side.K
「はぁ…はぁ…」
のっちは、立ち上がろうとしたゆかの手を引いた。
のっちが荒い呼吸を抑えて体を起こすのを、慌てて手伝う。
…熱だってまだあるのに、無理してまで何かをゆかに伝えようとしてる。
「ゆか、ちゃん…昨日…かな…?覚えてなくて、昨日なのか分かんないけど…」
「昨日…?」
…まさか。ううん、のっちがいたっていう証拠は……でも…昨日、は…。
昨日は。
「あ〜ちゃんと…外れの所の図書館に、いた…よね…?」
ドクン、と心臓が音を立てた。
背中に何かヒヤリとしたものが通った気がした。
「み、…みた、の…?」
「…うん。…その後の事は、覚えてなくて…気がついたら、家で倒れてた…」
「……」
…見られたんだ、のっちに…知られたんだ、全部…。
目の前に暗い何かが横たわったみたい。
でも、どうしようもない。何もできない。
…悪いのは、全部ゆか。
なんて馬鹿な事をしちゃったんだろう…。
のっちの気持ちも考えずに、一人で勝手に思い込んで動いて、結果あ〜ちゃんにも馬鹿みたいに甘えて…。
そうぐるぐる考えてると、のっちは突然ゆかを畳に押し倒した。
「の、のっち!?」
「—っ」
ぷちぷちとシャツのボタンが外されていく。
荒くなった呼吸と手つきが、普段ののっちをどこかへ連れていったのが分かる。
「のっち待って!ねぇ、お願いだから!」
「待てないよ。待てない…」
必死に懇願しても、のっちは熱い体をゆかに伝えてくる。
触れる掌も汗ばんで、簡単にゆかの体に吸い付く。
「まっ、待って、やだ…のっち…!」
「はぁ…はぁ…っ…な、んで…」
「……の、っち…?」
「はぁ……なんで…なんで、手…震えるんだろ…」
カタカタと震える熱い掌。
のっちの頬には涙の筋がいくつもある。
「……好きなのに…こんなにも、すきなのに…っ」
「のっち…」
「なんで…こんなに、怖いんよ…!なんで…っ…」
ゆかの胸にのっちの頭がカクン、と乗った。
「のっち…?」
「はぁ…はぁ…」
再び、のっちは気を失った。
額に手を宛てると、先程より更に熱が上がっている。
「……のっち…ごめん…ごめんね…」
震える手で、のっちの頭をそっと撫でた。
それから、頬に残る涙の跡を指先で拭う。
「ゆか…行かなきゃ…」
一度目を閉じて、のっちの匂いを感じる。
…静かに決意して、目を開いた。
のっち。こんなゆかを好きになってくれて、ホントにありがとう。
たった今、ゆかがするべき事を考えて出した答えがあるよ。
…それは、後悔しない選択をするって事。
その為にゆかは、今のっちの傍を離れてでも、あ〜ちゃんの所へ行かなきゃいけないんだ。
最終更新:2009年03月30日 21:05