緋色のルシフェラーゼ
作者 |
伊藤イツキ |
イラスト |
KeG |
レーベル |
富士見ファンタジア文庫 |
分類 |
禁止図書 |
巻数 |
2巻+短編集1巻(未完) |
ジャンル |
現代異能者アクション |
「四つ年下の幼馴染に欲情する残念女子高生」
登場する幼馴染
来栖いずも(くるす いずも)
年齢 |
16歳(年上) 高校二年 |
幼馴染タイプ |
ずっと一緒系 疎遠タイプ |
属性 |
お隣同士、ツンデレ、眼鏡っ娘、残念、地味、変態、幼い日の約束 |
出会った時期 |
幼少期 |
この作品の主人公。眼鏡に三つ編み、やせっぽっちで貧相に見える体型の地味な印象の女子高生だったが、《ソロモンの指輪》を巡る争奪ゲームに巻き込まれ、"愛欲"の魔王アズモデウスとして覚醒し、《指輪》の保有者である幼馴染の紺太を守るために戦うことになる。
魔王覚醒時は、"夜色の大きな蝙蝠の翼"、"天を衝く黒曜石の山羊の角"、"金色に輝くトパーズの瞳"、"赤瑪瑙の大剣とそれを掴む両腕"の四つのパーツを武器に戦う。主な特性は『人を好きになる心を、熱量に変える』で、紺太のことを思い、恋に胸を焦がすほど強い力を発揮する。"天を衝く黒曜石の山羊の角"は、通常時でも、いずもが興奮(性的に)するとにょきにょきと伸びてしまう。
子供の頃は、紺太の面倒を毎日のように見ており、彼にされたプロポーズの約束を今でも大切に思っている。しかし、中学に入った頃から、思春期特有の気恥ずかしさゆえ、疎遠になってしまう。紺太のことが、今でも好きでたまらないのだが、「年下の男の子に恋するなんて格好悪いんじゃないのか?」「ついこの間まで小学生だった男の子に恋してるなんて変態なんじゃないか?」と考えすぎてしまう臆病な性格で素直になれず、紺太にはツンデレ気味に悪態をついてしまう。しかし、むきになってすぐ口を滑らせてしまうため、好意を持ってることがバレバレになっている。また、紺太の近くにいるだけで、匂いで興奮したり、妄想したりで角を伸ばしてしまい、紺太にエロ女呼ばわりされている。
紺太を思い、胸が苦しくなる何とも言えない気持ちを、もきもききゅーっと表現する。また、もやもやを発散するため、蛍光灯ひもでシャドーボクシングする"蛍光灯シャドー"、悲鳴をあげながらごろごろと転がりまわる"思い出し悲鳴"などの奇行をよく行う(本人曰く、恋に悩める乙女なら誰でもやっている……に違いない)。
柱廊紺太(わたどの こうた)
年齢:12歳 中学一年
いずもの隣家に住む四つ年下の幼馴染で、ゲームの中心人物である《ソロモンの指輪》の保有者。指輪の力を使って、魔王たちの戦いによって破壊された街を修復したり、人間の記憶を操作したりできる。彼が、選んだ(一番好きな)相手がゲームの勝者となるというルールのため、身柄を押さえる意味でも、恋愛的な意味でも、魔王たちに狙われる。
さらさらした髪と、吊りぎみの大きな目の美少年で、女の子にモテる。家は金持ちで、両親は仕事で海外に行っており、現在は一人暮らし。名門の私立中学に通っている。子供の頃は、いずもに四六時中ベタベタと甘えまくり、「大人になったらお嫁にしてやる」とプロポーズした。
美形だが、ぶすっと不機嫌そうな仏頂面で、口が悪い。いずものことをブスだエロ女だと罵り、いずもに昔は可愛らしかったのに、クソ生意気なガキになったと言われている。しかし、いずもが友達と仲良くしてるのに嫉妬したり、いずもが落ち込んでいる時には心配したりと、いずもへの好意が見え隠れし、いずもと同じく、思春期特有の気恥ずかしさから素直になれないツンデレであることが伺える。
ゲームでも、いずもしか自分を守れないんだから責任持って守れと悪態をついているが、内心は、いずもが自分のために戦ってくれることを嬉しく思い、また、本当はゲームに巻き込みたくなかったとも思っているようである。
いずもと紺太のツンデレな台詞とエピソード
- 子供の頃の、結婚の約束の思い出
- 「ううん、もうへいき……。ねえ、いずも……。おとなになったら、これやるよ」
- 「なによ、それ?」
- 「けっこんゆびわ。(中略)今日は見せるだけだけど……でも、そのうちやる。いずものこと、およめにしてやるよ」
- 「ばーか」わたしは、『生意気よ』と、男の子を叱った。ただ、そんなに悪い気はしていない。
- 「言った! ぜったいに言った! お誕生日会の日に! あんたが幼稚園の年長組で、わたしが四年生のとき! わたしにプロポーズしたときよ! 憶えてるんだから!」……しまった、と思った。
- (うわぁ……っ! 恥ずかしい! ここで幼稚園のころの話をするなんて、本気で執念深い女みたいだ! 紺太のことを好きで好きでたまらなくて、それで幼稚園時代からずっと付け狙ってる怖い女みたい!)
- 戦闘の後、紺太に不意打ちで頬にキスされる。
- キスされた――!! ふりむきざまに! 右っかわのほっぺに!
- 紺太はわたしより五センチも背が低かったから、飛び上がるみたいに背のびして!
- 「褒美だ。礼は言わないが、褒美だったらくれてやる」
- 戦闘中、紺太を抱きかかえて、空を飛ぶいずも。
- 紺太は細い両腕をわたしの首にまわして、ぎゅうっと強く抱きついてきた。
- すごく気持ちいい感触……!!
