DADDYFACE
作者 |
伊達将範 |
イラスト |
西E田 |
レーベル |
電撃文庫 |
分類 |
禁止図書(危険指定) |
巻数 |
7巻 続刊の望み薄? ※巻数表記なし、2巻以降のサブタイトル 「世界樹の舟」 「冬海の人魚」 「メドゥーサ」(Ⅰ~Ⅳ) |
ジャンル |
現代異能者アクション |
「子は鎹」
登場する幼馴染
麻当美貴(まとう みき)
年齢 |
20歳 大学三年 |
幼馴染タイプ |
再会系 |
属性 |
お嬢様、ツンデレ、ヤンデレ |
出会った時期 |
7、8歳の頃 再会したのは17、18の頃 |
鷲士と同じ相模大学に通う同級生。三年連続ミス・キャンパスに輝く美女で、学内におけるカリスマ的存在。モデル並みの長身に抜群のスタイル、切れ長の瞳に、うなじが見えるほど切り詰められたショートヘア。プライドが高く、冷然とした厳しい態度を取ることが多いが、その素っ気なさが逆に気を惹き、男女問わず憧れの的。過去に幾人もの男に好意を向けられながら、一度も靡いたことのない難攻不落ぶりを誇る。
鷲士とは、彼が浪人時代、美貴の通っていた女子高の前のファミレスでバイトしていた頃からの付き合いで、学内でも鷲士にのみエスコートを許しており、鷲士に構ってもらえない時は不機嫌になる。その割に、鷲士本人への当たり方はきついため、二人の奇妙な関係は学内七不思議に数えられている。
実は、鷲士の思い出の相手「ゆうちゃん」その人であり、世界に多大な影響力を持つ結城財閥本家直系の娘で、本名は結城美貴。麻当は婿養子であった父の旧姓。子供の頃の鷲士との性行為で美沙と樫緒を身篭り、僅か8歳で出産した。
鷲士と引き離された後も、鷲士に依存と呼べるほどの激しい愛情を抱き続け、子供の頃に鷲士に買ってもらったおもちゃの指輪を宝物として心の支えにしている。再会した現在も、鷲士とよりを戻そうとしているが、素直になれずツンデレ気味な態度を取ってしまっている。しかし、鷲士のいないところではデレデレで、彼のことを昔のように「しゅーくん」と呼んでいる。また、尋常ならざる少女時代を過ごしたためか、精神的に未成熟な部分があり、娘である美沙が鷲士に甘えているのを見て嫉妬する子供っぽさや、鷲士に関係することで精神的ショックを受けると、鬱状態になる情緒不安定なところを見せる。
実は再会時、美貴のことの気付いた鷲士に「ゆうちゃんなの?」と尋ねられたのだが、急なことで慌てふためき否定してしまう。以来、真相を明かす機会を逃してしまい、今に至っている。美沙や樫緒にも、面倒くさいからさっさとくっつけと協力してもらっているが、なかなか関係を進展させられないため、真相を知る関係者全員で鷲士を誤魔化し続ける状態になっており、そのヘタレぶりに呆れられている。
草刈鷲士(くさかり しゅうじ)
年齢:21歳 大学三年 ※一浪したため美貴と同学年
この作品の主人公。孤児院出身の天涯孤独の青年。相模大学に通う学生だが、とにかく貧乏で、学費から生活費までの全てを賄うため、バイト三昧のハードな日常を送っている。年齢差9歳の実の娘美沙と出会ったことで、超古代文明の遺産を巡る戦いに巻き込まれることになる。美沙の偽装工作が元で、謎の凄腕トレジャーハンター"ダーティフェイス"(※1)と勘違いされ、"ミュージアム"(※2)の刺客に狙われる。
見た目は、背は高いが痩せすぎな体に、眼鏡を掛けた冴えない貧乏学生そのもので、いつも気の抜けた笑みを浮かべており、頼りなさそうな印象だが、実は、古の超拳法"九頭竜"の使い手で、飛んでくる銃弾を受け止め、素手で鋼鉄を貫き、水の上を歩くなど、人間離れした技をやってのけ、人外の異能を操る"ミュージアム"の"ハイキュレーター"たちとも互角に渡り合う。実は、子供の頃に負った怪我が原因で半身不随なのだが、九頭竜の気の制御術によって、健常者とまったく変わらない生活をすることが出来ている。
