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◆A-side◆

あれからしばらくして、心地良さそうな寝息が、暗闇の中から聞こえてきた。のっちはもう、夢の世界へ旅立ったみたい。
本当にもう、史上最悪な一日だったよ。誰かさんのせいで。体は入れ替わるし、ちゃあぽんには誤解されるし、のっちは変態だし。マジで最悪。
明日からは学校かぁ。ますます大変そう。のっち、授業真面目に聞いていられるかな?あ~ちゃんは真面目じゃけぇ居眠りなんてせんからね。
心配事が募る中、睡魔が襲ってきた。うーん眠い。今日は疲れたからね。体力的にも、精神的にも。よし寝よう。明日に備えなきゃ。
ゆっくり目を閉じる。のっちの寝息が、何故かホッとするんだ。安心出来るんだよね。なんでだろ。
それはきっと。のっちの事が、好きだから。

◆◇◆◇

夢の世界から、無理矢理連れ戻された。扉が開く音がして、ゆっくり近付く足音。誰?目を開けて人物を確認する。
ちゃあぽんだ。
「…ちゃあぽん?」
あ~ちゃんとお揃いのパジャマ姿。あ~ちゃんは起き上がって、首をかしげる。ちゃあぽんが静かに扉を閉めた。
ちゃあぽんの様子がおかしい。どうしたんじゃろ…。


「宿題…分からんかったん?」
さっき教えて欲しいっぽかったもんね。でも、今何時だろ。真夜中だよね。ずっと宿題してたのかな?
「……。」
ちゃあぽんが黙ったまま首を横に振る。暗闇の中でも、目が慣れてきたから、なんとなくだけど姿が見える。
のっちの方を見ると、スヤスヤ眠っている。あの姿勢で寝れるなんて天才だ。のっちは寝る事となると必死で貪欲だもんね。あ、それとゲーム。
「…、ちゃあぽん…?」
のっちの幸せな睡眠の時間を邪魔する訳にはいかない。起こさない様に、小声で尋ねる。
てかさ。ちゃあぽんに誤解されてるって事、すっかり忘れてた。手錠で身動きを取れないあ~ちゃん(中身はのっち)に、のっち(中身はあ~ちゃん)が馬乗りになっている所を見られたんだ。
誤解を解かないと。このままじゃダメだよ。のっちのイメージもあるけど、お姉ちゃんなりのプライドみたいなのもあるし。
「ちゃあぽん…さっきの事じゃけどね、違うんよ…」
上手く説明出来ない。なんて言えば納得してくれるだろ。
「うん…のっちがそっち系でも、あたしの気持ちは変わらんから…」
ありがと分かってくれて!ってアレ。そっち系ってどっち系?


「…のっち…!」
ガバッ、
押し倒された。
驚いて目をパチクリする。目の前には、ちゃあぽん。顔が赤いのは気のせいかな?
「やっぱり…のっちの事が好き…!」
はーいー?ちょちょちょちょっ。ちょっと待って。さっきソレっぽい事言ってたけど、マジだったんだ。
冷静に考えてみる。コレは、いわゆる夜這いだよね。ちゃあぽんってば、大胆。我が妹ながら驚き。てか、もはや驚きってレベルじゃない。
「ま、待って…あ~ちゃんが起きたら大変…」
とにかく。落ち着こうと、優しくちゃあぽんに言い聞かせる。だが、その目はキラキラと輝いている。こんな目、今まで一緒に生活してきて、一度も見た事ないよ。ヤバい。
「…ちち中学生には、まだ…は早いんじゃないかなぁ…」
何ばあさんみたいな事を言ってるんだ自分。けど正しいよ。中学生にはまだ早い。
「子供扱いしないで、」
ちゃあぽん…なんて名言だ。あ~ちゃんの知らない間に、大人びちゃって。おませさんだなぁ。
「あたし、のっちになら何されたって良ぇんよ…?」
キャーッ。何て事を言ってるんですか。そんなの、本人が聞いたら鼻血ブーッてなって頭ボーンだよ。


「お姉ちゃんには、秘密にするけぇ…ね?」
つまりは浮気しろと。残念ちゃあぽん。本当ののっちに浮気出来る程の甲斐性は無いよ。
だけど、大人顔負けの色っぽさ。妹で無かったら今頃、もしかしたら…。って何考えてんの。止めないと。上手く乗り越えないと。
「…のっち、年下には興味無いんよ…」
「嘘。前に年下は有りって言ってたじゃろ」
そんな事を言ってたのかロリコン女。前にストライクゾーンは熟女から幼女まで、とかふざけた事をほざいてたっけ。ミジンコ以下じゃな。将来、犯罪を犯さんか心配じゃ。
「のっち…」
ちゃあぽんが目を閉じて、顔を近付けて来た。これは。そう、キスだ。
抵抗する間もなく、唇を奪われた。柔らかくて気持ち良いなーなんて。
そして、唇を割って舌が…。うわー大人のキスじゃ。
その瞬間、頭の中で何かが破裂した。パチンッ、て。
ちゃあぽんの肩を押す。唇が離れ、不満そうな表情のちゃあぽん。お姉ちゃんとして、妹に忠告するよ。
「のっちとこんな事したら、アンタ妊娠してまうよ!?」
つい大声で叫んでしまった。だってさ。大事な妹が変態女とキスするなんて、黙ってられない。たとえ中身があ~ちゃんであろうと。


◆N-side◆

のっちです。実は、途中から起きてました。「やっぱり…のっちの事が好き…!」って辺りから。
ずっとドキドキドキドキしながら寝た振りをしていました。ちゃあぽん…のっちの事、好きだったんだ…。初耳だ。叫びたいくらい嬉しいんだけど、我慢我慢。
それより、大胆過ぎてビックリ。あんな風に誘惑?されたら、のっちだったら暴走してるだろうな。
しばらくやり取りを聞いていると、大事件が起きた。
「のっち…」
き、ききキス…!?
あいやぁぁあ。どうしよ。ちゃあぽんにキスされちゃったよ。中身があ~ちゃんな自分が、だけど。
そしてあ~ちゃん、グッジョブ!そのまま行っちゃっても良いよ。のっちの体で、ヤっちゃって良いよ。…なんて邪な事を考えていると、あ~ちゃんが叫んだ。
「のっちとこんな事したら、アンタ妊娠してまうよ!?」
ちょっとあ~ちゃん。変な事を教えんでよ。
「に妊娠なんてせんよ!」
あ、しまった。やべ。
ビックリして思わず自分で突っ込んでしまった。
二人がギョッとしてコッチを見る。
「お姉ちゃん…起きとったん…?」
沈黙の後、ちゃあぽんが部屋を飛び出したのは、言うまでもない。


◆6:End◆






最終更新:2008年10月10日 16:18