ロウきゅーぶ!

ロウきゅーぶ!

作者 蒼山サグ
イラスト てぃんくる
レーベル 電撃文庫
分類 推薦図書
巻数 15巻(完)
ジャンル 現代スポーツラブコメディ

「好ポジションは確保しつつも、小学生の壁は厚く」

登場する幼馴染

荻山葵(おぎやま あおい)

年齢 15歳 高校一年(同い年)
幼馴染タイプ ずっと一緒系
属性 ツンデレ、世話焼き、黒髪ポニーテイル、美乳
出会った時期 少なくとも小学生の頃

 昴の幼馴染で、小学校からずっと同じ学校に通いクラスも一緒の腐れ縁。高校に入って初めてクラスが別々になった。2巻から登場。昴とはバスケの腕を競い合ってきた仲で、中学時代は女子バスケ部の部長を勤めていた。高校に入り、男子バスケ部が休部になった昴のために、女子バスケ部には入らず、昴らと共に立ち上げたバスケ同好会のメンバーとして昴を支える。
 勝気な印象を与えるやや鋭角な目鼻立ちで、長い黒髪をポニーテイルでまとめた健康的な少女。身長は163センチと高校一年の女子としては高い方で、胸は大きい。すらりと伸びる足は、しなやかな見た目とは裏腹にバスケで鍛えられ筋肉がよくついている。昴とは、長年の付き合いで、日常でのやり取りでも息の合った所を見せ、昔からの知り合いには夫婦呼ばわりされ、よくからかわれている。バスケでも、僅かなサインだけで、お互いのプレーを理解し合あう絶妙のコンビプレーを見せ、格上の相手を圧倒した場面もある。
 気が強く遠慮なくものを言う性格だが、姉御肌で面倒見がよいため頼りにされやすく、年下にも好かれやすい。昴を支え、昴の夢を応援することを自分の役割と決意しており、バスケ以外ではだらしない昴の世話を何かと焼いている。そのため、昴が慧心女バスのコーチをしていることを知った時は、無用心さと学業を疎かにしていたことを咎め引き離そうとし、慧心女バスとも対立するが、バスケの試合を通して、昴と慧心女バスの絆と真剣さを認め、試合後は彼女らとも仲良くなり、昴と共にサポートする。
 昴にずっと好意を抱いていており、周囲の人間にもバレバレなのだが、昴が鈍感なことに加え、自身も素直になれずツンデレ気味に悪態をつき、恥ずかしさ半分、腹立ち紛れ半分で鉄拳制裁を繰り出すため、想いはなかなか届かない。また、思い込みが激しく、昴と慧心女バスを応援しつつも、昴がロリコンに染まってしまったのではないかと余計な心配を重ね、自己嫌悪に陥っている。心配は杞憂とも言えないのだが、最も警戒しなければならない智花をフリーにして、紗季ばかり警戒するなど、肝心なところでの勘の鈍さも見受けられる。

長谷川昴(はせがわ すばる)

年齢 15歳 高校一年 ※作中で16歳に
属性 バスケ脳、ラッキースケベ、オトナゲないショタ顔

 この作品の主人公。バスケを見るのもプレーするのも大好きなバスケ馬鹿。バスケに青春を捧げるつもりで七芝高校バスケ部に入部するも、入部間もなく、部長のロリコン疑惑によってバスケ部が一年間の休部になり、情熱の行き場を失くしてしまう。不貞腐れていた所に、小学校の教師を勤める叔母美星の策略によって、慧心学園初等部の女子バスケ部のコーチをすることになる。最初は、不承不承ながら引き受けるも、ひた向きにバスケに打ち込む少女たちの姿に情熱を蘇らせ、真剣に少女たちの指導を行うようになる。
 プレイヤーとしても優秀でポジションはポイントガード。身体能力や個人技が特別優れているわけではないが、司令塔として非常に優秀で、抜群の統率力と判断力を持ち、ゲームメイキングが上手い。理論的な考えを信条とし、非科学的な精神論を嫌う。何よりもチームプレーを重視しており、選手一人一人の特性を活かし、奇策・搦め手を駆使して劣勢をひっくり返すことを好む。中学時代、弱小だった自チームを三年間で全国大会一歩手前にまで押し上げた実績を持ち、「桐原中の知将」の異名で呼ばれていた。その手腕は、慧心女バスのコーチングでも、いかんなく発揮される。
 しかし、バスケに関しては天性の勘の良さと頭の冴えを見せるものの、バスケ以外のことにはどうしようもないくらい鈍感で、空気が読めず、デリカシーがないとよく言われる。ヒロインたちの好意にもまったく気づいておらず、葵に関しても、パートナーでありライバルのような存在と深い信頼を寄せているが、あくまでバスケを中心としたもので、バスケプレイヤーとしての良い所しか称賛していない。
 周りの人間に冗談半分でロリコン呼ばわりされているが、容姿はむしろ「ショタ趣味の変態に狙われそう」と言われるぐらいの童顔。本人は、慧心女バスのメンバーに邪まな感情は持っておらず、至って紳士的に接しているつもりなのだが、空気が読めず誤解を招く発言や行動が多く、無自覚に少女たちとのフラグを立ててしまっており、智花を中心に徐々に包囲網を敷かれていっている。

