」
- 「大好きだよ」「え?」
- 「だからぁ、大好――って、もう、藍人ぉ」
- 「お前、それ好きだな、本当に」
- 「うん、好き。これは、藍人が持ってきてくれたから、もっと好き」
- 俺は明の前髪を持ち上げて、そこに自分の額をくっつける。
- 「そ、そういう測りかた、だめ……」
- 「だめか?」「……だめ」
- 「……やだ、じゃなくて?」「……や、じゃないけど、だめぇ……。恥ずかしい、からぁ……」
- 「…………ねぇ、藍人はさぁ……」「……どれくらい好き?」
- 「んー……、こんくらい」俺は親指と人差し指で円を作る。
- 「じゃあ、これくらい?」両手を合わせてお椀の形にする。
- 「大奮発。これくらいは?」両手を大きく広げて見せる。
- 「じゃあー、これ、く、らい!」俺は手を広げたまま、明に近づいて、抱き締めた。
- 「えへ。藍人ぉ」
- 「呼んだだけー。あーいと」
- 「……あーき」
- 「ちなみにお前は? 俺のことどれくらい好き?」
- 「んーとね。藍人の一億倍!」
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概要
"無表情"の藍人と"超絶あがり症"の明。幼馴染同士の二人は、4月の自己紹介で失敗し、クラスに馴染めず、ふたりぼっちで弁当をつつきあう日々を過ごしていた。そこに、"発言エロ過ぎ"の残念美人である裾ノ花乃花に目をつけられ、人見知り属性持ちの青春不適合者たちが、コミュニケーション能力を高めるという名目で活動する「人見知り部」に、半ば強引に入部させられる。
メインキャラ数人が、小さなコミュニティを形成し、そのコミュニティ内で緩い日常を過ごす姿が描かれるタイプのコメディ。一章ごと完結の連作形式で、毎回ひとつのお題をテーマに、馬鹿馬鹿しくもどこか笑える掛け合いが繰り広げられるという展開。
さて、馴染み作品としての評価だが、まずあらすじだけを見ると、一見ミーツヒロインものっぽく感じる。怪しげな美女に、怪しげなクラブに入部させられ、やっかいごとに巻き込まれながら、ミーツヒロインと仲良くなっていくといったタイプの話かと。
ところが、この作品の主人公である藍人は、最初から最後まで、一切ぶれることなく幼馴染である明一筋を貫き通す。時折、乃花をドギマギさせたりするものの、乃花のことはまったく眼中になく、その視線は明を追いかけ、隙あらば「明、可愛い。明、可愛いよぉ」と、ひたすら明を愛でつづける筋金入りのナジミストぶりを見せつける。明も、明で、藍人の好意には気づかないものの、幼馴染特有の気安さと可愛らしさを随所で発揮し、恋人同士がイチャついているとしか思えないような馴染みぶりを見せる。
この作品は、発売前は、ほぼノーマークであったため、思わぬ伏兵の出現に、禁止スレでも大きな注目を集めることとなる。
さらに一巻ラストで、藍人と明は恋人同士になり、二巻では、一巻では描かれなかった告白シーンも補完され、すれ違いがありつつも、最後は、バカップルへと進化し、悶死レベルのイチャつきぶりを見せつけてくる。このあまりにドストレートな禁止展開に、満場一致で危険指定入りとなる。
2011年後半は、この「人見知り部は健全です」を皮切りに、危険指定クラスの禁止図書が続々と出現し、スレはおおいに盛り上がることとなる。
※補足
電撃スマイル文庫に、藍人と明の数年後の姿を描いた後日談が載せられている。
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内容ネタバレ |
- めでたく藍人と結婚した明は、高校時代、乃花が「バカバカしい。愛で飯が食えるか! 愛で腹が膨れるか!」と言っていたのを思い出す。
- でも、ある意味では愛でお腹は膨れるよねと思いつつ、陽性反応の出た妊娠検査薬を藍人に見せ、
- 「藍人の愛で、あたしのお腹がこれから膨れるようですよ? 頑張ろうね、『おとーさん』」
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たかが2ページ、されど2ページ。本編で悶死寸前だった禁止委員にトドメをさす危険度だった。
最終更新:2012年03月21日 00:57