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お互い気まずい空気を感じながら、帰る下校道。
辺りはすっかり暗くなってしまって、灯りは私の自転車のライトと度々通る電車のみ。



何を喋ろう。


—…今日は彼氏と帰らないの?

—…彼氏ってどんな人?
—…ゆかちゃんはその人のこと好きなの?

—…あ〜ちゃんより?

—…のっち…より?

あー…適当な話題が出てこない。




しばらくの沈黙を破ったのはゆかちゃんだった。
「なんか、ドラマみたいだったね」

最初、なんのことを言っているのか解らなかった。
でも、苦笑したゆかちゃんの顔を見てさっきの事なんだとわかった。

「あー…ねw」
きっと上手くは笑えてない。
けど、この暗さで見えていないことを祈った。

「のっちはどうするの?」

「どうしようね…」
断る気でいるのに、私の口から出たのは曖昧な答え。
「もし、もしさ?」
「ん?」
「付き合うのOKだったら、、、のっちは…ファーストキス?」

「は、はい…そうれす」
「ふふっ、そっか」
笑ってはいたけど、何故か寂しそうに聞こえたその声に慌てて弁解をした。
「あっ!でもOKだったらだから…」
「断る気?」
「…」
どうして自分は何も言えないんだろ…




カンカンカンカンカンカン…

踏切が私達の足を止めた。
赤い警告ランプに照らされたゆかちゃんをそっと盗み見る。



断る気だよって言わなくちゃ…
あっ、でもそんなことゆかちゃんには関係ないか…



視線はピンクの淡いグロスが塗られた唇に…



—…ゆかちゃんはもう恋人と…キス…したんかな



ヤダ…なぁ



本当に無意識に、
体が動いてた。



、、、


踏切を走る電車の灯りが照らす中、
私は…ゆかちゃんにキスをしていた。


踏切が開くと同時に離した唇を目にして、自分がやってしまった行動を理解した。



「うわっ!ご、ごめん!違う!嘘!じゃない、冗談!冗談?でもないか…えっと、えっと」
もう、パニック状態だ。

「えっと、その、無意識と言うか…なんか、、するつもりは無かったんだけど、、えっと、」
どう説明して良いかも解らない。


ゆかちゃんは、ぽかんと私を見つめていたけれど、すぐに顔を赤く染め、目には涙が…

「あぁぁ!ごめん、本当に、、ごめっ「最悪じゃ…」



カンカンカンカンカンカン…



踏切がまた警告音を鳴らした。
下りてくるバーにも構わず、ゆかちゃんは走り出し踏切を渡る。

「待って!」
追いかけようとしたけれど…



カンカンカンカンカンカン…



「ゆかちゃん!」
届かなかった。



毎朝、ゆかちゃんを引き止めてくれていた踏切が、私を阻んだ。




—…最悪じゃ
頭をハンマーで殴られたみたい。







最終更新:2009年04月09日 23:11