おまけ

三沢真帆(みさわ まほ)

年齢 11歳 小学六年(同い年) ※作中で12歳に
幼馴染タイプ ずっと一緒系
属性 お嬢様、ツンデレ、元気っ娘、ツインテール
出会った時期 小学校低学年

 慧心女バスの五人組の一人。ツインテールと八重歯がトレードマークの天真爛漫な少女。悪く言えば我がまま、良く言えば物怖じしない性格。好奇心旺盛で突飛な思いつきで周りを振り回すトラブルメーカーだが、友達思いで行動力があり、バスケにトラウマのあった智花を中心に女子バスケ部が結成されるきっかけを作ったのも彼女である。
 男バスのキャプテンである夏陽とは、紗季と共に低学年の頃からの幼馴染。バスケを始めたことで険悪な関係になるが、昴や女バスのメンバーの助けもあって仲直りする。男女の差を意識しない友人のような関係で、今の所、恋愛感情はなく、ひなたに好意を持ちながら空回りしている夏陽をからかっている。気の強い性格同士、日常生活の些細なことでも張り合うことが多いが、決して負けたくない相手と強く意識している。
 運動に関しては天性の素質を持ち、飲み込みが早く非常に上達が早い。反面、飽きっぽい所があり、過去にも様々なことに挑戦しては、飽きて投げ出すということを繰り返しており、そのことが夏陽と仲違いしてしまう原因になっていた。しかし、バスケには真剣に取り組み、持ち前の運動神経と負けん気の強さを活かして、パワーフォワードとして成長していく。二つ名は"打ち上げ花火(ファイアワークス)"。
 父親は世界的に有名なファッションデザイナーで家は超大金持ち。山一つ分の敷地に、プールやバスケットコートなどの設備が完備され、専属のメイドが傍に控えているような豪邸に住んでいる。

竹中夏陽(たけなか なつひ)

年齢:11歳 小学六年

 慧心学園初等部男子バスケ部のキャプテン。慧心女バスの五人と同じ6年C組。真帆、紗季とは低学年の頃からの付き合いで、いつも一緒に遊ぶ仲良し三人組だったが、真帆がバスケを始めたことをきっかけに、真帆に突っ掛かるようになり、険悪な関係になってしまう。これは、真帆の飽きっぽい性格を知っていたがゆえに、自分の大好きなバスケに対して、いい加減な接し方をされるのが我慢がならなかったためである。しかし、昴にコーチされる女バスとの交流を通して、真帆が真剣にバスケに取り組んでいることを知り、真帆のことを認めるようになる。
 性格は、強気で負けず嫌いでツンデレ。ぶっきらぼうで口が悪いが、面倒見は良い。快く思っていなかった女バスのコーチであり、試合で苦渋を舐めさせられたことから、昴をライバル視している。しかし、悪態をつきながらも、バスケプレイヤーとして敬意も抱いている。
 女バスの一人であるひなたに好意を寄せているが、ひなたが天然なこともあり、あまり報われておらず、そのことをよく真帆や紗季にからかわれている。真帆と同じように、相手のことを決して負けたくない相手と強く意識している。

その他関係の深いキャラ

湊智花(みなと ともか)

年齢:11歳 小学六年 ※作中で12歳に
 慧心女バス五人組の一人。礼儀正しい少女で、天性のバスケの才能を持つ、慧心女バスのエース。昴とのフラグを最も多く立てておりメインヒロイン的な位置にいる。二つ名は"雨上がりに咲く花(シャイニー・ギフト)"。

