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ぽつぽつ、からざあざあ、へ。
急に激しくなった雨の音に目が覚めた。
枕元に置いといた携帯を見ると夜中の3:30。何も身に着けないままの身体では少し肌寒い温度。首もとまで布団に埋まる。
ふと横を見ると、こちらを向いて身を丸めて寝るおにぎり…………もとい、のっち。
眉間に力が入り、瞼を必死に閉じているように見える。


髪の毛、伸びたなぁ……

目に被ってる邪魔そうな前髪を分けてあげながらふと思った。のっちはいつからボブになったんだっけ。頭の形がいいから、色んな髪型が似合うんだろうな。それでもPerfumeの為に髪型を維持し続けてるのっち。本当は髪の毛染めたりとかしたいんだろうに。


雨脚は止まる事を知らない。
こうやってのっちの髪を何度と撫で付ける間にも、外では雨の音と、たまに車のブレーキの音が響く。静かすぎるこの部屋に外からの雑音はちょっと五月蠅いかも。まったく、東京の人は夜中でさえも休むって事をしないんだね。もし今のっちが隣で寝てなかったら、この喧騒はあたしにはちょっと辛いかもしれない。雨にはどうしても孤独を感じてしまう。夜中なんて尚更にだよ。
こう考えると、ぐっすり寝て無防備な姿でも、あたしをしっかり守っているって事に気付く。そして、そんな彼女がたまらなく愛しく感じてくる。


一瞬フラッシュのような光がのっちの顔を照らした。そして即座にがらがらという音が轟く。
うわぁ、雷まで鳴ってきたよ…
しかも結構近い。ちょっと怖いかも。

こういう時、ちょっとでも多くの体温を感じると安心するから。
のっちの背中に手を回して、ぎゅっ、てひっつくくらい身体を寄せる。お互いに素肌だから触れるところ全部きもちいい。のっちの適度に暖かい体温が身体を通して伝わってくる。
フラッシュのような光とけたたましい音は更に続く。鳴り響く度に回した腕に力を込め、のっちの体温だけに意識を集中しようとした。


「ん…」

あんまりにも力を入れすぎたのか、のっちが目を覚ました。んーって唸りながら右手を真直ぐあげて伸びている。その顔を見つめてたあたしと目が合った。


「あ〜ちゃん、起きてたん。」

「うん。雷、鳴ってきたけぇ」

「…そっか。怖かったね、」

そう言うとあたしの身体を引き寄せて、ぽん、ぽん、とゆっくり優しく肩のあたりでリズムをとってくれる。耳元で、のっちが居るよ、もう怖くないからねって囁きながら。
…やばい、あ〜ちゃん泣きそう。

のっちはたった一言であたしが何をしてほしいのか分かってくれる。あたしの事はもう何でも知ってるんだよとでも言う風に。あたしは素直になれないからほんのちょっぴりしか言葉に表せないのに。その小さなヒントを拾ってあたしだけの為の完璧な愛情表現を1つ1つ的確にやってのける。
そんなのっちがちょっとずるい。でも優しくされるその行為は心地良いから、決して抗えない。
だからこそ、あたしものっちのしてほしい事、ちゃんと出来てるのかなって不安になってしまう。
のっちはあたしをいつでも守ってくれるけど、あたしはあなたを守る事が出来てるのかな。あたしを愛しいと感じてくれてるのかな。
ねぇのっち。あたしばっか幸せじゃないかなあ。いつも素直になれないあ〜ちゃんを嫌いになったりせん?



「…大丈夫だよ」

一瞬あたしの考えてた事がのっちに伝わったのかと思った。それ程ちょうどいいタイミングで囁かれた言葉。
実際には、のっちがいるよ、雷なんて怖くないよ、の意味合いを含んだ「大丈夫だよ」なんだろうけど。

一定のリズムで下ろさせるのっちの手の感触と、その言葉だけで、何だか心配事も嘘みたいに薄れてしまって。その代わりに胸の辺りがじんわりと温かくなる。こんな時までのっちは完璧のにじゅーまる。悔しいけどその言葉に甘えちゃうよ。
まだあなたと一緒に居ても、大丈夫な気がする。愛してるよのっち。


急に伝えたくなったこの気持ちを、今一度のっちに囁いてみる事にした。きっと暗がりの中でも分かるくらい、おっきな目を開いて驚くかもしれない。デレなあ〜ちゃんなんて滅多に見せないんじゃけぇね。


「ねぇのっち、あ〜ちゃんねぇ、のっちと居れて本当に幸せよ。」



END






最終更新:2009年03月30日 20:22