あの日から、踏切にゆかちゃんの姿を見ていない。
カンカンカンカンカンカン…
独りぼっちの踏切で、警告音が虚しく響いた。
「おはよう、のっち」
「おはよう、ゆかちゃん、あ〜ちゃん」
出来るだけいつも通りに振る舞う。
一緒に居るのは辛いけど…離れる勇気もないから。
ゆかちゃんが、そばに居てくれれば、、、それで良いから。
「ゆかちゃんが先食べてとって、って」
お昼ぐらい一緒に食べたいよ。
「見て、あ〜ちゃん特製出汁巻き玉子w」
ゆかちゃんの事、あ〜ちゃんは知ってるんかな…。
知ってて黙ってるんかな…。
「ゆかちゃんさぁ…何で一緒にお昼食べんのかね。」
売店で買ったパンを口に運ぶ。
「ん?忙しいからじゃろ。委員長だし」
何も知らないかのように…
いや、もしかしたら本当に何も知らないのかも…
「…付き合ってる人でもおるんかね。」
「…それは、無いじゃろw」
「そう?案外あるかもよ」
「無い、無いw…もし仮にあったとしても、あ〜ちゃんやのっちには言うじゃろ」
「そっか…」
そうだね…。恋人が出来たなら、報告ぐらいしてくれるよね。
じゃあ…あ〜ちゃんは知ってるよね。
でも、なのに、どうして?
のっちは何も知らなかったの?
私は食べかけのパンを袋に戻して、立ち上がった。
あ〜ちゃんの顔を見ないように、
私の顔を見られないように、
背を向けたまま。
「のっちは気にしすぎ」
「前も言われた」
「それとも、、心当たりでもあるん?」
「無い」
ウソ…
見ちゃったんだよ。
「じゃあ、何も心配いらないじゃん」
「そうだね…」
「だから…もっと頑張りんさい!」
「はーい…」
私は力無く返事をした。
いっそ、
『そうだよ』って言って欲しかった。
『ゆかちゃんに恋人が出来たんだよ』って
『だから、諦めろ』って
言って欲しかったよ。
あ〜ちゃんの優しさが、隠し事されてるみたいで、余計悲しかった…。
最終更新:2009年03月30日 20:43