香椎愛莉(かしい あいり)

年齢:12歳 小学六年
 慧心女バス五人組の一人。小六にして、高校生並みの高身長を誇る発育の良い少女。しかし、気弱な性格で、高身長にコンプレックスを持っている。二つ名は"七色彩蕾(プリズマティック・バド)"。

永塚紗季(ながつか さき)

年齢:11歳 小学六年 ※作中で12歳に
 慧心女バス五人組の一人。眼鏡に長い髪の委員長タイプのしっかり者。真帆とは幼馴染で、暴走しがちな真帆のブレーキ役になっている。二つ名は"氷の絶対女王政(アイス・エイジ)"。

袴田ひなた(はかまだ ひなた)

年齢:11歳 小学六年
 慧心女バス五人組の一人。ほんわかした雰囲気を持つ小柄な少女で、保護欲をくすぐる愛らしさを無自覚に振り撒く天然小悪魔。二つ名は"無垢なる魔性(イノセント・チャーム)"。

葵と昴の台詞とエピソード

  • バスケ同好会で、中学時代の同級生たちと旧交を温める昴と葵
    • なんとなく中学時代の思い出を振り返りつつ、頭の後ろで両手を組んで向かいの二人へ交互に視線を送っていると、なにやら柿園が眼を細めてにやにやと含み笑いを漏らしていることに気付く。
    • 「あらん、嫌だわ。長谷川センセーとブチョーったらまたそんなおそろいポーズで。ほんとーに夫婦みたいなんですからん」
    • ――これだ。ぎくりとして隣を見ると、葵も俺とまったく同様に手を後ろに組んで椅子にどっかりと寄りかかっていいやがった。
    • 「真似すんなよ!」
    • 「あっ、あんたでしょ!」
  • 「……七芝の男バスがあんなことになったから、決めたの。私は、あんたのバスケ部を立て直す手伝いをしてやるんだって。こんどは選手じゃなくて――マネージャーとして、一緒に全国を目指すって。だから、これは昴のマネージメント。あんたにとっては些細なことに思えるかもだけど、私は看過できないの。……昴は甘ったれすぎて、いつもすぐ流されるから」
  • 葵と慧心女バスの試合当日。葵が連れてきた柿園、御庄寺が遊びモードでくつろいでいるのを見て、
    • 『二人ともなんで水着なんだよ!』
      • 息ぴったりで突っ込みを入れる昴と葵。それを見た慧心女バスのメンバー
    • 「すばるん、なんかおっぱいおねーちゃんと仲良くない?」(真帆)
    • 「ツッコミのタイミングとか、完璧にシンクロしてましたよね? ……見習いたいくらいに」(紗季)
  • 「たぶん、私があんたに気ぃ遣って部活入ってないとか思ってるんだろうけどさ。それは違うよ。朴念仁の昴が……ちょっとは私のこと考えてくれたのは……そ、その……嬉しくない事もないわけはないとも言い切れないけどっ」
  • 「んー。精一杯にも、いろいろ有る……ってことかな。昴は全国に行くことが、一番大きな目標だよね。でも、私は違う。……私のバスケは。たった一人にだけ、届けばいい。そいつに一目置いて貰えてれば、とっても満足。そいつに生涯成績で勝ち越すことが、私の目標。だからね、『今』もちゃんと、私はバスケに精一杯だよ?」
    • 「だからね、まー復帰うんぬんを考えるのは来年で良いわ。足並み揃えておかないと、私の方が上手くなりすぎて張り合いが無くなっちゃうでしょ」
    • 「言ったな、この」「へへんだ」
    • 頭を小突く真似をしてやれば、葵はべーと舌を出す。あはは。見た目は変わっても、ほんと中身は昔のままだなあ。
    • ……ありがとう、葵。いつでも傍にお前がいて、慧心のみんなが居てくれるおかげで、辛いはずの毎日が、こんなに楽しいよ。
  • 思えば、俺もバスケに対する初期衝動は、葵と張り合うことが大きなモチベーションだった。
  • 中学時代のライバルに敗れ意気消沈する昴を、敢えて突き放した葵。その翌日、
    • 「……ん、よろしい。ちゃんと一日で立ち直れたみたいね、昴」
    • 「助かる。あと昨日は……すまんかった。おかげで頭冷やせたよ、ありがとう」
    • あそこで俺一人をほっぽり出して帰ってくれる輩なんて、おそらく葵くらいのものだろう。粋なはからいに、珍しく素直な感謝を告げずにはいられなかった。
  • 「……ね、昴」
    • 背中をさすりつつも溜息を漏らしていると、おもむろに葵が一歩前に躍り出て振り返った。
    • 厳しさ、慈しみ、不安、信頼。
    • ありとあらゆる感情を詰め込んだようなまっすぐな瞳で、幼馴染が俺を見詰める。
    • 「昴自身は、どう? 須賀くんに、勝てそう?」
      • 不安はあるが、慧心女バスの少女たちのためにも負けられないと逡巡したあと、
    • 「大丈夫。やるべき事なら、わかってる。……それに」
      • 相手の技術に、中学の時よりは対応出来ていたと告げる昴。
    • 「ん! それはひいき目なしで計測した私が証明する。……勝ちなさい、昴。とりあえずマグレでも不意打ちでもなんでも良いから、あの自身満々な天狗鼻をあかしてやりなさい!」
    • 「おいこら、やる前からマグレとか言うな」わざとらしく歯を剥いて苦言を告げつつ、内心ではその言葉に頷く。
  • 「えーと。またたくさん世話になったな、葵」
    • 「う、うぇぇぇぇっ!? なんで本当に撫でるのよ昴っ!?」
    • 「いや、なんとなく……。嬉しくはないだろうけど、俺が感謝してるのは本当だし、一応形でしめしておこーかなーと」
    • 「い、いらないわよそんなのばかっ! す、昴のばか! ばーかばーかっ!」
  • 「……一月の、葵の誕生日にも。できるだけいいもの渡さないとな」
    • 口にしてしまった直後、怒涛のように押し寄せる気恥ずかしさ。あー、なんからしくないことを言ってしまう。
    • 「いやほら! ここんとこ世話になりっぱなしだから! 感謝はちゃんと伝えなくてはなと」
    • 「べ、別にいいってば! ふ、普通に覚えててくれるだけで、充分だし! ……で、でも」
    • 「ん。とはいえちょっと気が早すぎたかごめんごめん! 時期が来たら、またその時にな!」
    • 「――あっ、逃げた! ふ、ふんだ。……ありがとうくらい、ちゃんと言わせなさいよ」
      • それを見た紗季
    • 「やっぱり…………いちばんの強敵ですね」

