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黙ってゆかちゃんの後に付いて講堂へ向かう。
ゆかちゃんのお陰であ〜ちゃんのドレス姿が拝めるなんて…。
ありがと、ゆかちゃん。
のっちの心の中では梅雨が明けたよ。
講堂に入ると客席は真っ暗で、舞台にはピンスポットが当たっている。


『じゃああ〜ちゃん今ライト当たってるとこ立って』


隣のクラスの舞台係があ〜ちゃんに指示を出しているみたいだ。
ちょうどあ〜ちゃん出るとこなんて、ラッキー!
どんな綺麗なドレスで出てくるんだろうと期待。
あれ?
期待してたドレスよりなんだか少しボロくないか?


『じゃあシーン1やってみて』「はぁい!じゃあいきます」



そうか。
これはシンデレラの最初のシーンだからか。
あ〜ちゃんは箒を持って舞台上を掃きはじめる。


「毎日毎日お掃除にお洗濯。
私もお姉様たちのようにお外で遊んでみたいなぁ」


あぁ。
やっぱりあ〜ちゃん可愛い。
にやけていると、ゆかちゃんから気持ちわりゅいと肘で突かれた。



劇が終盤になってもあ〜ちゃんは衣装を変えることはなかった。
一通りリハーサルを終えて衣装からジャージ姿になったあ〜ちゃんがこっちに歩いて来る。



「あ〜ちゃん良かったよ!」


ゆかちゃんがあ〜ちゃんに手を振ると、あ〜ちゃんも振り返す。
が、のっちに気付くと急に手を振るのを止めた。


「なんでのっちおるん!?」
「いやー…あのー」
「のっちがあ〜ちゃんのドレス姿見たいって言ったから
ゆかが連れて来たんよ」
「ちょっとゆかちゃん!!」
「あー…そうなん」


あ〜ちゃんの素っ気ない反応。
もうちょっと照れたりしてもいいじゃん。


「舞踏会用のドレスは今日は着んの?」
「うん。衣装担当の子がそのドレスだけは凝りたいからってまだ完成しとらんのよ」
「そうなんじゃー…のっち残念じゃね」
「えっ、あっ、でも、今日の衣装でも十分可愛かったよ」
「テンパり過ぎじゃ。」


あ〜ちゃんに冷静に突っ込まれる。
隣でゆかちゃんは笑ってるし。
あー…なんか恥ずかしい。
紅くなっているだろう自分の頬を手で仰ぐ。




「のっち」
「ん?」
「今日は残念じゃったけど」



「でもさ、本番ではドレス着るし」



「…じゃけぇ、ちゃんとあ〜ちゃん見といてよ。」




言われなくても。
のっちには、あ〜ちゃんしか見えんよ。



つづく








最終更新:2009年03月30日 19:43