公園でゆかちゃんの告白を受けて、三人で泣き合ってから約2年が経った頃。
ゆかちゃんから1ヶ月ぶりのメールが届いた。
『あ〜ちゃんへ
元気ー?メールするの久しぶりだね(^^)
突然だけど2日後に帰国します!!二人にお土産買ってきたよ!!
いつ会えるかな?返事待ってまーす』
ゆかちゃんはあの後本当に旅に出ていった。
最初は国内を転々と旅行してたけど、それくらいで満足できなかったらしく、半年前にバックパッカーになって海外に行ってしまった。
2年間全く会ってないけど、今の時代携帯電話という便利な道具があるのでたまにメールのやり取りはしていた。
メールの向こうの吹っ切れたゆかちゃんを見ると、なんだかすごく羨ましかった。
ゆかちゃんの決断力と行動力が羨ましかった。
楽しそうで自信に満ち溢れているゆかちゃんが羨ましかった。
あたしはのっちにゆかちゃんが帰国する事をメールで知らせる。
のっちにメールをするのはいつ以来だったかな・・・。
あたしはゆかちゃんに返事をする。
『ゆかちゃんへ
元気だよ!!わー、会うの2年ぶりじゃね。
空港まで迎えに行くけえ。何時に到着予定?』
『えー、空港まで来てくれるん?チョー、嬉しいんですけど(笑)
一応、11時半に着く予定だよー』
さすが、メールの達人。返事が早い。
『わかった!じゃ、その時間に行くね〜』
『あ〜ちゃんとのっちに会えるの楽しみに待ってるよー!!じゃあね!』
あ・・・やっぱり、のっちも一緒じゃないとダメか・・・。
ブブブ・・・。
携帯が震えた。のっちからのメールだ。珍しく返信が早い。
『わかりました。どうすればいい?』
相変わらず、愛想も可愛げもないメール文。
あたしは、空港に迎えに行くことを返信した。
『わかった。空港まで一緒に行く?』
この返信にちょっとドキっとした。
のっちから誘ってくるなんて思わなかったから。
あたしがどうやって返事しようか悩んでたら、またのっちからメールが来た。
『てか、イマイチ行き方がわからんから一緒に連れてって下さい』
これを見て、ハノ字眉になっているのっちの顔が脳裏に浮かんだ。
あたしは待ち合わせ場所と時間を返信した。それを入力する親指は震えていた。
のっちに会うのはいつ以来だったかな・・・?
ゆかちゃんがいなかった2年間で、あたしとのっちは変わった。
最初の1年くらいは順調だった。
のっちといるのが楽しくて嬉しくてしょうがなかった。
あたしはのっちが大好き。のっちもあたしが大好き。
ゆかちゃんに言われた通り、ちゃんとのっちに甘えてた。
のっちに求められたら、拒まなかった。
のっちの愛を精一杯受け止めた、と思ってた。
のっちに愛を精一杯あげてた、と思ってた。
少なくとも、あたしはそう思ってた。
でも、のっちは違ってたみたい。
ある時から、のっちはあたしに触れてこなくなった。
あたしに原因があるんじゃないかと思って訊いてみた。
けど、のっちは「あ〜ちゃんのせいじゃない」ってしか言ってくれなかった。
正直それで納得しなかったけど誤魔化し続けて半年粘った。頑張った。
頑張ったけど、やっぱり誤魔化し切れなかった。
のっちは優しい。自分から言い出せなかったみたいだから、あたしから切り出した。
「終わりにしよっか」って。
本当は口が裂けても言いたくなかった一言。
言いたくなかったけど、あたしといて辛そうなのっちを見るのはもっと嫌だったから言ったの。
ずっと一緒にいれると思ったのに。
あたしたちは絶対大丈夫って思ってたのに。
あの楽しかった日々が夢か幻のように感じた。
それと『絶対』なんて事はありえないって初めて知った。
のっちに「終わりにしよっか」って言った後、「友達に戻ろう」って言った。
のっちは消えそうな声で「うん」って言ってくれた。
あたしたちは『友達』に戻った。
そもそもまだあたしは、のっちの事が忘れられない時点で『友達』じゃないんだけど。
別れてから、のっちと喋ったのは2,3回くらい。半年で2,3回しか喋ってない。
あぁ、思い出した最後にメールしたのは1ヶ月前。試験の範囲を教えてあげたんだ。
思い出した、最後に会ったのは2週間前。授業のノートを貸した時。
気付いたら、あたしは『友達』と言うよりのっちの『便利屋』みないな感じになっていた。
それでもいいの。少しでものっちと繋がっていられるなら。
あたしはゆかちゃんを迎えに行く為に、のっちとの待ち合わせ場所まで向かう。
2週間ぶりに、のっちに会う。
2年ぶりに、ゆかちゃんに会う。
ねぇ、のっち・・・あたしはあなたにどんな顔して会ったらいいの?
最終更新:2009年04月09日 23:36