性格は至って温厚で、困っている人を見ると放っておけないお人好し。しかし、ただ人の言うことに流されるだけでなく、信念に反することには自分の意思を主張する。責任感も強く、突然現れた美沙と樫緒に対しても親としての責任を果たそうとしている。また、美沙の金銭支援の申し出にも、親として男としてそんな情けないことは出来ないときっぱりと拒絶する倫理観も持ち合わせている。暴力や争いは好まないが、人を平然と傷付ける相手には容赦せず、非道な振る舞いをする"ミュージアム"の人間には怒りを露にする。
「ゆうちゃん」こと美貴とは、子供の頃、孤児院で出会い、彼女を助け、自分が大怪我を負ったことがきっかけで仲良くなった。ませた美貴に振り回されっぱなしだったが、次第に屈託のない彼女にに惹かれ、心を通わせていく。その頃の刷り込みのせいか、今でも美貴にお願いされると条件反射で言うことを聞いてしまう。彼女と引き離された後も、彼女のことを想い続け、ずっと行方を探し続けていた。再会は既に叶っているのだが、美貴が真相を言い出せないため、親子四人の中で一人だけ真相を知らない状態にある。
現在の美貴とは偶然、再会して以降、友達以上恋人未満な関係を続けていたが、美沙と樫緒との出会いから、親としての責任を果たすため、関係を清算しようとも考え始める。しかし、子供の頃の思い出や、美沙や美貴の態度から、美貴が「ゆうちゃん」本人ではないかと、薄々勘付き始めている。
※1 裏の世界で名を馳せている謎の凄腕トレジャーハンター。宝物の回収に遺跡自体を破壊することも厭わない強引さからも恐れられており、業績に比して正体不明なことから、人前に出せない程、酷い顔をしているに違いないという揶揄から"ダーティフェイス"と呼ばれている。
実際には"ダーティフェイス"による業績は、美沙率いる遺産回収チーム全体によるものであり、その組織力全体が"ダーティフェイス"と言える。美沙がハンター協会に登録する際、未成年だったため、偽装のために鷲士の写真を使ったことから、鷲士が"ダーティフェイス"個人であると勘違いされている。
※2 裏の世界で暗躍する超古代文明の遺産の回収を目的とした秘密結社。一片の土器のために、都市一つ平然と滅ぼす狂的な歴史遺産回収集団と恐れられている。遺産回収部隊の指揮官であり、強力なオーパーツや異能の力を操る上級幹部たちはハイキュレーターと呼ばれる(キュレーターは学芸員の意)。美沙ら"ダーティフェイス"とは遺産を巡り、頻繁に敵対している。
その他関係の深いキャラ
結城美沙(ゆうき みさ)
年齢:12歳 中学一年
鷲士と美貴の娘。奔放かつ過激な性格で、戦闘機を乗り回したり、鷲士救出のために駅を丸ごと買ったり、衛星レーザーを打ち込んだりと、その行動力は豪快。ファザコンの気があり、鷲士のアパートに押しかけ、一緒に暮らしている。結城一族特有の異能の力が使えないため、一族内で冷遇され、そのコンプレックスから、企業のオーナーやトレジャーハンターをしている。
結城樫緒(ゆうき かしお)
年齢:12歳
鷲士と美貴の息子で、美沙の双子の弟。結城一族の血を色濃く受け継いだ非常に強力な異能の力を持つ天才児で、既に一族の時期総帥として、財閥の運営に携わっている。冷徹で、他人を虫けらのようにしか思っていない性格だが、家族愛に飢えているところがあり、家族の前では年相応の態度を見せ、美沙に対してはシスコン気味。鷲士のことは、最初は快く思っていなかったが、徐々に父親として認めていく。
美貴と鷲士の台詞とエピソード
子供の頃の思い出のシーン
- 子供の頃、夏祭りの思い出
- 『わたし、責任とるから!』
