〔K〕
のっちは私にされるがまま、ちょっと眉を八の字にして困った顔にも見えるけど、もう止まれなかった。
首筋にも、タンクトップから見える鎖骨にも、肩にも、
襟元をひっぱって胸の上にも“きれいな赤”を落とした。
『ちょっ、ちょ!!もういいよ〜ww』
笑いながら私の顔を体から離した。
目の前に見えたのは優しく笑う愛しい人。
私は押さえきれない衝動をのっちの唇にぶつけた。
荒々しいキスでも、のっちはちゃんと受けとめてくれる。嬉しくなって深いキスをした。ちゃんと受けとめてくれる。
唇を離しのっちに抱きつく。それもまたちゃんと受けとめてくれて、優しく抱き締め返してくれる。
この時からだ。
私の中の、
嫉妬、
束縛、
ひがみ、
憎悪、
苦しいくらいの愛情。
全てが大きくなって、
のっちを支配し、
のっちを独占し、
のっちを閉じ込めたのは。
そして、、
どこにも飛んでいかないように、
のっちの自由な翼をひとつずつ折りだしたのも。
この時からだったんだ。
〔N〕
目が覚めるとゆかちゃんの腕の中だった。
一日中抱き締められるようにして眠っていた私はとても居心地がよかった。
起こさないように洗面所に向かう。顔を洗って鏡をみると、
『うっわ!!!!すげぇ・・・』
半端ない数のキスマークにちょっとひいてしまった。
(まぁいっか・・ストールまいとけば・・・)
なんて適当に思ってたら、
『のっちっ!!!!』
ベッドから声が聞こえる。
タオルで顔を拭きながら
『おはよ〜ww』
って声をかけた。
『なんで起きた時に隣にいてくれんの??』
ちょっと強めな彼女の声に驚いた。
『へっ?!あ、あ〜ごめん・・顔洗ってたww』
笑って答えたけど彼女は悲しそうな顔で俯いてしまった。
『のっちが起きたらゆかのことも起こして!!』
『えっ!?うん・・・起こしちゃ悪いなって思って、さ??』
視線が戻ってきた。
彼女は少しだけ優しい顔になって、
『起きた時に隣にいてくれない方がいやだよ??』
なるほどね。
ゆかちゃんはそっちタイプね。わかりました。
『ん、ごめん。逆効果だったね??ww』
優しくいっておでこにキスをしたら、ふふって彼女が笑うから、
『どしたの??』
『ん〜キスマーク・・・いっぱぁいついてるねっww』
最高の笑顔で言うからまぶしくってまぶしくって。
『ははっwwゆかちゃんののっちだからね〜その証明ってことだねww』
なんて言ってみると、嬉しそうに抱きついてきた。
『のっちだぁぁいすきっ!!ゆかののっち!!ww』
嬉しそうだ。
『ゆかがのっちのことずーっと好きでいてあげるww守ってあげるから、ね??』
ふざけて言う彼女が愛しかった。
『じゃ、よろしくおねがいしまぁ〜すww』
なんて返事をした。
この時はまだ気付きもしなかった。
ゆかちゃんのくれるたくさんの愛情が、
やがて、
苦しいくらいの愛情
に変わることを。
〔K〕
仕事に行く前に一回家に帰った。のっちの家からいけばいいけど、二日連続同じ服を着るなんて行為はいやだし、なんといっても下着をかえたかった。
シャワーを使わせてもらってから替えの下着がないことに気付いて、嫌だったけど、のっちの家をあとにした。
『またすぐ会えるから、ちょっと我慢、ね??のっちも頑張って我慢するww』
いつまでも離れられない私にのっちは優しく言ってバイバイのキスまでしてくれた。
私を喜ばせるその台詞を何度も頭の中でリピートしながら家に帰った。
あ、そういえば携帯。
いつもマメに携帯を見るのに、昨日は全然見なかった。
当たり前だ。
携帯より大事なものが、目の前にあったのだから。
鞄から取出し画面を見る。
メールが4件。
友達と、ママが2件と、
あ〜ちゃん。
『のっちは私と一緒にいるほうが幸せなんじゃない??(はぁと)』
————クスッ——
面白くて笑っちゃった。
だってそんなこと言ってるけど、ゆか昨日はずーっと一緒にいたんだよ??
もうのっちはあ〜ちゃんの手の届かないところにいるんだよ??
『おはよっ!!残念でしたwwもう鍵かけたも〜ん(はぁと)』
あ、意地悪しちゃった・・。
だけど仕方ないんよ。
のっちに手を出そうとするのが悪いの。
“ゆかののっち”
なんだから。
〔A〕
朝っぱらから携帯がなる。まだベッドの中だった私は寝呆けながら画面をみた。
朝から見るにはちょっとヘビーすぎるゆかちゃんからのメール。一気に目が覚めた。
まぁ仕方ない。のっちとゆかちゃんのことだ。
あの雰囲気だもん。昨日ずっと一緒にいたことくらいわかるよ。
もうのっちは昔からそうだったから体は諦めていた。
別にあんだけ色んな人に触れてたんだから、今更ゆかちゃん一人くらい、なぁ〜んとも思わん。なんて自分に言い聞かした。
でも、鍵かけた??
どうゆう意味だろ??
縛り付けたいってゆう願望じゃないの??
それってゆかちゃんだけの思考、だよね??
————ふふっ——
私は笑った。
だってのっちは縛れないもん。
いくらゆかちゃんが愛して、それにのっちが応えたとしても、
“縛る”
なんてことは絶対にできない。
だってのっちは鳥みたいにいつだって自由だから。
『鍵なんてかけられたら、のっちがかわいそう・・・。癒してあげるのがあ〜ちゃんの役目ってこと??で、おっけぇ??ww』
本当にそう思ったし、ゆかちゃんにはこのくらい言わないと通じない。
最終更新:2009年03月30日 20:08