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〔N〕


決意した。
私は別れを決意した。
もう耐えられなかった。
だけど
なんて言えばいいかなんてわかるわけもなかった。
それを知る術もなかった。むしろ、
もう勇気なんて
どこにもなかった。


〔A〕


のっちはもう無理だと
私の腕の中で泣いた。
私はもう黙ってられなかった。
無性に苛々した。
愛する人を傷つけることでしか愛せないゆかちゃんも。
愛する人に間違った優しさで接したのっちも。
愛する人の痛みを知りながらも何もできなかった私自身にも。
なんでもっと早く止めなかったんだろう・・・。
なんでもっと早く気付けなかったんだろう・・・。
出てくるのは後悔ばかり。



私は決意した。
私はゆかちゃんと話す。
のっちには負担が多すぎる。
今私が出ていかないで、
いつ出るの?
今愛する人を守らないで、いつ守るの?




考えた中で
出た一つの結論。
なんだかんだで、
私はゆかちゃんも救いたいんだ。
ゆかちゃんだって守りたい。
のっちを傷つけることでしか愛せなかったゆかちゃんをも、私は守りたいんだ。
やっぱりゆかちゃんは
親友なんだ。
ほっとけないよ。
守りたい
違う。
助けたいんだ。



〔K〕




久しぶりにあ〜ちゃんからメールが入る。
『話したいことあるんよ。時間つくって。』
有無を言わせない感じ。
なんだろう??
最近
あ〜ちゃんはかわった。
前みたいに
あ〜ちゃんと
のっちのことで揉めなくなった。
それは諦めたってことでしょ?
のっちのこと、
もう完全にゆかのって認めたってことでしょ?
そうだとしたら何?
話したいことって何?
傷・・・の、こと・・・?
バレた・・?
だけど、
悪いことじゃないでしょ?
悪いことじゃないもん!

もしそうだとしても、
ゆかからはなんも話すことなんかない。

のっちにはゆかが必要なんよ?
もちろんゆかにもだけど。
いまさらあ〜ちゃんと
何を話すっていうの?


不安だったけど、
有無を言わせないあ〜ちゃんのメール。

『明日とか?でいいの?』
とだけ返信して
今日も私はのっちに会いにいく。


“会ってなにするの?”
決まってるじゃない。
昨日会えなかった寂しさをぶつけるだけ。


『のっちの家でいい?』


意外な言葉が耳に入る。
あ〜ちゃんは真剣な眼差しで私を見つめる。
仕事がおわって車の中
前に座ったあ〜ちゃんが聞いてきた。
あ〜ちゃんはマネージャーに
『のっちんちに送って』
とだけ伝えて、
それから一言も話さなかった。


へっ!?これ、なに??!!
てか二人じゃないの??
なんでのっちんち??
てかてか、
なんでのっち黙ってんのよ!!なんでなんも言わないで黙ってんの!?


隣に座ってるのっちを
睨むように見つめた。
のっちはこっちを見なかった。
なんで・・・?
なんでゆかのこと見てくれないの・・・?
一気に感情が爆発して
のっちをどうにかしてしまいそうだったけど、
さすがにあ〜ちゃんや
マネージャーの前ではまずい。
私は必死に我慢して、
何でもない顔をして
窓の外を眺めて
気持ちを落ち着かせた。


のっちの家まで
沈黙が痛い。
なんでこんなことになったの?
なんでゆかがこんな目にあわなきゃならないの?
のっち??
何考えてるの??
誰にもバレないように
のっちの服の裾をつまんだ。
ビクッってなって
頭を押さえるのっち。
なんで??
服をつまんだだけだよ??
なんでそんなにビクビクするの??
いつもなら
バレないように
こっそり指先を絡めてくれるじゃん!
なのに・・
なのに、今日は
ビクッってなった後も
やっぱりこっちを見ない。


なんで・・??



私は気付きもしなかった。
もう記憶さえ曖昧で
のっちの本気の涙すら
自分勝手に
見逃してたらしい。


〔N〕




ゆかちゃんとは
もう無理だ。
体はもっても、
心はやっぱりもたなかった。
いくらあ〜ちゃんが支えてくれても、
『もうやめよう』
と泣いてくれたあ〜ちゃんを見て、
自分の限界に気付いてしまった。

二人っきりで会わせるわけにはいかない
と、あ〜ちゃんは
ゆかちゃんと三人で
話そうともちかけてきた。

『のっち??辛いかもしれんけど大丈夫??もうちょっとだけ頑張れる??』
私の手をとり
優しく言って
『あ〜ちゃんがついてるから・・ずっとずっと傍にいるから?ね??』
こう続けてくれた。
私は疲労と
あ〜ちゃんから貰う優しさで胸がいっぱいで、
何も話すことができず、
ただあ〜ちゃんの手から伝わる温度を感じながら、
うなずくことしかできなかった。
私たちは
どこにむかっているんだろう・・・。



〔A〕


のっちの家につく。
私は我が物顔で
部屋のソファに腰かけた。
隣にのっちを座らせた。
ゆかちゃんは不満げな顔をしながら
座椅子を移動させてローテーブルを挟んで向かいに座った。
もう戻れない。
ゆかちゃん相手に
まわりくどいことをしても時間の無駄だ。
私はとうとう
今までの想いをぶちまけた


『・・・のっちと別れて・・・』想いとは裏腹に
声が震えた。
だけど
右手で握ったのっちの左手を
離す気はなかった。







最終更新:2009年04月10日 00:09