- 『しゅーくんが怪我したの、わたしのせいだし! だからわたし――責任とる!』
- 『せ、責任とるって言われても……』
- と戸惑う鷲士の鼻先に、それは突きつけられた。
- ――オモチャの指輪だった。
- リングに、三〇〇円の値札が張りつけてある。
- 『わたし、責任とるから……だから……これ、私に買って!』
- 『しゅーくん、だぁーい好きっ! ぜったい、ぜったいケッコンしようね!』
- 『う、うん……。み、みんな見てるよ……』
- 振り返ると、松葉杖を抱いたニコニコ少女と、目が合った。指には少し大きめの、おもちゃの指輪が光っている。
- 『エヘヘ……しゅーうーくんっ♪』
- 『な、なんだぁ、ゆうちゃんかぁ。こまるよ、返してよ』『ダーメ』
- 『もう、また~。ゆうちゃんは、どうしてぼくにそんなにいじわるするの?』
- 『い、いじわるじゃないよ。ミキ、いじわるなんてしないもん』
- 『えっとね、しゅーくんはね、わたしのだんなさまになってくれるんだよね?』
- 『え……あ……う、うん……』真っ赤になって俯いてしまう鷲士だった。
- 『だったら、わたしのヒミツ、お・し・え・て・あ・げ・る♪』
- 『エヘヘ。あのね、うちの一族ってね、みんなこんなことができるんだって。ママもできたんだけど、だんなさまになるヒト以外には教えちゃいけませんって。だまってなさいって。でも、しゅーくんはわたしとケッコンしてくれるから、いいの』
- 嬉しそうに笑い、少女は続けた。
- 『わたしたち、ずっといっしょでしょ? だからね、わたしがね、死ぬまでこうやって、しゅーくんを動かしてあげる。だったら松葉杖、いらないでしょ?』
- 『わっ、すごいホータイ……!』
- 『だ、だめだよー、恥ずかしいよ。なになに?』
- 『しゅーじ、うるさい。ちょっと静かにして』
- 少し赤くなって、少女はおもむろに、鷲士の背中に抱きついた。いや――正確には、耳を押しつけたと言った方が正しい。
- 『うん、ちゃんとドックンドックンいってる! だいじょーぶ!』
- 『えへへ……じゃあねえ、とくべつにけらいにしてあげる』
- 『け、けらい? ともだちじゃなくて?』
- 『け、けいけんちかせいで、レベルアップしたらともだちになれるのっ。ホントは、きびしーんだから。わたしのともだちになるためには、背が高くて、お金持ちで、ハンサムじゃなきゃダメなんだから。でもしゅーじは……とくべつサービス』
- 『だけど……ハンサムじゃないよ?』
- 『あ、それはだいじょうぶ!』
- 『……は?』『え? あ……!』
- 『しゅ、しゅーじのバカ! エロ、へんたい! いまの、ぜったいないしょだからね! ほかのひとにはなしたらゼッコーだからねっ!』
- ただ、けらいから、ともだち、かれし、フィアンセに至るまで、そうかからなかったのは言うまでもない――。
現在
- 「指輪かぁ。じゃあ、形は?」
- 「なんていうか……オモチャみたいっていうか……キミが見れば、すぐに分かるよ……」
- 興奮が収まったのか、鼻先を少し赤らめ、ため息をつく。
- 美貴に、美沙や樫緒との関係について問い詰めたら逆切れされた鷲士
- 「いや、そのっ! ボクが知りたいのは、美貴ちゃんのことって言うより、あのコたちとの繋がりっていうか……」
- 「……ちょっと待って。今の、聞き捨てならないな」「は?」
- 「美貴ちゃんのことって言うより、あのコたち……? なにそれ? じゃあわたしって、あのコたち以下の存在でしかないってこと……?」
- 「毎度のこととは言え……今日も出たな、麻当美貴の不条理攻撃」
- 「ちぇ。でもさー、あれって逆に考えると、草刈のコトバだけは一字一句ちゃんと聞いてるってことだろ」