9巻の二人での京都旅行編
  • 「いや、俺もやっぱりずっと心配だったよ。この歳になって二人で旅行なんて葵は居心地が悪いだろうなって思ったし。でも『行って良い』って言ってもらえたのが、けっこう嬉しくてさ。ならせっかくだし、しっかり楽しませてもらうことにした」
    • 「っ!? い、い、居心地なんて別に全然悪く……な、ないし!」
    • 「そっか、すげー安心した。ありがとう」
    • 「~~~~~~っ。 な、なんでこんなときに限ってそゆこと……そんな、やさしいこというわけ? バカ。……す、昴のバカ」
  • 「お礼なんて、何回言っても言い足りないくらいだからさ。それにしても、葵はほんと教えるの上手いし、いつでも計画的だし、結婚したらいいお母さんになりそうだよな」
    • 「ぶっ!? け、けっこ!?」
    • 「あ、ただ旦那さんの方は大変か。財布とか完璧に管理されて、尻に敷かれる感じで」
    • 「……っ。悪かった、わね」
    • 「でも、それってきっと良いことだよな。なんだかんだ言って、幸せな家庭になりそう」
    • 「にゃうっ!?」
  • 女の子はわからない。わからないけどわからないなりに、葵となら楽しい旅ができそうだ。
    • そりゃそうか。だって、幼馴染だもんな。
  • 行きの新幹線で昴にもたれ掛かったまま、眠ってしまう葵
    • 「良い匂いするんだな、葵の髪って……」
    • 普段なら意識しないようなことも、ここまで至近距離だと気になってしまう。いくら幼馴染とはいえ、ちょっと緊張するというか、申し訳ないというか。
  • さらに、寝言を呟く葵、
    • 「あふ……。す、ばる」
    • 判断に迷っていると、葵の口から聞こえてくる自分の名。夢に俺が登場したのだろうか。
    • 「あの……ね。昴」「私……ずっと、昴のことが」
    • 「あふ…………っ!」
    • そこではっと目を見開き、跳ねるように身を起こした。いきなりだったので、正直ちょっとびっくり。
    • 「す、昴! わ、私、今……何を!?」
    • 「じゃ、じゃあ、最後までは……言ってない?」
    • 「ああ。ていうか覚えてるなら何言おうとしてたか教えてくれよ。俺もなんか気になるし」
    • 「いっ、言わない教えない覚えてないっ! だからあんたも忘れなさい! 今すぐ全部忘れて! いい!?」
  • 「た、楽しみなんだもん。有名な景色を自分の眼で見るの。…………す、昴と、二人きりでっ!」
  • 「葵が怒ってないとしても、謝らせてくれ。一緒に楽しい時間を過ごしてたのに、それを壊しちゃったんなら、あまりにも申し訳ないから」
    • 「……す、ばる。…………そ、それなら。わかってるなら良いわよ」
    • 「だ、だからっ。せっかく一緒なんだから、周りだけじゃなくて…………わ、私のことも少しは気にかけなさいよってことっ!」
    • 伏し目がちに朱く染まった頬を膨らませながら、もごもごと呟く葵。
  • 「葵のことだけ見てる」「うぇっ!?」
    • 一心に顔を見つめたまま、はっきりと伝える。らしくない行動に葵は狼狽した様子だが、ここは照れずにちゃんと、余すことなく率直な気持ちを言葉にしないと。
    • 「ちゃんと言ってなかった気がするから、改めて。この旅行、俺だってすごく楽しみにしていた。だから今は、葵との時間を大切にする。」
    • 「~~~~~~~~~~! な、ななななな何もそこまで大袈裟じゃなくていいってば! わ、わかった! 分かったからほら行くわよっ!」
    • ずっと眼を泳がせていた葵だったが、やがて我慢の限界とばかりに大声を出し、もう一度俺の手首を掴んでずんずんと進み出す。
  • 「えーと、『地主神社――え、えんむすびの神様』っ!?」
    • 「えーと、何か気になる?」「べ、別に! いたって平常心ですわよ!」
    • 「そのわりに口調が聞いたことない感じになっちょりますが。……ま、いいや。そんじゃ入ってみようぜ」