- 「いずも、鼻血!」「うるさい! 鼻血ぐらい出る!」
- 「《指輪》と俺のために、戦え」
- 「し……仕方ないわね! あんたがそこまで言うなら、戦ってやらなくもないわよ!」
- 口では嫌々だったが、わたしは喜んだ。だって、これで約束を守れる。
- 『《指輪》をもらって、ずっといっしょ』あの子供の頃の約束を――。
- 「紺太! 今からあんた、助けてやるわ! 絶対に! 一切遠慮ナシで!」
- 「わたしは今から『あんたのため』に戦う! そのせいできっと何人も死んじゃうし、一番仲良しの友達を殺しちゃうかもしれない! それでも、わたしはあんたを助ける! だから、紺太……!!」
- この"おとなりの男の子"のためだけに戦う! これがわたしの戦う理由。《指輪》を欲しがるのも、ただそのためだけ。
- 「だから、紺太……覚悟はいいわね!」「――よし、やれ!」
- 「紺太は、やらない! 《指輪》も! 髪の毛一本だって、爪の切り滓一片だってやるもんですか! だって、このちびは――」
- 「………………なあ、いずも――」
- 「ほら……」わたしは手をさしだす。子供のころにしていたみたいに。
- 「つなぎなさいよ」「おう」
- 今が夕方でよかった。夕焼けのおかげで顔が赤いのがごまかせる。
- 子供の頃、夜中に忍び込んできた紺太と一緒に寝た思い出
- 「……ねえ。いいだろう?」「いいけど……でも、おっぱいのところはさわるんじゃないわよ?」
- 紺太は怖い夢を見たとか言って、夜中に窓から入ってくると、そのままわたしのベッドにもぞもぞ潜り込んできた。
- 「いずものからだ、やわらかくって、ぽかぽかしてる……」「バカなこと言ってないで、早く寝なさい」
- 外で会えば『手を繋いでよ』。家で会えば当たり前のように膝の上に座ろうとする。眠くなったら膝枕で昼寝。
- 小学生になる頃には、人前で『手を繋いでよ』とは言わなくなったが、かわりに人に見えないところであまえた。
- 「どうしたんだろうと思ってさ。バスでいずもが泣いてたから……」
- それで、気になって、わざわざ来たんだ! わざわざ窓から! しかも、こんな遅くに!
- 「ありがとね……」
- 「なんであの子と仲良くしてたのよ」
- 紺太にゲームに参加する気があるなら、夜の十二時に裏の神社に来いと言われ、
- 「あ、いずも――」「ほんとに来たんだ……」
- 「な……なによ、それ! あんたが来いっていったんでしょ! 第一、わたしはあんたのこと好きでもなんでもないんだから! ただ、眠くなくってひまだったし、それに、あんたが……」
- 「……泣くなよ」「泣いてなんかねーわよ!」
- 「まったく、なんて図々しいちびよ! あんたなんて好きじゃないっていってるでしょ! 力なんて出ないわよ!」
- 「ああ、そうかい、勝手にしろよ! 俺だっていずもなんて、もう嫌いだ!」
- (このちび、『もう嫌い』だって……!!)
- 『もう』だって……!! 『今までわたしのこと、好き』だって!
- 「本当は……いずもに《指輪》のこと知らないでほしかった」
- 「なによ、それ? どういうことよ」
- 「言わせるなよ。わかるだろ」
概要
千年に一度の《指輪》のゲーム。勝者は、悪魔の力を取り戻し、魔王として甦る。ルールは三つ、「《指輪》を貰った者は、全ての力を返してもらえる」「《指輪》の持ち主が決まるまで、少しだけ力を返してもらえる」「《指輪》は一年後、保有者が選んだもの一名に与えられる。『他の候補者全てを皆殺して一名になることも可』」。魔王の生まれ変わりである七人の少女(?)の《指輪》を巡る戦いが始まる。
"愛欲"の魔王の生まれ変わりである主人公いずもが、紺太への恋心でのた打ち回りながら、紺太を狙って襲い掛かってくる他の魔王の生まれ変わりたちを迎撃していく展開で、要素的にはラブコメ半分、バトル半分といったところ。1巻は、既にいずもが魔王として覚醒して、何度か戦闘を済ませているところから始まる(※)。
馴染み部分としては、いずももツンデレなのだが、紺太もツンデレで、ツンデレ同士、意地を張り合っている関係が微笑ましい。また、子供の頃の思い出のシーンも頻繁に挿入され、濃厚な馴染み成分を強調してくる。戦闘面でも、紺太が好きだからという理由だけで戦い続け、紺太への恋心でパワーアップするという設定は、まさにストレートな禁止展開と言える。
もう一点、紺太のことが好きで好きでたまらなくて、まさに恋でバカになってるいずもの姿が見所と言えるだろう。素直になれず悪態をついて、後から自己嫌悪したり、周りの目を気にして、余計な心配で悶え苦しみ奇行に走る様は、青春だなあと思わせてくれる。まあ、近づいただけで興奮して、鼻血を流したり、角を伸ばしたりする煩悩の強さは「お前本当に女子高生か? おっさんじゃないのか?」と言いたくなってくるが、特に、紺太のリコーダーを舐めるか、舐めないかで一晩中悩む姿など、まさに変態と言える残念ぶり。
魔王たちの戦いの行方も、二人の恋の行方も気になったが、結局、まだ全ての魔王が出揃わない段階で、打ち切りになってしまった。
※元々、ドラゴンマガジンの連載から始まったため、三冊目に出た短編集に収録されている話が、時系列的に最初になる。
最終更新:2012年05月22日 16:24