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【K】
あたしは週5で写真館のバイトに入るようになった。
あ〜ちゃんは就活の真っ最中。
のっちは就活はせずにバイト三昧。
三者三様で忙しくて、三人揃うことが難しくなっていた。

あたしは、あ〜ちゃんにはどうしても会いたくて仕方なかった。
だって、あの涙の原因が知りたかったから。

『就活で大変なのは知ってるけど、ちょっと会って話したいことがあるの。今度の土曜日ってヒマ?』
あたしはあ〜ちゃんにメールを送った。
ちょっと文体が重くなっちゃったかな?

返信はすぐきた。
『話って何ドキドキ(笑)
就活きびしーー!!土曜日平気だよー。そうだ!ゆかちゃんうち泊まり来なよ。
ちょうど、その日家族みんないないんよ。だからおしゃべりし放題よ。』
メールの先のあ〜ちゃんは無理に明るくしている気がした。

あたしはあえて、のっちには連絡しなかった。
それはあたしがするべきではないと思ったから。
のっちに連絡するのは、あ〜ちゃんの役目だと思ったから。
でもあ〜ちゃんは結局のっちのことは誘わなかった。

そして土曜日はあっという間にやってきた。
あたしは夕方からあ〜ちゃんの家へお邪魔した。

二人で夕飯を作って、まったり過ごす。
あたしはまだ核心を突かず、旅先での話やバイト先の話をした。
あ〜ちゃんも不自然なくらいに、のっちの話題を出してこなかった。

お風呂を借りて布団を敷いてそれに入る。
あ〜ちゃんは部屋の明かりを消した。

「あ〜ちゃん・・・寝ちゃった?」
「・・・ううん。起きとるよ」

「ちょっと、話していい?」
「・・・いいよ」

「のっちとは、どうなの?」
あたしは抽象的な言い方でしか訊けなかった。



【A】
心臓が飛び出るかと思った。
「ど、どうって・・・なにが?」
あたしは動揺して噛んでしまった。

カチッて、ゆかちゃんが蛍光灯を点けた。

「のっちと上手くいってないの?」
急に明るくなったら目が痛い。
ゆかちゃんの言葉も痛い。

のっち、どうしよう・・・。
もう、ゆかちゃんには”フリ”は出来ないよ。
だって、気付かれちゃったんだもん。
ほんとのこと、言うよ?


【K】
あ〜ちゃんは言葉を選ぶようにポツリポツリと話始めた。
「実は、のっちとは・・・終わったの。ただの、友達に戻ったんよ。ごめんね、隠してて。
でも・・・ゆかちゃんには迷惑ってゆうか、心配かけたくなかったから・・・言いそびれちゃった・・・」

あー・・・やっぱり。
あたしの疑惑が今、確信に変わった。

「もしかして、それって・・・ゆか、のせい?」
「ううん!!それは違う。ゆかちゃんのせいじゃないけぇ。責任とか感じんでいいから!!」
あ〜ちゃんは首をおもいっきり横に振り、否定してくれた。

確信に変わった瞬間、あたしの中に潜んでた甦ったばかりのあ〜ちゃんへの想いが拡張してきた。

「いつ、別れたん?」
「半年くらい、前かな・・・」

「何で、別れたか訊いて平気?」
あ〜ちゃんはのっちじゃないのに、ハノ字眉になって少し困った様子。
「あっ・・・ごめん。ズカズカ訊きすぎだよね。やっぱ、答えなくて大丈夫だから」
あ〜ちゃんはまた首を横にプルプル振った。

「・・・あ〜ちゃんのせいなんよ」
今にも消えそうな声で答えてくれた。
「のっちが、そう言ったの?」
また首を横に振る。

「のっちは、何も言わないの。優しいから、何も言わないの。でも、なんとなくわかるんよ、自分のせいだって」
あ〜ちゃんは瞳に涙をいっぱい溜めてる。零れるのはもう時間の問題だ。
あたしはあ〜ちゃんの泣き顔は見たくない。
だから顔を見ないように優しく抱きしめた。



【A】
ゆかちゃんに抱きしめられた。
人に抱きしめられたのは久しぶりだったから、なんだか居心地が良かった。
居心地が良いから、おもわず気が緩んで涙が溢れ出てしまった。

「今も・・・のっちのこと好きなん?」
痛いとこを突かれた。

好き、だよ。
もう、気持ち悪いくらい好き。
どうしようもないくらい好き。
好きって気持ちが身体から溢れ出るくらい好き。

でも、言えないよ。
ゆかちゃんにも、況してやのっちにも・・・誰にも言えないよ。
言って、ゆかちゃんを心配させたくない。
言ったって、もうのっちはあたしを好きになってくれないんだから。

「・・・わからん」
好きって言えないから濁した。
嫌いとは嘘でも言いたくなかったから濁した。


【K】
それは曖昧な返事だった。

ここではっきり好きって言ってくれたら、キッパリあ〜ちゃんの事諦められたのに。
諦めて、あ〜ちゃんに協力しようと思ったのに。
そんな中途半端な態度を見せられると、あ〜ちゃんへの想いが益々膨れ上がる一方だよ。

でもね・・・あたしがもう一度告白してもきっと、あ〜ちゃんは断る。
なんとなく、わかるんだ。
あ〜ちゃんはあたしをのっちみたいに好きになってはくれないって。
それはどんなに待っても、絶対変わらない。

わかってるなら、忘れなよって言われそうだけど、頭では理解できるけど心は簡単に「はい。そうですか」ってすぐ切り替えは無理。
望みがないってわかってるけど、なかなか忘れられないんだよ。

ねぇ、あ〜ちゃん・・・どうやったら、あたしの中のあなたを消せるの?







最終更新:2009年04月10日 00:22