    • 「は、入る!? 入るってお参りするの!? 昴と私で、え、えんむすびの神様を!?」
    • 「あれ、ダメなのか。せっかくあるんだし覗いても怒られはしないと思うんだけど」
    • 「だ、ダメじゃない! ダメなんてことはないわ全然! う、うん。そうよね、観光なんだし、遠慮する必要ないわよねっ……!」
  • 「終わったか。はは、なんかやけにたっぷり時間かけてたな。何を願ったんだ?」
    • 「べ、別にたいしたことじゃないわよ! そ、それにお願いごとを聞くなんてマナー違反!」
  • さらに、恋おみくじを引かないのかと聞かれ恥ずかしがる葵。じゃあ、代わりに自分が引いてきてやると昴。
    • 「ほら、葵、プレゼント」
    • 「俺はあんまりおみくじとか興味ないし、代行ってことで。まだ開いてないからセーフだろ、きっと」
      • 昴に感謝を述べつつ、中を見ず財布にしまう葵。
    • 「あれ、開かないのか?」
    • 「あ、後でこっそり一人で見るの! い、今見たら何が書いてあっても平常心でいられなくなりそうだし!」
      • その後の様子から見て、悪い結果ではなかった模様。
  • ちなみに、昴の恋おみくじの結果
    • 【第21番 大吉】
    • このおみくじに当る人は、自ずと何かすることなく常に良縁に恵まれ続ける。困難はただひとつ、誰を選ぶかそれのみ。
  • 「……ほら。最近の葵、すごく俺の事を支えてくれるし、昔よりもっと気を遣ってくれるし、いわゆる、良妻っぽい感じがして」
    • 「良妻!? ちょ、ちょちょちょちょちょっと、急にまたなんてこと……」
    • 「変な喩えに聞こえたらすまん。でも、とにかくここ最近、いろいろ尊敬することがたくさんで、いっぱい成長してるんだなって思ってさ。すごく偉そうな言い方だけど」
    • 「昴……。ううん、偉そうなんかじゃない。う、嬉しいよ……すごく。ありがとう」
  • 夜、宿泊先のホテルの部屋で二人きりで緊張して寝付けない葵に声をかける昴
    • 「とにかく、緊張させちゃって悪い。けど……なんだ。変なことするつもりはないって約束するか、リラックスしてゆっくり休んで貰えると嬉しい」
    • 「ふふっ、わかってるってば。昴がそういう奴じゃないってことぐらい。わかってても……緊張しちゃうの。どうしようもないことだから、気にしないで」
    • 「……そっか。うん、了解。信用してくれて嬉しい」
    • 「でももし、昴がそういう破廉恥なやつだったら、今ごろわたしたちどうなってたかな……」
    • 「え? 葵、今なんて言ったんだ?」「な、なんでもない! おやすみ!」
  • 翌朝、寝不足で目を擦っている二人
    • 「……にしても葵、眠そうな割にすごくご機嫌だな。なにか嬉しいことでもあったのか」
    • 「嬉しいこと……うん、あったかもね。知りたい?」
    • 「あのね。昴が……昴も、眠そうなこと」「え? それが理由なのか? どうしてまた?」
    • 「教えなーい。ヒントもあげません。ふふっ」
      • しかし、残念ながら、昴が寝不足なのは、葵を意識していたからではなかった。
  • 「…………? え、えと、昴……それだけ? 何か私に用事とか?」
    • 「ん? いや、なんとなく話しかけてみただけだけど」
    • 「な、なんとなく。……昴が、私に、なんとなく。特に用もなく、声を」
    • あれ、なぜこのタイミングで赤面するのだろう葵は。
    • 「……………………旅行、来れて良かった」
      • ちなみにこれも、葵のことも構ってやるようにとの美星の忠告を思い出したからであり、その真意は理解していない。
  • 覆面の大学生コンビとのバスケ勝負で、コンビプレーで圧倒する二人
    • 「その勢いのまま、今度は無言で葵と拳合わせ。相手に余計な情報を与えられないので言葉で称賛できないぶん、以心伝心を果たせた嬉しさをアイコンタクトで存分に表明する。
    • 葵と組んでいなければ無理だった。

