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ハレ舞台 - (2012/12/16 (日) 14:17:43) のソース

「ハイ、お姉ちゃん。できたよ」 
「ん、ありがと。つかさ」 

服を調えてくれたつかさに礼を言い、用意された鏡に映った自分を見る。 
着慣れない白いタキシードは、思ってた以上には、私に似合っている。 
いつもはツインテールにしている髪も今日は後ろで纏めてみた。 

……あいつ、どう思うかな。 

ほんの少し上気した頬は、この後の式を思ってか、愛する人を思ってか。 

「お姉ちゃん、格好いいよ」 
「そ、そう?」 
つかさの賛辞に照れ笑いをしながら、これなら、あいつも……こなたも気に入ってくれるかな、と思う。 

と、その時、私たちのいる控え室のドアがノックされた。 
「は~い」 
つかさが返事をして扉を開ける。 

「かがみ、準備できた~?」 
そこに立っていたのは、ウェディングドレスを着た、こなた。 
その姿に一瞬、心臓がはねる。だ、ダメだ……可愛すぎる。 
「ちょ、こなた……ドレスのまま歩き回って、崩れたらどうするのよ」 
それを悟られないようにと、少し視線をそらす。 

私の気持ちを知ってか知らずか、こなたは部屋の中に入ると、ツツツと私に寄って、上目使いに見上げてきた。 
「だって、折角の晴れ姿だよ?やっぱりかがみに早く見て欲しくってさぁ」 
バ、バカ……そんなこと言ったら、余計に照れちゃうじゃないの。 
「あるぇ?かがみ照れてんの?ねぇ、照れてんの?」 
そう言ってふっくらした頬を擦り付けてくるこなた。何か言い返そうと思ったが、図星なので何も出てこない。 
「ふふっ、あ~やっぱりかがみは可愛いねぇ。私、かがみを選んで正解だったヨ」 
「もう……」 
諦めて、こなたのされるがままになっている私。弱いなぁ、と思う。でも、まぁ、いいか。 

そんな私達を横でニコニコと見つめていたつかさが口を開く。 
「それにしても、今日からこなちゃんもお義姉ちゃんになるんだね~」 

それを聞いて、私から体を離したこなたが大きく頷く。 
「その通り。こなたお義姉ちゃんでも、こなたお義姉様でも好きなように呼びたまへ~」 
「え?う~ん、こなちゃんはやっぱりこなちゃん、かな」 

そんな会話を聞いていると、今日と言う日の実感が急に湧いて来る。 
そうか、こなたも今日から我が家の一員なんだ。 

こっちを向いたこなたが、ニカッと微笑む。 
「明日からはずっとかがみと一緒だね。これからは私が毎日かがみのお弁当を作ってあげるよ。 
 代わりに、毎日宿題写させてもらうけど」 
「結局それか!」 
と、ツッコミながらふと微かな疑問を感じる。ん、宿題?まだ高校卒業してなかったっけ? 
「何言ってんのかがみ?女の子は16歳から結婚できるんだよ」 
あ、そうか。そういえばそうだったわね。 

「んじゃあ、そろそろ時間だから、私行くね。また後でね、かがみ、つかさ」 
「うん、後でね。こなちゃん」 
あ……後ですぐ会えると分かっているのに、なんだか、寂しい。 
「あ、そうそう、かがみ。子作りなら任せてね。何たって私は、不可能を可能にする女だから」 
「なっ、そんな恥ずかしいことを堂々と言うなっ!!」 

数時間して、ついに私とこなたの結婚式が始まった。 
憧れだった赤い絨毯を、こなたと腕を組んで、歩く。 
帰り道とかでよくこなたが抱きついてきたりするけど、その時とはまた違ったドキドキだった。 

「こなた……」 
「ん、何?」 
そう言うこなたの顔はヴェールに包まれていてよく見えない。だけれど、きっと私と同じで、真っ赤になっているんだろう。 

「なんでもない……」 
ふと、辺りを見渡す。今日の私達を祝福するために集まってくれた友人、家族、先生。 

みなみちゃんとゆたかちゃんは私達を見ながら寄り添っている。いつかは自分達もって思ってるのかしら。 

日下部と峰岸は割れんばかりの拍手。中学時代からの友人に祝福されると、なんだかこそばゆい。 

田村さんは持っているスケッチブックに何かを描き殴っている……スルーしよう。 

パトリシアさんは、「オウ、コレが百合萌えデスネ!」と叫んでいる。これもスルー。 

黒井先生……先を越されたからって、もう自棄酒ですか……。桜庭先生も止めてあげてください。 

成実さんは目が合うと手を振ってくれた。私達もあなたに負けないくらいの幸せな家庭を築きます。 

つかさ、まつり姉さん、いのり姉さん、お母さん、お父さん。いろいろあったけど、私、ここまで来ました。 

そうじろう叔父さ……お義父さんは、かなたさんの遺影を抱いて滝のような涙を流している。 
私、こなたを絶対幸せにします! 

