どうも、のっちです。
白いクジラに遭遇してから1週間。
人間の姿に戻ることができてすっかり元通りの生活。
大学に遅刻してはゆかちゃんに叱られ、あ〜ちゃんの家ではなく一人暮らしの散らかった自分の部屋に帰る毎日。
だけど、ひとつだけ今までとは大きく違うこと。
それは、、
ピクッ。
「ふぁぁ、、ゆゆゆかちゃ、何しよん、、」
「ん?のんのん、ココ気持ちええの?」
「ゆかちゃんばっかズルイ。あ〜ちゃんも触るぅ」
「ちょ、、あ〜ちゃんまでっ、や、やめっ・・・・」
まるで、犬の姿だった頃のように無邪気に触りまくってくる二人。
嬉しいっちゃ嬉しいんだけど、何かが外れてしまいそうれす。。
(むしろ焦らしプレイれすか、これ?)
ゆかちゃんが触るのは、のっちの尻尾のつけ根。
あ〜ちゃんが触るのは、のっちの頭から生えてる耳。
そう、人間の姿に戻ったと言っても、完全に戻れたわけじゃない。
なぜか耳と尻尾だけ犬のまま、中途半端な姿になってしまった。
なぜこんな結果になってしまったのかというと、どうやら、二人の願い事が関係しているらしく。。
*****
一週間前
願い込める時に、一瞬だけ。そう、ホンの一瞬。
躊躇ってしまった。
のっちが元に戻ったら、もう一緒に暮らせることはないのかな?
のっちが元に戻ったら、あの部屋はまた静かになっちゃうの?
それに、のち犬の垂れた耳、、可愛かったなぁ。。
ふと、目を開けると、白いクジラと目が合った。
その瞬間、クジラがニカって笑った、ような気がした。
そして、振り向くと人間に戻ったのっちがいた。
だけど、そののっちは、、
「あ〜ちゃん・・・」
ゆかちゃんと目を合わす。
「もしかして・・・ゆかちゃんも??」
「ふふふ」
いたずらっ子みたいに笑うゆかちゃん。
目の前には元の姿に戻ったのっち。
久しぶりに2本足で立ってる。
だけど『元の姿』と言っても、、のっちの頭には耳が垂れ下がっていて、お尻からは大きな尻尾がふさふさ揺れている。
「なんか、尻尾振りながらあ〜ちゃんに駆け寄ってくのっちの姿を見れんくなるのは寂しいなぁって思ったんよね」
「ふふ、あ〜ちゃんも、耳の触り心地が気持ち良かったのになぁってw」
「ほぇぇ??」
のっちは耳と尻尾を触りながら、眉毛をお得意の八の字にして呆然としてる。
「な、なんなんこれぇぇ??!!」
のっちの情けない叫び声が響く中、白いクジラはいつの間にか夕焼けの空に消えて行ってしまった。
*****
あ〜ちゃんはのち犬の耳が可愛いと思った。
ゆかちゃんはのち犬の尻尾が可愛いと思った。
って、二人は願ってないじゃん!!
それに、、
「のっちは自分に犬耳がつくよりあ〜ちゃんに猫耳がついた方が嬉しかったのに・・・」
なんて小さく呟いてみたら、ゆかちゃんに思いっきり尻尾を握られた。
「いだっ」
「のっち、下心ミエミエじゃ」
「もちろん、ゆかちゃんの猫耳でも・・・」
「この、どアホっ!」
このやりとりを隣で笑うあ〜ちゃん。
いつも通りの三人の光景。
「ってか、これは元に戻るんかね?」
自ら、垂れた耳を触りながら言う。
我ながら、これはちょっと情けないような。。
「今度は星に願いかけてみる、とかぁ?あ〜ちゃん、よく分からん」
「もういいよ、このままで。めんどくさいから」
「ちょ、ゆかちゃんw」
「そのうち慣れてくるでしょ?」
「ってかさー、あの時、のっちは何を願ったんよ?」
「ほうよ、ほうよ。願い事は3つ叶えてもらえるんじゃろ?」
「それはぁ・・・・」
「いい加減、教えんさい」
「のっち!尻尾引っ張るよ」
「ひゃっ、、言う言う!言うから!」
ゆかちゃんに尻尾を軽く掴まれて、慌てて尻尾を庇うように抱えた。
やっぱり、ゆかちゃんはドSじゃ。
尻尾に与えられるダメージって思ってるよりも痛いんだからね?
のっちがあの時、願ったこと。
のっちの一番の願い。
「のっちは、、いつまでもこの三人でいられますように。って、お願いした・・・」
恥ずかしくて俯いてた顔をおそるおそる上げると、目の前には予想通り呆れた二人の顔。
だから、言いたくなかったのに。。
「何よ、それ」
「はぁ・・・まったく」
でもさ、一番に思ったんは、これだったんよね。
もし人間に戻れなくても、3人一緒ならいいかなって。
「そんなんわざわざ願わんでも、当たり前のことじゃ」
「うちらが離れるなんてありえんわ」
まぁ、確かにそうなんだけど、ね。
だけど、そう呆れたよう笑う二人の表情がとても穏やかで。
いつまでも見ていたいって思うんだ。
その二つの笑顔を。誰よりも一番近くで。
願いは簡単。
どうか、
いつまでもこの三人でいられますように。
そして、ついでに、、
あ〜ちゃんとゆかちゃんに変な虫がつきませんように・・・・っ!!
どうか、どうか切実に。。
最終更新:2009年04月10日 00:36