真帆&夏陽の台詞とエピソード
  • 「…………よ、よけーなお世話っ! だいたい今さら何だよっ! そんなことしたって、許してやらないもんっ! ……あ、謝れっ! 手伝いたいんなら、まず謝ってからにしろっ!」
    • 「悪かった」「謝っちゃうのかよ!?」
    • 「シカトして……………………悪かった。ちょっと勘違いしてた。お前のこと」
    • 「~~~~っ! ……お、おいやめろよっ。なんかカユイだろ。わ、わかりゃーいいんだわかりゃーっ! だ、だからナツヒっ! とっとと頭上げろ! らしくねーからっ!」
    • すると真帆はたちまち顔を真っ赤にして、正視していられないといった風で慌ててかぶりを振る。
  • 「ナ、ナツヒっ! 待てよ!」
    • 「い、いっしょにやってこーぜっ、バスケ! ゴール作るの手伝ってくれたお礼に交ぜてやるからさ!」
    • 「…………別に、そんなつもりで手伝ったんじゃねーし」「んなっ! なんだよこっちが誘ってやってるのにっ!」
    • ……この期に及んでもまだ素直になれない二人の会話は、たまらなくもどかしくて。
    • でも、今はそれすらも微笑ましかった。
  • 「……別に。教えておいてやるだけだ。真帆がまだまだ全然、バスケじゃ俺の足下にも及ばないって事をな。ちょっとオトナゲねー気もするけど、お前がこれからもバスケ続けるってんなら仕方ねえ。これでもかってほど、やっつけてやる、何度も、何度もな。……お前が俺に歯向かうかぎり、何度でも」
    • 「ばーか、いってろ!」
  • 真帆の気にいらないところをあげていったらキリがない。
    • (中略)
    • しかも、やけに『あっち向いてホイ』が強いからタチが悪いんだよね……。
    • 自慢じゃないが俺も腕に覚えがあるんだけど、不思議とあいつにだけは勝てない。
    • 反射神経が、並みじゃないんだろうな。くやしいけど、それは認めざるを得ない。
    • けど、俺だってやられっぱなしじゃいられない。男としてのイゲンを取り戻すために、次こそは真帆からデザートを勝ち取ってみせる。
    • でも、とにかく。俺――竹中夏陽は、三沢真帆のことが気に入らないのだ。
  • 真帆のことを嫌っている、夏陽の妹である椿と柊。
    • なんか、昔から椿も柊も、やたら真帆のこと嫌ってるんだよな。幼稚園の頃からいつも遊ぶときは俺にべったりだったくせに、真帆がいるとすぐ機嫌悪くして家に帰っちゃし。
      • 無自覚に仲の良い兄と幼馴染。大好きな兄を取られることに嫉妬する妹という典型的なシチュエーションと言える。