そんなことを思っている間に、私達は絨毯を歩き終わり、永遠の愛を誓う場所へとたどり着いた。 
そこには、神父服を着た、みゆき。 

「おめでとうございます、泉さん、かがみさん」 
「ありがとね、みゆきさん」 
「ありがとう、みゆき」 

聖母の様な微笑みで頷くと、みゆきは私たちを促した。ここからが式の本番。 
「汝、泉こなたは、柊かがみを夫とすること誓いますか?」 
「誓います」 
俯き加減で、でもしっかりと答えるこなた。その姿がたまらなく愛しい 
。 
「では、汝、柊かがみは泉こなたを妻とすることを誓いますか?」 

誓います……その一言を発するだけのはずなのに、すごく緊張する。 
でも、言わなくちゃ、こなたと結ばれるために。 
「誓います!!」 
うあ……思わず叫んでしまった。そんな私にみゆきは苦笑い。 

「では、指輪の交換と、誓いのキスを」 

互いに指輪を交換し、左手の薬指にはめる。こなたの手……ちっちゃいけど、大きいな。 
そして……キス。こなたの顔に掛かったヴェールを、震える手でゆっくりと上げる。 
「かがみ……顔が真っ赤だよ」 
「し、仕方ないでしょ!!」 
そう言いながら、こなたも真っ赤だぞ、と心の中で付け加える。 

こなたが目を閉じる、それを合図にして突き出た唇に、自分の唇を重ねる。 
この瞬間、ついに私とこなたは結ばれたのだった。 

カラーンコローン、カランカランコロン。 

鐘の音が響き渡り、ライスシャワーと祝福の言葉が私とこなたの上に降り注ぐ。 
永遠の愛を誓った私達は、再び赤い絨毯を渡り、外に用意された車に向かっていた。 

「結婚式、終わっちゃったね」 
寂しそうに呟いたこなた。 
その体をぎゅっと抱きしめる。 

「何言ってるのよ。これからが始まりなのよ」 
「え……?」 
不思議そうに私を見上げるこなた。 
もう、私がこんなに近くにいるんだから、寂しがることなんて無いのに。 

「あんたと私の始まり、ね」 
「……うん!」 
途端に笑顔になるこなた。 

ふふっ、全く、手が掛かるわね。嫁が今からこんな調子じゃ、この先どうなることやら。 
私がもっとしっかりしないとね。 

「ね、こなた。ブーケを投げてあげようか」 
「ん、そだね。じゃあ行くよ~……」 

天高く舞う私とこなたのブーケ。拾った人に私とこなたと同じ最大級の祝福を。 
私、柊かがみ。泉こなたと人生の新たな門出に立ちます!! 

「……らぎ。柊!!」 
「う~ん……こなたぁ……愛してる……」 
「何寝ぼけとんねん!起きんか~い!!」 

スパーン、という小気味いい音と共に強烈な痛みが後頭部を襲う。 
目を開けると、仁王立ちした黒井先生の姿が。 
「あれ……?」 

現在時刻を確認。5時間目の真っ最中だ。うん、一番眠くなる時間帯なのよね。 
……じゃあ、今のは、夢? 
………… 
……… 
…… 
ぐあ、今すぐ首吊りてぇ! 
キョンじゃ無いけど、日本が銃社会でないことに感謝するべきだわ…… 
「ところで柊……」 
「……はい?」 
「誰が誰に先を越されたんや?ん?言うてみ?」 

どうやら、寝言はしっかり聞こえていたようだ。 
青ざめる私と、不気味な笑顔の黒井先生。 
黒井先生が私の寝言をこなたに言って、私がこなたにからかわれるのは、また別のお話。 

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- いつか現実になってほしい。その時には俺も行きます  -- 名無しさん  (2012-12-16 14:17:43)
- この式には俺も参加してぇ  -- 名無し  (2010-03-29 13:03:05)
- 俺も参加www  -- 名無しさん  (2010-01-24 09:54:06)
- 俺もwwwwwwww  -- 名無しさん  (2010-01-23 08:17:38)
- その式には俺も参加させてwww  -- 名無しさん  (2009-12-08 20:04:00)
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