今日ゆかちゃんは学校来た早々、帰っていった。
明らかに、変な感じだった。
それが妙に気になったしあ〜ちゃんの事を話したかったし、バイト終わりにゆかちゃんちに寄った。
ピンポーン。
「・・・・」
ピンポーン。
「・・・・」
ピン・・・・ポーン。
ガチャ。
「うっさい・・・。」
不機嫌丸出しのゆかちゃんが出迎えてくれた。
「あっ、ごめん。体調平気?」
「平気じゃない・・・」
「あっそっか・・・。ちょっと、話があったんだけど、じゃあまたにするね・・・」
「・・・いいよ。入れば・・・」
「いいの?」
あたしは蛍光灯が点いてない薄暗い部屋に通された。
面と向かって言いずらい話だからその薄暗さは今は丁度いいと思った。
そう思ってしまうのは、やっぱりゆかちゃんに負い目を感じるから。
「えっと・・・・」
あたしはどうやって話を切り出していいかわからず、言葉に詰まってしまう。
ゆかちゃんはテーブルに頬杖をついて、あたしを見つめる。
いや、睨みつけるって言い方のほうが合ってるかもしれない。
「なんで、あ〜ちゃんなの?」
「え?」
「ねぇ、なんであ〜ちゃんなの!」
バンっと、大きな音を立ててテーブルを思いっ切り叩いて怒ってるゆかちゃん。
そんな姿のゆかちゃんは初めて見たから驚いた。
「ねぇ、なんであ〜ちゃんなの・・・」
今度は肩を掴まれて言われた。
「な、何が?」
「はぐらかさないでよ。今朝、のっちとあ〜ちゃんがキスしてるとこ見たんだから」
あっ・・・。
しまった・・・・。
今更、反省してももう遅かった。
あたしの肩を掴んでるゆかちゃんの手から震えと怒りが伝わってきた。
「諦めたんじゃなかったの・・・。だから、ゆかと付き合ったんでしょ・・・」
「ご、ごめん・・・」
あたしはゆかちゃんの剣幕に押さえて、この一言を言うのが精一杯。
「かっしーの気持ちは嬉しかったけど、やっぱりあ〜ちゃんのコト忘れられなかったんだ」
「今更だよ!!」
「ごめん・・・」
「もう遅いよ・・・。今までしてきたコトがこれで意味なくなっちゃったじゃん」
ゆかちゃんの言っている意味がイマイチわからなかった。
「・・・あ〜ちゃんとのキスはどうだった?唇は柔らかかった?」
そう言いながら、あたしの唇を触る。
「あ〜ちゃんにキスマーク残して、自分のものにしたって思った?」
そう言いながら、今度は首筋を触ってきて押し倒された。怖かった。
「あ〜ちゃんの肌はどんな手触りだった?」
「・・・・」
「あ〜ちゃんが感じてるの見て興奮した?」
「・・・・」
「ごめん、かっしー。許して・・・。どうしたら許してくれる?」
あたしは許しを請う。
腕を掴まれて、耳元でこう囁かれた。
「のっちの手で汚れる前のあ〜ちゃんを返して」
えっ!!どういうコト!?
ゆかちゃんはあたしのコトが好きなんじゃないの?
だから、あたしがあ〜ちゃんのコトが好きなのを怒ってたんじゃなかったの?
あたしに告白したのは嘘だったの?
ゆかちゃんはあたしを見下ろしてる。
「以前のあ〜ちゃんを返してよ」
「・・・かっしーはあたしが好きなんじゃなかったの?」
「本当に・・・そう思ってたの?」
「じゃ、誰が好きなの?あ〜ちゃんなの?」
ゆかちゃんは黙ってあたしの腕を放した。
「あ〜ちゃんが好きなのに、なんであたしに好きって言ったの?」
「・・・・」
「かっしー、黙ってたらわからんよ・・・。」
「・・・・」
「かっしー!答えてよ。好きじゃないなら、何で付き合おうなんて言ったの?」
「・・・・」
「かっしー!!」
今度はあたしがゆかちゃんの肩を掴んだ。
「・・・わからんの?のっちが、あ〜ちゃんと仲良くするからだよ!」
「は?」
「のっちにあ〜ちゃんを取られたくなかったから、のっちのコトを誘惑したの」
なんだそれ?意味わからん。
そういう行動をとるゆかちゃんもそうだけど、それでまんまと引っかかった自分って一体なんなの?
「そんなにあ〜ちゃんのコト好きなら、告白すればいいじゃん!」
「バカじゃないの。告白出来たら、とっくにしとるわ!!」
「じゃあ、今まであ〜ちゃんに近寄ってきた人みんな、そうしてきたの?」
「・・・・」
「かっしー、それは間違ってるよ・・・。あ〜ちゃんの気持ち考えてないよ・・・」
「うるさいな!!何も知らないくせに、偉そうな口きかんでよ!!」
バチンッ。
頬を平手で叩かれた。
痛かった。頬も心も。
「もう、何なん・・・。のっちと会ってから苦しいんよ。あ〜ちゃんの隣を取られそうって思うと、怖かったの」
ゆかちゃんは泣き出してしまった。
「のっちなんか・・・会わなきゃよかった。顔も見たくない・・・。もう来ないで・・・帰って・・・帰ってよ!!」
背中を押されて追い出された。
叩かれた頬が濡れてる。
あぁ、涙だ・・・。
でもこれは、何で流れた涙なのかはわからなかった。
わかったコトはひとつだけ。
今日、あたしは友達を一人なくした。
最終更新:2009年03月30日 19:45