概要

 バスケが大好きで、バスケに青春を捧げるつもりでバスケ部に入部した昴。しかし、不祥事によって入部僅か数日にして休部。情熱の行き場を失くしたそ昴が成り行きで引き受けることになったのは、小学校の女子バスケ部のコーチ! 第15回電撃小説大賞〈銀賞〉受賞作。
 簡単に言えば、高校生の主人公が小学生の女の子たちにバスケを教える話。智花、真帆、愛莉、紗季、ひなた五人の少女とバスケを通して公私ともに仲良くなっていき、昴自身も成長していく姿が描かれていく。所謂ロリ要素を前面に押し出した作品で、萌えやあざとさを狙った、邪まな連想を抱かせる意図的な台詞回しや表現も多い。しかし、ただのロリだけが見所の作品というわけではなく、作品のもう一つのテーマであるバスケに関しても、少女たちが懸命に練習を重ねる姿、不利な状況を昴の戦略とチームプレーでひっくり返す熱い試合展開、プレイヤーとして成長していく少女たちの姿などのスポ根要素もしっかりと描かれており、ロリで釣ってスポ根で魅せるという手法を見事に成功させている。そのことがヒットにつながった大きな要因と言えるだろう。
 一方、幼馴染ヒロインである葵は、長年の付き合いでお互いのことを信頼し合っており、その息のぴったりさに周りに夫婦扱いされているものの、素直になれず、なかなか思いを伝えられない典型的なツンデレ幼馴染で、昴とは非常に近しい存在であるのだが……。残念ながら、この作品にはロリータコンプレックスという、高校生の葵にとっては致命的な障壁がメインテーマとして立ちはだかっており、どうしても話の展開は昴と慧心女バスの五人との関係が大半を占め、サブキャラクターとしてしか物語に絡めない葵は必然的に出番も少なくなってしまっている。さらに、この葵はチャンスの場面でヘタレてフラグを立てそこなうという残念なところもあるので、余計に慧心女バスのメンバーにリードを許してしまう(主に智花)。まあ、昴への想いが強いが故に空回りする姿も魅力の一つと言えるのだが。
 しかし、決して、少女たちに遅れを取るだけのかませキャラというわけではなく、3巻で、高身長コンプレックスのあった愛莉のトラウマ克服に大きく貢献したことに始まり、陰に日向に昴のコーチングをサポートし、慧心女バスのレベルアップの大きな力となっていく。また、外の世界との接点作り、昴と慧心関係者で完結していた人間関係を広げるきっかけにもなっており、サブキャラクターとしてかなり良いポジションを確保し、存在感を発揮している。
 正直に言って、葵が昴と禁止ENDを迎えることは難しいと言える。誰とくっついたかを明確にしない読者の想像にお任せしますENDが精々といったところであろう。しかし、結末は別にして、禁止委員として彼女の魅力的危険な部分は心に留めておきたい。

 おまけとして真帆と夏陽であるが、互いに異性として意識していない同性の親友あるいはライバルのような関係で、喧嘩するほど仲が良いといった二人である。普段から何かと張り合っている姿は非常に微笑ましい。互いを強く意識しているから仲違いしてしまい、その不和が解けていく2巻の仲直りの過程には甘酸っぱさが溢れている。今のところ、真帆は恋愛に興味なく、夏陽はひなたに夢中といった状態で、当面は二人の仲が進展することはなさそうである。現状では、二人が高校生ぐらいになった頃に、意識に変化が訪れることがあれば、面白いことになりそうと想像を膨らませる程度である。
 ちなみに9巻ではフラグ立てのチャンスがあったのだが、肝心の場面で夏陽に出番がなく、おいしいところを昴に持っていかれてしまい、真帆の昴への好感度が大幅にあがるという結果になっている。
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最終更新:2015年07月18日 18:13
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