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〔K〕




意味がわからん。
だいたいなんで
あ〜ちゃんが言うの?
てか、さっきから、
その手はなんなん?
誰のものに勝手に触ってんのよ。


『は??意味わからん??』
『いや、わかるでしょ??そのままの意味だよ・・・』
『てか、手、離して!!』
『・・・・・・無理』
『は??ゆかのものなの!!勝手に触らないでよ!!』
『のっちはものじゃないでしょ・・・?』
優しく諭されてるみたいでいやだ。あ〜ちゃんはいつもこうだ。

『・・このままだとのっちが辛くなるだけでしょ??あ〜ちゃん見てらんないよ・・』

何言ってんの?
なんでのっちが辛くなるんよ?
思ってたのに口に出せなかった。それはきっと自分の中で気付いてたからだ。


『・・・ゆかちゃんだって・・・辛いでしょ??』

優しい口調で諭す。
あ〜ちゃんはいつもこうだ。

『もう見てらんないんよ・・・ゆかちゃん・・もうやめよ??』




あ、何か外れた。
私はここから
記憶が曖昧だ。
ただ覚えてるのは
驚くほどの大きい自分の声と執着心。
泣きじゃくる二人と
暴れだした感情。
愛しい人の腕の中。
落胆したあ〜ちゃんの顔。


〔A〕




ゆかちゃんは割と落ち着いていて、
思ってたより話は進んだ。
多分ゆかちゃん自身気付いてるんでしょ?

『辛いでしょ?』
って聞いたら
泣きそうな顔をするゆかちゃん。
やっぱり自分で気付いてたんだ。
だけど、
『もう見てらんないんよ・・・ゆかちゃん・・もうやめよ??』
そう言ったら
“もうやめよ?”
そう言ったら
ゆかちゃんは人が変わったみたいだった。

『だいたいなんであ〜ちゃんが喋ってるんよ!!なんでのっちは黙ってんの!!』
矛先はのっちだ。
『早くその手をほどいてよ!!のっち!!ゆかのだって言ったじゃん!!!!』
顔を赤くして怒ってる。
『ゆかちゃん!ゆかちゃん!!落ち着いて!もうのっちを責めないで!!』
私の言葉に反応する。
『もうなんなんよ!!あ〜ちゃん黙っててよっ!!関係ないじゃん!!』
『関係あるっ!!!!』
つい大きな声がでた。
ゆかちゃんの勢いに飲まれてつい口がすべった。
『・・・は??』
少し落ち着きを取り戻したゆかちゃんが冷たい目線で見てくる。
落ち着いたと思ったのは一瞬だった。
『なにが関係あるん??ゆかとのっち付き合ってんの知ってるよねぇ??まさかのっちに手だしてないよね?』
冷静な声が怖い。
『・・・あ〜ちゃんは、傷ついてるのっちをほっとけん!!ただそれだけ・・』

ゆかちゃんが揺れる。
『・・・のっちは、傷ついてなんかないもん・・・ゆかがいっぱい愛してあげてるもん・・・』
弱々しくなった。
『愛してる人に手をあげるのは間違ってるよ??』
バッと顔をあげたゆかちゃんが立ち上がる。
『間違ってないもん!!のっちはそうしないと駄目なんだもん!!間違ってるのはあ〜ちゃんだよ!!ゆか悪いことしてないもん!!のっちが好きなだけだもんっ!!』


逆に聞き取りづらいくらいの大きな声が脳内に響いた。
今まで沈黙を守ってたのっちが口をひらいた。

『・・・ゆかちゃん・・ごめん・・ごめんなさい・・・ちょっと、辛い・・・』
泣きながら謝るのっち。
でもちゃんと“辛い”と伝えた。

その瞬間
ゆかちゃんから
涙が流れた。
泣き喚くわけでなく、
ただ綺麗に
涙が一筋
流れた。



『・・・・・・・あ、ゆか、無理、、だ・・・・・』

ぽつりとつぶやく。




次の瞬間
ゆかちゃんは
見たことないくらいに
大泣きした。
泣き喚いて
力なくして床に座り込んで
泣きじゃくって
頭を抱えて
まるで
狂ったように。
狂ったように泣いた。

『・・・ゆか、のっちがいないと無理・・・』
しゃくりあげながら
言葉にならない声で訴える。
『無理なんよ!!のっち・・わかるでしょ・・・のっちがいないと・・・

もううまく喋れてない。
ゆかちゃんは
狂ったように
泣き続けた。


どうしていいかわからなかった。
こんなに取り乱すゆかちゃんを見るのは初めてだった。
床に座り込んで
泣きじゃくる姿は
子供みたいで
本当に手がつけられなかった。
『ゆかちゃん・・辛いかもしれんけど、のっちだって辛いんよ??あ〜ちゃん背中見ちゃったんよ・・・ほっとけないよ!!ゆかちゃん!!わかってるでしょ!!』
優しく言い出した口調も最後まではもたなかった。
私も泣いていたからだ。


ゆかちゃんは立ち上がってのっちに掴み掛かった。
『なんでっ!!なんでよ!!のっち!!なん、で・・・


言葉にならない言葉で
のっちの胸ぐらをつかんだ。
私は必死でとめた。
必死で二人を引き離した。
ゆかちゃんは混乱して
大声で泣きながら
のっちにつかみかかる。
『のっち!!やだよ!!なんでっ、、ゆかのだって言ったじゃん!!!!』
のっちはゆかちゃんが振り下ろす腕を両手で止めながら
『・・ごめんなさい!!ごめんなさい!!』
泣きながら何度も何度も謝った。
そんなのっちを見て
私は口をひらいた。
『のっちが謝らなくちゃいけないの!?違うでしょ??もうやめるって言うんでしょっ!!』
はっきりと確信を言いだせないでいるのっちに少し苛立ちもあった。
私の言葉に
ゆかちゃんはまた声を荒げて泣いた。
のっちは泣いているのに眉を八の字にひそめて
何かに悩んでるみたいだった。
私は必死でとめた。
必死で二人を引き離した。


だけど、
どんなに報われなくても、
傷つけあっても、
どんなに引き離しても、
のっちは眉を八の字にひそめたままだ。






最終更新:2009年04月10日 00:25