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スバラシキセカイ - (2008/01/09 (水) 02:48:20) のソース

キーンコーン・・・カーンコーン・・・ 

5時間目の余鈴が校内に鳴り響く。あと10分。 
なのに、あのツインテールが見つからない。おいおい・・・貴女がいないと私は怒られる。 
珍しく昼休みも私達のクラスに来なかった。あの寂しんぼめ。どこに行きよった? 




「おーい、みさきち!」 
「よぉ、チビッ子。どしたぁー?」 
「あのさー、かがみん知らない?」 

隣のクラスを見渡しても綺麗なパープルがない。 
私はあの髪が好き。つかさのショートもいいけど、ツインテールは、冗談抜きで、欲しい。 
さらさらと風になびいたり、光に映えたりするあの長い髪が私のお気に入り。 

「昼休み、そっちに行かなかったか?柊のやつ、すぐにどっか行ったぜ?」 
「んー、そっか。ありがとーみさきち。」 

みさきちも俺の嫁の居場所を知らない。どこへ消えたんだよ。 
あと5分。でもあの真面目なかがみが、5分前に席に座っていないのも珍しい。 

「あ、泉ちゃん。」 
「何?峰岸さん?」 

峰岸さんが私に、私にはできないような微笑みをくれる。 
でも、あのうさちゃんの微笑みは、もっと萌え・・・もとい、可愛らしい。 
今日はまだ見ていないような気がする。私にとっての太陽を。 

「柊ちゃん、探してるんだよね?もしかしたらね・・・」 

キーンコーン・・・カーンコーン・・・ 

2度目の鐘。あー、もういいや。完璧に授業には遅刻する。それよりも、私には気になることがある。 
コツ、コツ、コツ。 
リズムよく昇る階段の先。そこには一枚の壁。異世界への扉ではない。でも、その先にあるのは大事な、なくせないモノ。 

「あー、いたいた。」 

屋上はいつ来ても綺麗だ。広がる青空。流れる雲。走る風。気持ちがいい。 
そして中央に寝っころがり、寝息を立てる寂しんぼツインテールうさぎを発見。 

「かがみ。」 
「・・・ん」 

声を掛けるとめんどくさそうに目をあけるかがみ。 
よっぽど、無理して勉強してるんだろうな。顔には疲労が浮かんでいる。 

「ぱんつ見えちゃうぞ。」 

冗談でも言えば起きてくれるかな?でも、寝起きのかがみには意味がなかった。 

「・・・ん・・・別にいい・・・」 

・・今なんと? 

「・・・起きないと・・・キスしちゃうぞ。」 
「・・・いいよ、別に。」 

・・はい?貴女、そんなにデレキャラでしたっけ?いつもは9割拒否するのに。 

「・・・かがみ?起きないと授業が・・・」 
「・・・こなたも一緒に寝よ?」 

プツン。切れました。 
黒井先生授業さぼります。あとかがみもさぼります。 
だってさ、こんな猫なで声を出されたら、理性なんて壊れちゃう。 
受験生、授業中、公共の場、女同士。 
今はそんな楔や柵から抜け出そう。少しでも、貴女の傍で、貴女の望みを叶えたい。 

「じゃ6時間目は授業に出ましょーね、かがみんや。」 
「・・・うん。早く寝よ?こなた。」 

きっと6時間目の前に起こして、かがみの脳が起きたら、今の事なんて覚えてないかも。 
それでもいい。私しか知らない、かがみ、時間。 

「かがみおやすみ。」 
「こなた、おやしゅみ。」 

誰も知らない昼下がり。私だけの秘密。神様も見ないでね。太陽も向こうを向いていて。 
今だけはこの世界は私と甘えん坊かがみの世界。たまには良いよね? 

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