- 美沙のコーディネートのおかげで身嗜みが良くなり、後輩女子にモテるようになった鷲士
- 「……あのね、自分じゃ気付いてないのかも知れないけど、キミって、素材は凄くいいんだよ。もともと背は高いし、足も凄く長い。ただ、今までは、その……生活感が不必要に漂ってたって言うか……だから……でも、それもなくなりつつあって、そうなると、みんながキミの良さに気付き始めたって感じで……」
- 「でも草刈鷲士のパイオニアはわたしなんだからね!」
- 「あ、あの、やっぱりよく分からないんだけど、誉めてくれてるの?」
- ちょっと赤くなっての鷲士の問いに、美貴も照れてソッポ。
- 「う……ま、まあ。うん、そう」
- 「そ、そうなんだ。美貴ちゃん、ありがとう」
- 「……ほ、ほら、言葉にするのは難しくても、いろいろ段階ってあるでしょう? 確かにわたしたち深い仲とは言えないけど……でも……なんて言うか……その……プチ付き合ってるって言うか……」
- 「プ、プチ付き合ってる……?」
- 可愛いセリフに、ボッ、と真っ赤になる鷲士だ。
- 鷲士との血の繋がりのことで嫉妬する美貴を、からかい半分で挑発する美沙
- 「フッ……この体には、鷲士くんの血が半分流れてるのよね。いやーん、あったかーい」
- やがて美貴は俯くと、美沙の体をギュッと抱き締めた。
- 「あ……あのさ……お願い聞いてくれる……? わたし……欲しいものがあるんだ」「はぁ……はぁ……えっ……?」
- 「キミの……血」「……はえ?」
- 「ま、まさか……もしもーし?」
- 「でも……キミたちはO型。わたしと彼の子だもんね。だから、こういうこと……。キミの体から輸血すれば……わたしの体にしゅーくんの血が流れて……。うふふ、ねっ、分かるでしょう?」
- 「た、助けてぇ! おかーさんが狂ったぁー!」
- その後、鷲士と再会した際、仕返しに鷲士に甘える姿を見せ付ける美沙
- 「……鷲士くぅん、無事でよかった。美沙、嬉しいな♪」
- 「み、美沙ちゃん……! そんなに僕のこと心配してくれたんだ……! うんうん、ぼくも嬉しいよ、きみもケガがなくてよかったね……!」感動の鼻声で、鷲士もギュ―。
- 「ゆ、許せない! わたしの目の前で彼にあんなことっ……!」
- 「うわっ、またあんたは! ムスメムスメ、ムスメのやるコト! 相手は父親!」
- 美沙や樫緒にせっつかれ、戦いの傷で包帯まみれになった鷲士を労いに行く美貴
- 美貴は深呼吸を三回。カウチの横に両膝をつくと、鷲士の腕の手を回した。しかも――自分の胸を押しつけるようにして、だ。
- 「ん……? ああ、美貴ちゃ――うわわわわっ!? いてて!」
- 「あ、こら、動かなくていいって」
- 「で、でもでも、ムッ、ムムムッ、ムネが、そのっ!」
- 「……バカ。弱いくせにムリしちゃって。ごほうびだから……いいの」
- 「ご、ごほうびって……! い、いやっ、だって、それは、あれで、その!」
- 「……わたしのこと……キライ?」
- 潤んだ瞳に見つめられ、鷲士は自動的に笑った。
- 「まさか~、うん、分かった。じゃあ、このまま――」
- だがボケ青年は、急に我に返った。言い訳するでもなく、包帯だらけの顔で、まじまじと美貴を見つめる。
- 「えっと。むしろこっちの質問の方が肝心なんだけどぉ――おかーさんが今も生きてて、ぜーんぜん後悔してないどころか、鷲士くんに助けてもらったことをいまだに大切な思い出にしてたとするよ? それでもし過去に戻れたら、やっぱり助ける?」(美沙)
- 「――もちろん、何度でも」
- 「や、やけにあっさり答えたわね。体ボロボロになっちゃうのよー。わたしみたいなかわゆーい娘ができるのはいいけど、樫緒みたいなヘビー級の超ひねくれもんまでオマケにくっついてきちゃうのよ? それでもいいの?」(美沙)
