「雨ってさぁ…気分落ち込まん?」
窓の外を見ながらのっちはうなだれていた。
「そう?ゆかは雨好きだけどなぁー」
「えー…信じられん」
「まぁ来週で梅雨明けって予報だったし…
なんてったって来週は文化祭なんよ!
シャキッとしんさいや」
「うーん…シャキッとねぇ」
なんなんよ、この子は。
あ〜ちゃんがシンデレラやるって知った時はあんなにテンション上がってたくせに。
何かカンフル剤となるものを考えてみる。
あっ。
さすがゆか。
だてに文化祭委員してないわ。
「のっち、今日あ〜ちゃんのクラスのリハーサルあるんよ」
「へぇー」
「衣装合わせとかあるみたいでさぁ、あ〜ちゃんもドレス着ると思うんだけど…」
「えっ!ドレス?!」
今までが嘘みたいにのっちの目が輝き始める。
単純な奴め。
「まぁリハーサルは本来文化祭委員しか見れんけど、ゆか委員長だし…
のっちぐらい連れ込めると思うんよ。どうする?」
「行く!連れてって下さい!」
「わかった。ゆかに感謝してね」
「はいゆか様、ありがとうございます!!」
大袈裟なのっちの感謝に少し笑ってしまう。
あ〜ちゃんのことになるとがっつくのっちは初めてではない。
昔からそうだった。
だからゆかはのっちがあ〜ちゃんのことが好きなのは
当然のことのように思ってたし、
てっきりのっちもそれを隠してないんだなと思ってた。
3年になってからのっちはあ〜ちゃんのクラスによく遊びに行くようになったのは、
あ〜ちゃんがいるということを利用して
隣のクラスの気になる誰かを見に行ってると思ってたから
あ〜ちゃん以外に好きな人が出来たんだと一人納得してたのに。
勝手にそう思ったゆかが悪かったのか。
『のっちの気になる人はね…あ〜ちゃん、なんだ。』
なんて真剣な顔で言われたら。
いや、知ってましたから。
と思っても言い出せなくて。
逆にのっちらしくて、見守っていこうと思った。
のっちの目にはたぶん色々なことが変わって見えるんだろうな。
気持ちの持ち様ってやつ?
のっちが自分の気持ちに気づけて良かったと
知らないうちに親のような立場でのっちを見ていたことに気がつく。
ゆかはあ〜ちゃんものっちも好きだけど、のっちのあ〜ちゃんに対する好きじゃない。
ゆかが大好きな二人がお互い想いを通じ合えたら、
どんなに素敵なことだろう。
目の前でそんな素敵なことが起きると強く願ってる。
ゆかは手伝わないよ。
のっちが自分で想いを伝えるの。
つづく
最終更新:2009年03月30日 19:13