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K『きゃっ。』


ショッキングな映像に合わせて隣から小さな声が時折あがる。
もちろん隣からだけでなく館内全体に恐怖にひきつる声がこもる。

私の肩に縋るように身を寄せ体に力を入れているきみに視線をやり、

N『大丈夫、ですか?』
優しく声をかけてみる。

きみは口を固く閉ざしたまま、コクリと小さく頷いた。

映画が上映されてから数回こんなやり取りを交わす。

私はタイミングを見計らっていた。
いろいろな事を計算して、
ここしかない、って絶妙なタイミングを探していた。



映画も終盤、
もつれた糸が解けていくように、ジグソーパズルのピースが埋まって行くように、
段々と謎が解明され始めるクライマックスシーン。
私以外の全ての人がスクリーンに釘づけになっている。



今しかない、と、
野性の本能と人間の計算とが私を突き動かす。


右手を膝にかかっている私の上着の下へと潜り込ませた。

K『ひゃっ。』

映画に入り込んでるきみは突然の出来事に驚きの声を上げた。
幸い、スクリーンはグロテスクな映像を映し出していて違和感なく驚きの声は掻き消される。



戸惑うきみの空気を切り裂くため、遠慮なく私のやりたい事をやっていく。

太ももにかかるきみのスカートを上着の下で器用にたくしあげる。

K『のっち?!』

スカートをたくしあげながら、指でその肌を撫でる。


ピクッ。

きみの体が小さな反応をくれる。
私の肩に腕にしがみつき、指先の動きに戸惑いながらも溺れてるきみ。

無言で何食わぬ顔してスクリーンを見つめたまま神経はきみへと集中してる私。

焦らす余裕なんて私にもなくて、下着の中に手を入れ迷わずそこへと動く。



数回、
優しく撫で反応を盗み見る。

K『…ぅっ。』

吐息すら漏らさないように必死で噛み殺すその姿に、確信と歓喜が満ち溢れる。


一週間以上焦らされていた分、きみの反応も思った以上に早い。

K『ん…っ。』

指先の腹で円を緩やかに描いていく。

たった数回のその刺激でもきみの全身がその時を告げている。

しがみつく力が強くなり体の硬直がピークへと達する。

N『大丈夫、ですか?』
わざと、さっきと同じ言葉を投げかける。

K『こんなとこじゃヤダ…っ。』

小さく小さく最後の抵抗をして見せるきみは、
きっともの凄い葛藤と戦ってるんだろうね。


それを考えるとたまらなく興奮した……。





K『も、……い、ちゃ……。』

恍惚の喜びに浸っていた私を現実へと引き戻すきみの声。
それに応える様に私は刺激するのを止めた。


K『?!』



文字通り、寸止め。


私は何事もなかったかのように、右手をあるべき場所に戻し映画に集中しているふりをして見せた。

K『……っ。』

催促する事も拒む事も出来ず、
きみはただされるがまま。

そして思ったような結末を得られず疼く体を抱え、きみは何を思うの。
顔を見て確認しなくてもわかってる。

潤んだ瞳に泣きそうな困った顔で私を伺ってるはず。


チラリ
と、顔を覗き込むと思った通りの顔したきみをスクリーンの光りが淡く照らし出していた。


一瞬の間でその表情は見えなくなる。
ふと、スクリーンに目を戻すとそこにはエンドロールが流れていた。


(続く)






最終更新:2009年04月10日 00:06