- 「……大歓迎だよ。だから何度でも助ける」
- 「あのね。先生はよく言ってた。一つの要因で成り立ってることなんて、世の中にはありはしないんだって。確かにぼくはゆうちゃんを助けることで、ケガをしたよ? でも、ケガをしなければ、ゆうちゃんと仲良くなることはなかったし、また彼女が連れ戻されなければ、悔しいけど、ぼくは九竜頭に入門しないまま今も体の半分を引き摺ってただろう。ましてや――きみと樫緒くんに会うことなんで、絶対になかった」
- 「むしろぼくは、ゆうちゃんから大切なものをたくさん貰ったからね。きみと樫緒くんは、特に一番の宝物だ」
概要
貧乏大学生・草刈鷲士の前に、突然現れた、鷲士の娘を名乗る少女結城美沙。「何をバカな」と笑い飛ばそうとする鷲士だったが、実は鷲士には身に覚えがあり、そして、彼女には幼い頃に想いを交わしたの少女の面影があった。彼女との出会いが、鷲士を人智を越えた超古代文明の遺産を巡る戦いへと誘っていく。年齢差9歳の父と娘の世界を股に掛けた冒険が始める。
突如、主人公と年の差9歳の娘が現れ、彼女は急速成長中の世界的大企業のオーナーで、しかも超古代文明の遺産を追うトレジャーハンターで、同じく遺産を狙う秘密結社と戦っていて、一見冴えない主人公は実は超拳法の使い手で、とトンデモ設定オンパレードのアクションもの。初っ端から衝撃的な設定の数々に圧倒されるが、次から次へとトンデモな展開が飛び出してくる勢いの良さに、細かいことはどうでも良くなり、逆に清々しさを感じさせてくれる。ストーリーの大枠は、超古代文明の遺産を巡るアクションものであるが、その中で、鷲士、美貴、美沙、樫緒の親子関係がメインとなっており、複雑な関係の四人が距離を縮めていく過程が、コミカルに時に感動的に描かれており、心温まるものがある。また、四人を取り巻くキャラたちも敵味方共に非常に個性的で、人間模様やキャラの掛け合いも秀逸。
馴染み要素としては、まず、二人の間には、既に血を分けた子供が存在するという衝撃的な設定が目を引く。この子供たちは、義理でもなければ、未来から来たというような設定でもなく、二人が幼い頃、性知識が未熟なまま性行為を行った結果、生まれた正真正銘の実子である。幼馴染同士である二人の間に、子供という他人が割り込みようのない完璧な既成事実が存在している時点で、禁止作品であると言える。あとは、よりを戻すだけの二人なのだが、天然ボケで真相に気付かない鷲士と、ツンデレでヘタレで真相を明かせない美貴の二人のもどかしい関係は、最早コメディとも言え、周囲の人間たちの「面倒くさいからお前らさっさとくっつけ」という気持ちには、読者もシンクロしてしまう。また、時折、挟まれる二人の原点である子供の頃の思い出のシーンも、王道展開を押さえた非常に危険度の高いもので、禁止委員としても無視できないエピソードである。
擦れ違いはあるものの両想いの二人、危険度の高い幼い頃の思い出、二人の間に子供がいるという絶対的なフラグなど、禁止スレ的にも注目すべき箇所が多く、加えてアクションものとしても、エンターテイメント性に優れたトンデモ設定の数々と、その勢いを上手く引き出す魅力的なキャラたちと、話のテンポの良さが、作品の完成度を高めており、それが危険指定に名を連ねている理由と言える。
二人の行く末にも、この荒唐無稽な話の決着も気になるが、2005年に出た7巻を最後に刊行が止まっている。7巻のあとがきによると続きを書く予定はあったようだが、作者自身が重度のスランプに陥ったことが伺え、以降、作家活動を行っていない。その後、作者のホームページなどで復帰に向けて活動しているとの報告が何度かあったが、未だ続刊の見込みは薄い。
最終更新:2012年07月27日 21:34